オレだらけのクリスマス!

アマリモノ

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〇白

〇個室のトイレ
  今日はクリスマス
  俺はA子をデートに誘うべきか葛藤していた

〇黒
  A子
  口数は少ないが、物腰が柔く
  慎み深い大和撫子タイプ

〇個室のトイレ
おれ(今)「とはいえ 実際は、彼女と口を聞いたことがないのにうまく誘えるだろうか」
  トイレに籠り何度目かのため息をついていると
おれ(未来)「何を照れてる! お前の選択でワシの運命もきまるんぢゃぞ!」
おれ(今)「な、なんだ! いつの間に!」
  俺の前に突如現れたのはこぎたねえ老人だった
おれ(未来)「ワシは未来のお前自身よ!」
おれ(今)「はあ? 意味わからん てかここトイレだぞ! 出てけ」
おれ(未来)「いいか? 50年後の日本は、老人7割、現役世代2割、子供1割の、地獄的な高齢社会!」
おれ(今)「・・・妙に生々しいな」
おれ(未来)「年金も保険制度も破綻した未来の日本で 独身のワシは孤独死寸前」
おれ(未来)「お前には このクリスマスをきっかけにA子を伴侶とし」
おれ(未来)「ワシを介護してくれる孫を産んでもらわんと困るんぢゃ!」
おれ(今)「・・・それが本当なら確かに困るが あんたが俺だなんて信じたくないぞ」
おれ(未来)「お前がこんな未来を認めたくないのは痛いほど分かる」
おれ(未来)「ならば!」

〇黒

〇個室のトイレ
おれ(過去)「ボク独りぼっちで死んぢゃうんだ」
  眩しい光と共に賢そうなお子様が湧いて出てきた
おれ(今)「お前は!」
おれ(未来)「そう 昔のお前 そしてワシぢゃよ」
おれ(今)「通りで知的な顔をしていると思った!」
おれ(未来)「わかりみ〜」
  はしゃぐ俺と爺を尻目に
  過去の俺は今にも泣きそうな顔をしていた
おれ(未来)「って違う! ワシがこの子を召喚したのは お前に選択の重みを理解してもらうためぢゃ!」
おれ(今)「し、召喚って お前のその謎能力は一体なんなんだよ」
おれ(未来)「それはまあ 「素晴らしき天使のクリスマスキャロルがくれた時間かな」ということで」
おれ(今)「意味わからんわ!」
おれ(未来)「ゲ、ゲホ、ゲホッ・・・!」
おれ(過去)「おじいさん大丈夫?」
  じじいの背中をさすり労る過去の俺
おれ(未来)「ありがとう 悲しいのぉ ワシも君も この時代のワシの被害者ぢゃぁ」
おれ(今)「ざぁとらしい!お前も俺の成れの果ての癖に何言ってやがる!」
おれ(未来)「うううぅぅ ゲホッ」
おれ(過去)「・・・」
  昔の俺は爺と俺を交互にみやり困ったようにうつむいた
おれ(今)「わ」

〇黒
  わかったよ!
  勇気を出して
  A子誘えばいいんだろ!

〇学園内のベンチ
  意を決した俺は爺達とA子を探し回った
  そして
「おったぞ!」
おれ(今)「見てろよぉ?」
  俺はそっとA子へ近づいていく
おれ(今)(い、いくぞ!)
  しかしその時
  その告白!
  ちょっと待ったッ

〇黒

〇学園内のベンチ
  叫び声と共に俺の前にバーコードが現れた
おれ(今)「な、なんだぁ? あんた」
おれ(パラレル)「いいから来い! 戻るぞ!」
  俺はA子を目前にしてハゲ頭に強引に爺達の所へ連行された
おれ(未来)「だ 誰なんぢゃお前?」
おれ(パラレル)「僕はA子に告白した未来から来た」
おれ(今)「あ?」
おれ(パラレル)「つまりは パラレルワールドの君ってわけだよ」
おれ(今)「マジ?」
  再びの超展開にツッコミを入れる暇もない
おれ(未来)「パラレルなワシが なんでワシの告白を邪魔するんぢゃ!」
おれ(パラレル)「それは」

