勇者と王子のダブルステッチ

星月 光

第13話 落日の慟哭(脚本)

勇者と王子のダブルステッチ

星月 光

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〇水の中
  ・・・・・・
  ・・・キ・・・

〇キラキラ
双生神イーリャ「・・・エグスキ あの男を助けたのか?」
双生神エグスキ「だって・・・」
双生神エグスキ「ヴィセンテはすごくいい人なのに 誰からも省みられなくて」
双生神エグスキ「わたし、見てられなくて・・・」
双生神イーリャ「なんてことを・・・」
双生神イーリャ「特定の人間に肩入れしてはならない」
双生神イーリャ「ずっとそう言ってきたのに なぜそんなバカなことを」
双生神エグスキ「じゃあイーリャは、あのまま ヴィセンテが死んでもよかったの!?」
双生神イーリャ「人はいずれ死ぬ」
双生神イーリャ「好悪で人間の運命を歪めるなど 神としてあるまじき・・・」
双生神エグスキ「イーリャのわからず屋!」
双生神イーリャ「待て、エグスキ!」

〇水の中
巫女マイカ「・・・・・・」
「舞花!」

〇水たまり
勇者マリー「舞花・・・」
巫女マイカ「わざわざ殺されに来たのか?」
巫女マイカ「黙って待っていれば 苦しまずにすんだものを」
巫女マイカ「よろしい」
巫女マイカ「その勇気をたたえ 新世界の創造の前におまえを・・・」
勇者マリー「ごめん、舞花」
勇者マリー「ずっと謝りたかったの」
勇者マリー「あいつに舞花が傷つけられないように 頭ごなしに否定しちゃったこと」
勇者マリー「あたし、舞花の気持ち 考えられてなかった」
巫女マイカ「なにを・・・」
勇者マリー「でもね これだけはわかってほしい」
勇者マリー「あたしは舞花が嫌いで あんなこと言ったんじゃないって」
巫女マイカ「・・・わかってるよ、お姉ちゃん」
勇者マリー「舞花!」
巫女マイカ「ほんとは全部わかってたの」
巫女マイカ「でもあたし・・・」
巫女マイカ「くそっ・・・!」
巫女マイカ「邪魔をするな!」
勇者マリー「あっ!」
巫女マイカ「・・・さらばだ、忌まわしき世界よ」

〇湖畔
第一王子ミシェル(マリー様・・・)
第一王子ミシェル(妹君を説得できただろうか・・・)
第一王子ミシェル「な、なんだ・・・?」

〇山中の滝
皇帝トビアス「なんだと・・・」
皇帝トビアス「マイカ・・・いや 太陽神エグスキが、そんな・・・」
第二王子クレール「傍にいたのに気づかなかったのか」
第二王子クレール「その間抜けさでよく皇帝を名乗れるものだ」
皇帝トビアス「・・・おまえ、兄とは似ていないな・・・」
第二王子クレール「よく言われる」
皇帝トビアス「ガンディアが荒廃したのは 聖地から近いためだろうか」
第二王子クレール「だろうな」
第二王子クレール「邪神となったエグスキの瘴気に 汚染されていたのだろう」
皇帝トビアス「リュテスもいずれは光を失い 大地が腐っていくのか・・・」
第二王子クレール「・・・おそらくな」
第二王子クレール「そうなる前に太陽神を止め・・・」
皇帝トビアス「このすさまじい瘴気は・・・!?」
第二王子クレール「こ、これでは聖地に近づけない!」

〇テクスチャ3
巫女マイカ「・・・・・・」

〇湖畔
第一王子ミシェル「すごい熱気だ!」
第一王子ミシェル「これが太陽神の力・・・」
第一王子ミシェル「マリー様・・・!」

〇山中の滝
第二王子クレール「太陽が膨張しているのか!?」
第二王子クレール「このままでは世界が焼き尽くされる!」
皇帝トビアス「オレのせいだ・・・!」
皇帝トビアス「あんなことをしなければ・・・」
第二王子クレール「自省はすべてが片付いてから聞いてやる!」
第二王子クレール「太陽神をどうにかするのが先だ!」
皇帝トビアス「そんなことはわかっている!」
皇帝トビアス「しかし、どうすれば・・・」
宮廷魔導師ユーグ「あの・・・殿下」
宮廷魔導師ユーグ「雲を呼べば太陽の力も弱まるでしょうか?」
第二王子クレール「可能性はあるな」
皇帝トビアス「しかし、この瘴気で風は止んでしまった」
宮廷魔導師ユーグ「わたしの風魔法で雲を集めます!」
皇帝トビアス「なるほど、それなら・・・」
第二王子クレール「楽観視はできないな」
第二王子クレール「おまえは魔力があまり多くないだろう」
宮廷魔導師ユーグ「ですが、やってみます!」
宮廷魔導師ユーグ「少しでも可能性はありますから!」
第二王子クレール「・・・・・・」

〇水の中
  あたし・・・
  死ぬの?
  ごめん、舞花・・・
  ・・・ミシェル様・・・
  ・・・よ
  目覚めよ、勇者よ!

