Prologue 選ばれし少年―運命の出会い―(脚本)
〇外国の田舎町
ブラック王国辺境にある田舎町。大したものは無いが、平和なこの町が俺・五歛子は好きだった。
そんな俺には大切にしている日課がある。
五歛子(ゴレンシ)(さて・・・今日も行こう)
その日課の為に俺は今日も出掛ける支度をし、外に出る。
普段はそれなりの人で賑わっている町も・・・早朝のこの時間は静かだ。そんな空気が何だかんだ好きだった。
〇田舎の教会
目的地は数分で到着する教会。
立派な建物だった筈のこの場所は人の手が一切加えられないせいで古くなっており、所々に傷みが目立つ。
当然参拝者なんて俺位しか居ないから・・・静かなものだ。
〇荒廃した教会
五歛子(ゴレンシ)(今日も平和な一日でありますように)
瞳を閉じて静かに祈る・・・俺の朝の日課だった。
これを日課にしているのは両親が殆ど帰ってこない俺を代わりに育ててくれた祖母の影響だった。
生前祖母はほぼ人気の無いこの教会に毎日のように通っていた。
幼い俺にその理由は良くわからなかったけど、訊く度に
祖母「おじいさんと出会わせてくれた神様が居るからよ」
・・・そう嬉しそうに語っていた。
そんな祖母を見ていたから・・・何となく続けないといけない日課な気がしたんだ。
最後の一拝を終え、顔を上げる。
五歛子(ゴレンシ)(良し、今日の日課はこれで終わりだな)
それから通っている学校へ向かうのが常だ。
だからその日もそのつもりだったのだが、この日俺は・・・初めてこの日課を後悔する事となる。
〇外国の田舎町
五歛子(ゴレンシ)(ん、何だあれ・・・?)
神社を出て数分。俺の目線に入ったのは・・・走っている少女。
ただ走っている・・・それだけなら気にしなかったが、どうしてか彼女は焦っているようだった。
五歛子(ゴレンシ)(まるで何かから逃げてるみたいな・・・)
思わず立ち止まってしまう。そんな俺が視界に入った瞬間、彼女は叫んだ。
???「助けて下さい!!」
五歛子(ゴレンシ)「はい!?」
訳もわからず聞き返す。
しかし彼女は焦った表情のまま走るのを止める事無く、どうしてか俺の手を取った。
???「追われているんです。一緒に来て下さい!!」
五歛子(ゴレンシ)(来ても何も手を引っ張られたら一緒に走るしかないんだけど・・・!)
俺は内心でツッコミを入れながら、彼女に引っ張られるがままに走り出した。
そんな時・・・。
「コロスコロスコロス!」
脳裏に直接響く悍(おぞ)ましい声がした。
後ろに何かが居る。妙な気配がある・・・。
五歛子(ゴレンシ)(何だこれ。怖過ぎるっ!)
思わず俺は思いながら・・・必死で後ろから迫ってくる物に気付かないフリをした。
恐らく彼女は得体の知れないそいつから逃げているのだろう。それはわかっていたが、
追って来る存在そのものを捉えるには恐ろし過ぎた。