過去編第3話『変わり映えのない日常』(脚本)
〇公園のベンチ
天宮詩乃「ゆーや遅いなぁ コンビニ混んでるのかな」
天宮詩乃「早く美沙さんに会いたいのに」
チンピラ乙「あれー、お嬢ちゃん、1人?」
天宮詩乃「そうですけど」
チンピラ乙「ねえ、いくら?」
天宮詩乃「はあぁ?」
天宮詩乃「何言ってるんですか?」
天宮詩乃「私、そういうのじゃないんですけど」
チンピラ乙「じゃあさ、お小遣いあげるから 遊ばない?」
三好優弥「うわぁ、少し目離してる隙に またナンパされてるよ」
三好優弥「3日ぶり4回目か?」
天宮詩乃「そんな野球の記録じゃないんだから」
三好優弥「”俺の女”に何か用?」
天宮詩乃「『俺の女』!?」
チンピラ乙「何彼氏? まだ中学生ぐらいだよね?」
チンピラ乙「大人には礼儀正しくしないとダメだよ?」
天宮詩乃「今『俺の女』って言ったよね」
三好優弥「大人っていうのは もうちょっと落ち着いてる人のことを 言うんだよ」
チンピラ乙「口の聞き方を パパやママに教わんなかったのか?」
三好優弥「犬や猫の方がマナーわきまえてるな」
天宮詩乃「私いつの間に『俺の女』になったんだろ」
チンピラ乙「てめえ、調子にのんじゃねえぞ」
三好優弥「やんのか?」
天宮詩乃「ゆーや! 程々にね!」
チンピラ乙「え? 『ゆーや』とおっしゃいました?」
天宮詩乃「そうだけど」
チンピラ乙「もしかして、あなた 三好優弥さん?」
三好優弥「だったらどうする?」
チンピラ乙「あの『路上の悪魔』って呼ばれて 一発で相手を失神させて 1人で半グレ組織を壊滅させた」
チンピラ乙「あの喧嘩無敗の三好優弥さん?」
三好優弥「その何とかの悪魔ってのは知らないし よく分からないやつらとは 喧嘩してきたのは確かだ」
チンピラ乙「これは失礼しました! まさか、噂通り中学生とは 思わなかったもので!」
チンピラ乙「今後一切、彼女さんにも 手を出さないので見逃してください!」
三好優弥「さっきまで勢いどうしたの」
チンピラ乙「いえいえ、勝てない戦いはしないんですよ」
天宮詩乃「『彼女さん』、、」
三好優弥「謝ったことだし、まあ、いいか」
天宮詩乃「『彼女さん』、、」
チンピラ乙「は、はい!」
チンピラ乙「では、失礼します!」
天宮詩乃「いい人だったね!」
三好優弥「どこがだよ!」
天宮詩乃「へへへ」
三好優弥「まあ、機嫌がいいならいいか」
〇大きな日本家屋
有馬美沙「いつもありがとうね お仏壇に挨拶来てくれて」
天宮詩乃「いえ、先生にはお世話になりましたから」
三好優弥「先生は恩人ですからね」
有馬美沙「そうだ、これあげる」
天宮詩乃「これは?」
有馬美沙「遊園地のチケットだよ これがあるとアトラクション乗り放題だよ」
天宮詩乃「いいんですか!?」
有馬美沙「どうせ、私行かないし」
三好優弥「一緒に行く人がいないんですね」
有馬美沙「おい、そこ 否定できないけど」
天宮詩乃「ありがとうございます!」
有馬美沙「妹ちゃんたちも誘ってあげてね」
天宮詩乃「もちろん! あの子達喜ぶだろうな!」
有馬美沙「楽しんできてね」
三好優弥「ありがとうございます」
〇古びた神社
三好優弥「心霊スポット来て見たけど 普通に何もないな」
天宮詩乃「うん!」
天宮詩乃「何もないね!」
三好優弥「詩乃はホントオカルト好きだよな」
三好優弥「本当は怖がりのくせにさ」
天宮詩乃「そんなことないよ!」
三好優弥「なんでこんなに肝試しとかしたがるかね」
天宮詩乃「た、たのしいから」
天宮詩乃「でも、オカルトってさ」
天宮詩乃「現代科学が発展した中で 唯一残されたファンタジーじゃん」
三好優弥「確かにな」
天宮詩乃「でしょ」
天宮詩乃「じゃあ、家に帰って”アレ”やろう」
三好優弥「またか、仕方ねえな!」
〇ファンシーな部屋
天宮詩乃「ふふふ」
三好優弥「不気味な笑い浮かべるな」
天宮詩乃「毎週恒例のお時間がやってまいりました 降霊会なだけに」
三好優弥「今日やたら冷えるな」
天宮詩乃「こら!」
天宮詩乃「では、エンジェル様始めまーす」
三好優弥「こっくりさんだろ?」
天宮詩乃「エンジェル様!」
天宮詩乃「ホントロマンチックじゃないんだから!」
三好優弥「コックリさんに ロマンチック求めるもんじゃないだろ?」
天宮詩乃「いいよ? じゃあ、ゆーやの好きな人を聞いちゃうから」
三好優弥「面白え」
天宮詩乃「見てろよ」
天宮詩乃「エンジェル様エンジェル様」
天宮詩乃「三好ゆーやの好きな人は誰ですか?」