〇湖畔
双生神イーリャ「間に合ったようだな」
第一王子ミシェル「あなたは・・・」
双生神イーリャ「勇者を頼むぞ」
第一王子ミシェル「は・・・はい!」
双生神イーリャ「・・・まずいな エグスキの力がここまで・・・」
双生神イーリャ「本来眠っている身のわたしでは 太刀打ちできないかもしれぬ」
双生神イーリャ「このままでは・・・」

〇山中の滝
宮廷魔導師ユーグ「はあ、はあ・・・」
宮廷魔導師ユーグ「風よ・・・!」
第二王子クレール「・・・やはりダメなのか」
第二王子クレール「大至急メロヴィング要塞に戻り 魔導師たちに呼びかけ・・・」
皇帝トビアス「いや、あれを見ろ!」

〇空

〇空

〇湖畔
第一王子ミシェル「熱気が弱まった!?」
双生神イーリャ「光よ!」

〇テクスチャ3
巫女マイカ「・・・なんだ!?」
巫女マイカ「くっ、身体が・・・!」

〇湖畔
「うう・・・ん」
松本舞花「あれ、あたし・・・」
邪神エグスキ「くっ・・・」
双生神イーリャ「・・・エグスキ」
邪神エグスキ「イーリャ・・・!」
松本舞花「起きて、お姉ちゃん!」
勇者マリー「うーん・・・」
勇者マリー「・・・舞花!」
松本舞花「お姉ちゃん、あたし・・・」
勇者マリー「謝るのは全部終わってから」
勇者マリー「エグスキをどうにかしなきゃ!」
松本舞花「・・・うん!」
邪神エグスキ「こざかしい真似を!」
邪神エグスキ「終わりなんだ、なにもかも!」
双生神イーリャ「エグスキ」
邪神エグスキ「黙れ!」
邪神エグスキ「新しい世界の神はわたしだけだ! おまえはもう、必要ない!」
双生神イーリャ「今のおまえに世界は創れない」
邪神エグスキ「な・・・」
双生神イーリャ「博愛の精神を失ったおまえは もはや神ではない」
双生神イーリャ「おまえに残されたのは破壊の力のみ」
双生神イーリャ「世界を壊すことはできても 創ることなどできないんだ」
邪神エグスキ「嘘だ・・・ そんなこと・・・」
邪神エグスキ「わたしは信じない!」
双生神イーリャ「エグスキ!」

〇山中の滝
宮廷魔導師ユーグ「・・・・・・」
皇帝トビアス「お、おい!」
第二王子クレール「魔力の使いすぎだな」
第二王子クレール「兄上たちは無事だろうか・・・」
第二王子クレール「あれは・・・」
「トビアスさーん!」
松本舞花「その人、捕まえて!」
邪神エグスキ「離せ!」
松本舞花「ありがと、トビアスさん」
皇帝トビアス「マイカ・・・なのか?」
松本舞花「うん」
第二王子クレール「ではこの女は・・・」
第一王子ミシェル「太陽神エグスキです」
双生神イーリャ「・・・・・・」
松本舞花「待って!」
松本舞花「エグスキを殺さないで!」
松本舞花「エグスキがあたしの中に入ったとき エグスキの気持ちが伝わったの」
松本舞花「つらくて苦しかったんだよね」
松本舞花「だんだん心が重くなって なにも考えられなくなって」
松本舞花「世界を創りたかった理由を見失っちゃって」
松本舞花「誰かに・・・ううん」
松本舞花「お姉ちゃんに助けてほしかったんだよね?」
双生神イーリャ「エグスキ・・・」
邪神エグスキ「やめろ・・・! そんな目でわたしを見るな!」
邪神エグスキ「わたしは・・・」
邪神エグスキ「わたし・・・」
邪神エグスキ「なんのために・・・ 世界を創りたかったんだ・・・?」
勇者マリー「イーリャ、あたしからもお願い」
勇者マリー「エグスキの心を助けてあげて」
双生神イーリャ「しかし・・・エグスキは 世界を滅ぼそうとした」
双生神イーリャ「神として、片割れとして 到底許せることではない」
勇者マリー「でもね、イーリャ」
勇者マリー「たった一度間違えただけで 消えなきゃいけないんなら」
勇者マリー「あたしたち、誰も生きていけないよ」
勇者マリー「あなたはこの世界の神でしょ?」
勇者マリー「人は間違えても、何度でもやり直せるって」
勇者マリー「あたしたちに示してくれると うれしいんだけど」
双生神イーリャ「・・・・・・」
双生神イーリャ「今回のこと、わたしにも責任がある」
双生神イーリャ「エグスキ」
双生神イーリャ「おまえが神の力を取り戻すときまで わたしは1人でこの世界を見守る」
双生神イーリャ「もし・・・おまえが 世界創造の力を取り戻したとき」
双生神イーリャ「今と同じように 新世界を創りたいと思っているなら」
双生神イーリャ「次こそわたしも 全力でおまえを倒そう」
邪神エグスキ「イーリャ、どうして・・・」
双生神イーリャ「わたしは、おまえの姉だからな」
双生神イーリャ「疲れただろう 少し眠っていろ」
邪神エグスキ「・・・うん・・・」

