殺し屋、出勤中。

吹宮良治

エピソード3(脚本)

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〇黒
  ターゲットは結城あかり、29歳。
  大手食品会社勤務。
  婚約者を保険金目当てで殺害した疑い。
  しかし、警察は自殺と断定し無罪放免。
  依頼者は婚約者の母親。
  保険金の隠し金庫と暗証番号の特定および結城あかりの抹殺。
  ・・・婚約者は首吊り自殺か。
  なるほど、十分偽装は可能だな。
「さっきから何ぶつぶつ言ってんの?」

〇休憩スペース
間瀬口徹「休憩とっくに終わってるよ。 早く戻りなって」
不破誠(俺としたことが! 完全に背後を取られてしまった)
間瀬口徹「初日からサボるなんて良い度胸してるねぇ」
不破誠(なんという気配の消し方だ。 ボスに送り込まれたスパイなだけあるな)
間瀬口徹「聞いてる?」
不破誠「・・・心配無用とボスに伝えておけ」
間瀬口徹「ボス? もしかして、社長のこと?」
不破誠(この男、まだ清掃員を装うつもりか? ふふ、いいだろう。 しばらくお前の芝居に付き合ってやる)
間瀬口徹「え? なになに? なんでちょっと笑ってんの?」
不破誠(監視したいだけするがいい)
間瀬口徹「・・・やっぱりヤバい奴だな」

〇オフィスのフロア
不破誠(この会社に潜り込んで半日。 いまだに社員の誰とも話せない。 早いとこ片付けなければ・・・)
結城あかり「不破さん」
結城あかり「お願いがあるんですけど、よろしいでしょうか?」
不破誠(向こうから近づいてくるとは好都合。 何か情報を聞き出さなければ)
結城あかり「不破さん?」
不破誠(しかし結婚する前に保険金受取人として指定されるとは、どれだけ上玉なんだ、この女は)
不破誠(婚約者でも受取人になれる保険会社を選んだのも全てこいつの指示か)
結城あかり「ちょっと待っててください」
不破誠(さて誕生日でも聞き出すか。 金庫の暗証番号として使っているかもしれない)
不破誠(・・・だめだ。 頭では次々と作戦が思いつくが、それを実行できる自信がない)
石田克典「あかりさん、美人っすよねぇ」
石田克典「皆に優しいし、欠点がないもんなぁ」
不破誠(相変わらず馴れ馴れしい奴だ。 確か石田といったか)
石田克典「不破さん、席が隣だからって狙っちゃダメっすよ」
不破誠(今すぐ俺の前から消えろ)
石田克典「そう言えば来週、あかりさん誕生日なんすよ」
不破誠(こいつ使える!)
結城あかり「お待たせしました。 このお菓子なんですけど・・・」
不破誠(お菓子だと?)
石田克典「もしかして新商品の『ボーナスナック』?」
石田克典「やっと完成したんすね!」
結城あかり「不破さんに試食してもらおうと思って」

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