天宮詩乃「て」
三好優弥「て?」
天宮詩乃「ん」
三好優弥「ん? 『てん』? 動物か?」
天宮詩乃「黙ってて」
天宮詩乃「し」
三好優弥「あ、終わった」
天宮詩乃「ゆーやの好きな人は 『てんし』だ!」
天宮詩乃「あれ?」
天宮詩乃「おかしいな」
三好優弥「おかしい?」
天宮詩乃「いや、何でもないし!」
天宮詩乃「まあ、いいか」
天宮詩乃「なーんだ、ゆーやも天使信じてるんじゃん」
三好優弥「UMAは信じてるけど 天使はなあ、、」
三好優弥「じゃあ、次は詩乃の好きな人を 聞いてみようぜ!」
天宮詩乃「えーー?」
三好優弥「当然だよな?」
天宮詩乃「いいよ」
三好優弥「エンジェル様エンジェル様」
三好優弥「天宮詩乃の好きな人は 誰ですか?」
三好優弥「ゆ」
天宮詩乃「え? え?」
三好優弥「う」
天宮詩乃「ちょちょ!」
三好優弥「や」
天宮詩乃「すとーぷ! こうなったら!」
天宮詩乃「力づくで!」
三好優弥「み?」
三好優弥「『ゆうやみ』? 何か今10円玉に凄い圧力掛かったような」
天宮詩乃「さあね、何のことかな」
天宮詩乃「あー、確かに私は夕闇好きだわー」
三好優弥「夕闇は人じゃねえだろ」
天宮詩乃「よーし、今日はこれでおしまい!」
天宮詩乃「エンジェル様エンジェル様 おかえりください!」
三好優弥「強引に終わらせやがった」
〇遊園地
三好優弥「遊園地なんて久しぶりだな」
天宮詩乃「しかも子供だけなんて初めてだね」
三好水葉「いっぱい楽しもう」
三好双葉「ここの遊園地は水族館も付いてるみたいだよ」
天宮詩乃「双葉、水族館大好きだもんね」
三好双葉「うん!」
三好優弥「じゃあ、とりあえず 手当たり次第に行くか」
天宮詩乃「そうだね!」
〇ジェットコースター
天宮詩乃「ちょっと高すぎじゃない??」
三好水葉「高すぎ!」
三好優弥「絶景じゃねえか」
天宮詩乃「なんか悔しい」
三好双葉「ほらほら、もうすぐテッペンだよ!」
天宮詩乃「ちょちょ!」
天宮詩乃「きゃああーー!」
三好水葉「あ──」
三好双葉「たのしいい」
〇遊園地の広場
三好水葉「すごかったー、、早いのはいいけど 高いのがダメだった」
天宮詩乃「はあはあ」
三好優弥「大丈夫か? 詩乃?」
天宮詩乃「う、うん、久しぶりに乗ったからかな 心臓がバクバクしてる」
三好優弥「じゃあ、次は もう少し落ち着いたやつにするか」
天宮詩乃「ありがとう」
〇水中トンネル
天宮詩乃「綺麗だね!」
三好双葉「すごーい」
三好優弥「よくこんなに集めたよな」
三好双葉「何種類ぐらい お寿司作れるかな」
三好双葉「1匹ずつ捌きたいなぁ」
天宮詩乃「うわぁぁ」
三好双葉「帰りは回転寿司屋さんに行こうよ!」
天宮詩乃「うわぁぁ」
三好優弥「家族の中で1番のサイコパスは 双葉なんだよなぁ」
天宮詩乃「お姉ちゃん、双葉の将来が心配だ」
〇ショーの水槽
天宮詩乃「すごい」
三好双葉「みんな、濡れちゃったね!」
「キャハハハハ」
〇観覧車のゴンドラ
天宮詩乃「最後はやっぱり観覧車だよね」
天宮詩乃「すごい綺麗!」
天宮詩乃「天使になったみたい!」
三好優弥「そこは子供っぽいな」
天宮詩乃「いいじゃん!」
三好優弥「詩乃らしいな」
天宮詩乃「天使大好きだもん」
三好優弥「4人で乗れたのに」
天宮詩乃「あの子たちが気を利かしてくれたんだよ」
三好優弥「なんで?」
天宮詩乃「さあ、何でだろうね」
天宮詩乃「でもさ、こうして みんなで仲良く出来るって本当にいいね」
三好優弥「ああ」
天宮詩乃「血も繋がってない私を 本当の家族みたいに扱ってくれる」
三好優弥「だって家族だろ」
天宮詩乃「そうだね ホント三好家の一員になれて良かったよ」
天宮詩乃「でもね、私はもっと、、」
三好優弥「もっと?」
天宮詩乃「なんでもなーい」
〇観覧車のゴンドラ
三好水葉「お兄ちゃんとお姉ちゃん 2人きりにしてみたけど いい感じかな?」
三好双葉「きっと仲良くしてるんじゃないかな」
三好水葉「でも、双葉も気が利くね」
三好双葉「だって、あの2人には もっと仲良くなってほしいからね」
三好水葉「うん!」
三好双葉「それで結婚してくれたら最高かな」
三好水葉「そしたら、みんな幸せだね」
〇電車の座席
天宮詩乃「双葉も水葉も寝ちゃったね」
三好優弥「遊び疲れたんだろうな」
天宮詩乃「私も疲れちゃった」
三好優弥「寝ていいぞ」
天宮詩乃「せっかくの時間だから もっと過ごしたいな」
天宮詩乃「幸せな時間は1秒でも長く噛み締めたいの」
三好優弥「毎日続くさ」