〇水の中
  ・・・よい夢を

〇山中の滝
第二王子クレール「・・・終わったのか」
皇帝トビアス「いや、これからだ」
皇帝トビアス「帝国はこれまでの行いを 償わなければならない」
皇帝トビアス「間違えても、再びやり直せる・・・」
皇帝トビアス「月󠄃神の慈悲、身をもって示さなければ」
第二王子クレール「リュテスも力を貸そう」
第二王子クレール「国は違えど わたしたちは同じ世界に生きる同志だ」
第二王子クレール「無論、ミシェル殿にも手伝っていただく」
第一王子ミシェル「は・・・」
第一王子ミシェル「はい、もちろん!」
皇帝トビアス「ありがとう クレール王子、ミシェル王子」
双生神イーリャ「おまえたち、ありがとう」
双生神イーリャ「妹の・・・いや」
双生神イーリャ「妹とわたしの過ちを許してくれて」
勇者マリー「神様だって間違うことぐらいあるよ」
勇者マリー「大事なのは、間違えたあとどうするか」
勇者マリー「でしょ?」
双生神イーリャ「・・・そうだな」
双生神イーリャ「勇者よ、そしてその妹よ」
双生神イーリャ「力を尽くしてくれたこと 心から礼を言う」
双生神イーリャ「今、わたしの力を以て おまえたちを元の世界に戻そう」
勇者マリー「戻ったら、もうここに来られないの?」
双生神イーリャ「来られぬことはないが あまり望ましくはないな」
双生神イーリャ「世界に綻びができれば なにが起きるかわからぬ」
勇者マリー「・・・そう」
勇者マリー「じゃ、ここでお別れだね」
勇者マリー「ミシェル様、クレール 今までありがとう」
勇者マリー「リゼットさんにもよろしくね」
第一王子ミシェル「マリー様、わたしは・・・」
第一王子ミシェル「・・・・・・」
第一王子ミシェル「あなたと出会えて本当によかった」
第一王子ミシェル「どうかお元気で」
勇者マリー「・・・うん、ミシェル様も」
第二王子クレール「ミシェル殿・・・」
第一王子ミシェル「いいのです、これで」
第一王子ミシェル「さあ、リュテスへ帰りましょう」
第一王子ミシェル「やるべきことは山積みですよ!」
第二王子クレール「あっ、待ってくれ!」
第二王子クレール「ユーグ、いつまで気絶している!」
宮廷魔導師ユーグ「うーん・・・」
第二王子クレール「・・・仕方がない わたしの馬に乗せてやる」
第二王子クレール「戦後処理が終わったら 処分を決定するからな!」
勇者マリー「帰ろ、舞花」
松本舞花「あたし、ここに残る」
勇者マリー「えっ!?」
松本舞花「あたしのせいで 多くの人を傷つけちゃったから」
勇者マリー「舞花のせいじゃ・・・」
松本舞花「ううん」
松本舞花「あたしがバカで弱かったから」
松本舞花「お姉ちゃんの言うことを聞いてれば こんなことにはならなかった」
松本舞花「だから、少しでも償いがしたいの」
松本舞花「いいでしょ、トビアスさん」
皇帝トビアス「オレはかまわないが・・・」
皇帝トビアス「本当にいいのか?」
松本舞花「うん」
勇者マリー「じゃああたしも・・・」
松本舞花「ううん」
松本舞花「お姉ちゃんの人生は お姉ちゃんのものだもん」
松本舞花「今まで育ててくれてありがとう」
松本舞花「これからは自分のために生きて」
双生神イーリャ「残るも帰るも、おまえが決めること」
双生神イーリャ「勇者よ、どうする?」
勇者マリー「・・・あたしは・・・」

次のエピソード:第14話 最高のバースデー

コメント

  • トビアス様にサクッと捕まえられちゃうエグ様、ちょっと可愛いなと思ってしまい……😇❤

    断罪しないルート……良きですね……優し……。
    『間違えたらやり直せばいい』の考えをついつい忘れてしまって自分や相手を責めがちなので、この考えは大事だよなぁ忘れちゃいけないよなぁと痛感してしまいました……が、ユーグさんはちょっと厳しめに処罰しま……(おい)。

  • お見事な大山場と、真理さんの偽りも飾り気もない真摯な言葉、感動です!
    そして、皆が進むべき道を考えて、それぞれの思いが、、、ミシェルさまの心中、切なすぎます。。。あ、ユーグさんも初めて役に立ちましたねww

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