〇白
  それから
  ハゲは淡々と自分の生活を語り始めた
  いわく
  このクリスマスを分岐点にA子と俺は結婚に至るらしい
  子供にも恵まれ幸せな家庭を築けると思っていたが
  夫婦仲は次第に冷えていき
  やがてA子は子供を連れて実家に帰っていった
  安月給なパラレルの俺は
  養育費と慰謝料を払うのに精一杯
  ストレスも加速し
  ご覧の通りの落ち武者と化したのだ

〇古いアパートの部屋
おれ(未来)「嘘ぢゃあ! A子に告白しても ワシのいる未来と変わらないほど悲惨だなんて!」
  無理もない
  気持ちはわかる
  というか
  むしろ泣きたいのは俺の方だ
  何を選択しようが絶望的な未来が待っているなんて!
  ちなみに
  2人に念の為確認したが
  将来A子以上にワンチャンありそうな女は現れないらしい
  長い沈黙
  やがて口を開いたのは
おれ(パラレル)「もういっそ」
おれ(パラレル)「僕達で力を合わせて暮らさないか?」
おれ(今)「なんだと?」
おれ(パラレル)「僕達で協力して この社会をサバイバルしていくんだ」
おれ(今)「そんな」
おれ(未来)「それもいいかもしれんの」
おれ(今)「ち、ちょっと待って それはいくらなんでも虚しくないか?」
おれ(今)「こんな男だらけで! 今日はクリスマスだってのに!」
おれ(過去)「・・・」
おれ(未来)「確かに 女っ気くらいほしいのぉ」
おれ(未来)「ならば!」

〇黒

〇古いアパートの部屋
  いつもの!
おれ(今)「誰!?」
おれ(未来)「女として産まれたワシぢゃよ!」
おれ(今)「えぇ!?」
  割と好み!
おれ(未来)「もう他人なぞいらん!」
おれ(未来)「今後 ワシらの世話は女の自分にやらせればよい!」
おれ(パラレル)「なるほど名案!」
おれ(今)「で、でも」
おれ(未来)「とりあえずは気を取り直して」
おれ(パラレル)「僕達のクリスマスをはじめよう!」
おれ(未来)「ほれ、女のワシ そうと決まれば料理の準備をせい」
  女の俺は爺の提案にニコリと微笑んだが
おれ(女)「誰がするか! 私にも自分の意思ってもんがあんだよ!」
  仰天する俺達に背を向け女の俺は立ち去っていった
おれ(今)「・・・」
おれ(パラレル)「生意気な女だな! 僕がしつけてやろうか!」
  拳を握るハゲ
おれ(過去)「──!」
おれ(未来)「まぁまぁ」

〇黒

〇雑踏
おれ(女)「君も帰るんだね」
おれ(過去)「うん」
おれ(女)「一緒にいく?」
おれ(女)(いっそこの子を理想の男に育てるのもアリかもな)
おれ(過去)「いえ」
おれ(過去)「ボクは自分の力で たたかってみます」
おれ(過去)「さよなら」
おれ(女)(アイツらみたいなズルさを見透かされちゃったか)
おれ(女)「がんばれよ」

〇黒

〇黒
  一方・・・

〇古いアパートの部屋
おれ(パラレル)「やー 君は僕の息子より賢いねえ 素直だし」
おれ(今)「あんたも話してみると 俺を思い通りにしようとすぐ殴るウチの親父と違って案外やりやすいよ」
おれ(パラレル)「わかる 何も反抗できなくてなあ」
おれ(パラレル)「でもお袋がいつも身代わりになってくれた」
おれ(未来)「ワシのとこも似た様なもんぢゃった 懐かしい 奇遇じゃのぉ」
おれ(今)「って!みんな同一人物だっての!」
  ワハハハハ!

〇白
  俺の俺による俺のためのクリスマスはふけていく
  寂しくなんてない
  俺には俺という家族ができた
  これからはもう何も怖くないんだ
  END

コメント

  • 一番まともなのが、過去のおれのような気がします。
    この子がまともに育てば、他のおれさんたちの運命も変わるのでは?と思いました。

  • 折角キャラ出し放題のゲーム小説なので、同一キャラを出しまくるのもとてもいいなあと思いました。みんな状況の悲惨さを嘆きつつ自分好きですね。過去のおれはおれ達を反面教師として生きていくのでしょうか…パラレルワールドでですが、未来を変えられるかもしれないですね。

  • カオスかつ勢いのある展開がツボにハマりました🤣
    面白かったです!

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