Ep4:未来からのシ者(脚本)
〇公園のベンチ
仏斗「タイムトラベル、してみたいよな」
健介「また、いつものヤツが始まったか」
仏斗「正直、俺はタイムトラベルを甘く見ていた」
健介「なんかいつもと切り口が違うな」
仏斗「タイムパラドックス、 なんて恐ろしいんだ!」
健介「タイムパラドックス?」
仏斗(裏声)「『説明しよう!タイムパラドックスとは、時間的矛盾のことである!』」
健介「お前、そんな裏声芸するキャラだったか?」
仏斗「普段と違う行動をとってしまうくらいには、恐ろしいってことだよ・・・」
健介「で、何がどう恐ろしいんだ?」
仏斗「そうだな・・・ 簡単に説明すると──」
仏斗「俺が開発したタイムマシンで、お前は5年前にタイムトラベルしたとする」
健介「お前じゃなくて俺がタイムトラベルするんだな」
仏斗「俺の才能に嫉妬していた健介は、その過去で俺を亡き者にしようとするんだ」
健介「俺のキャラ悪人すぎるだろ!」
仏斗「俺を亡き者にして、健介は清々しい気持ちで未来へ帰っていく・・・」
健介「形容詞一つで、見事なサイコパスに」
仏斗「ところがどっこい、 未来に帰るとそこに俺は居ないわけだ」
健介「そうか、過去で仏斗は殺されてるからな」
仏斗「俺が居ないということは、タイムマシンも作られなかったということだ」
健介「それってつまり、俺は過去にはいけなくなるんじゃないか?」
仏斗「その通り!」
仏斗「過去に行けないということは、過去の俺も殺せないということになるのさ」
健介「あれ、じゃあ結局どうなるんだ?」
仏斗「過去を変えると原因と結果が反転し、因果律がねじ曲がる・・・」
健介「・・・・・・!!」
仏斗「そして世界は崩壊する!!」
健介「ナ、ナンダッテー!」
仏斗「なんか気の抜けたリアクションだな」
健介「いや、あまりにも話が壮大すぎてどう反応すればいいものかわからなくて」
仏斗「まあ、たしかにな・・・」
健介「結局、過去へのタイムトラベルは出来ないってことにならないか?」
仏斗「そうだな。 どうしたって矛盾が起きてしまいそうだ」
仏斗「もともと未来人に遭ったという事実が過去に存在していれば──」
仏斗「もしかしたら矛盾が生じずに過去へ行けるのかもしれない」
健介「じゃあさ、だれかの日記に『未来人に遭った』って嘘が書いてあったらさ」
健介「未来人が読んで間違って会いに来たりしないかな?」
仏斗「・・・それだ!」
仏斗「俺は今日、『未来人に遭った』と日記に書くことにしたよ」
健介「いや、まさかそんなのに騙される未来人が居るわけ・・・」
その瞬間、周囲はまばゆい光に包まれた!
未来人「こんにちは、未来から来ました。 キミが仏斗くんかな?」
そして世界は崩壊した。