プロローグ『姫騎士』の剣(脚本)
〇荒野の城壁
──人歴298年──
〇城壁
〇荒野の城壁
〇荒野
〇城壁
アルトリーナ「帝国の──おぞましきケダモノどもめ」
アルトリーナ(奴らがここへ至る進路には、あの村が──)
〇黒
〇児童養護施設
少女「騎士のお姉ちゃん!」
少女「いつも私たちを守ってくれてありがとう!!」
少女「これ、お礼の、お花の、ネックレス!」
アルトリーナ「まあ、ありがとう!」
少女「あ、あれ?小さかったかな?頭が通らない」
アルトリーナ「ふふ、それじゃあこれはティアラにしよう」
〇黒
〇城壁
アルトリーナ「あの村は、もう──」
アルトリーナ「あの少女は、もう──」
???「怒りをぶつける相手が違うんじゃないか」
カーン「帝国兵を突く為の槍を君が折るなんて ──利敵行為だぞ少将」
アルトリーナ「あ、これは、その──」
アルトリーナ「申し訳ありませんでした、カーン将軍──」
カーン「まったく──困った『姫騎士』様だな」
カーン「この件は陛下へと厳正に報告し──」
カーン「来月のアルトリーナのお小遣いから、その槍代を天引きさせて貰うぞ!」
アルトリーナ「もう──おじ様、からかわないで下さい!」
カーン「ハハハッ──姪の失態だ ここはしっかりとからかってやらないとな」
いつもの様にからかって来る叔父に何か言い返したかったけれども──
まぁ、その──コレはどう考えても私が悪いのよね
アルトリーナ「槍──折ってしまってごめんなさい」
カーン「素直でよろしい、陛下には内緒にしておいてあげよう」
どうやら私の来月のお小遣いは守られたらしい
──お小遣い制ではないのだけれども
カーン「それよりも、フム──帝国兵を見ていたのか?」
アルトリーナ「はい、帝国軍の陣営内には攻城兵器の用意がまだ殆ど確認出来ない様ですが──」
アルトリーナ「補給を待つにしては、この砦に近過ぎると思うのです」
カーン「アルトリーナは、奴らが後続の攻城兵器群との合流を待たずに仕掛けると見たか」
アルトリーナ「おじさ──将軍は、どう思われますか?」
カーン「うむ、良い読みだ────しかし」
アルトリーナ「それでは将軍も────しかし?」
カーン「うむ────おじさん、急に将軍扱いされちゃって、とってもさみしいぞ」
アルトリーナ「もう! 戦時なのですから真面目にして下さい!」
カーン「ハハハッ!すまんすまん!」
こういう所さえ無ければ完璧な英雄なのに
『聖将』だの『天威の剣』だのの『称号』は、ちょっとおじ様を持ち上げ過ぎよ──
でも、もしかして──私の緊張をほぐす為に来てくれたのかしら?
カーン「ともあれ、あの蛮族どもの気性だ もしも早ければ──」
???「伝令ーーっ!!」
カーン「聞こう──どうした?」
聖王国兵「帝国軍に動きあり!」
聖王国兵「こちらへ進軍するものと思われます!」
カーン「そうか──ご苦労、下がって良いぞ」
カーン「──さっきの続きだが、奴らの気性だ」
カーン「今この時にでも攻めてくるはず──ってな」
アルトリーナ「おじ様──いえ、将軍閣下!」
カーン「──逸り過ぎだぞ、アルトリーナ」
カーン「今から『武力』が漏れてたら、敵と会う頃にはバテてしまうぞ」
アルトリーナ「あぅ──すみません」
カーン「アルトリーナ、陛下から託された2つの剣──君が使いこなすんだ」
カーン「そうすれば、我ら聖王国軍に負けは無い」
アルトリーナ「はい!!──『聖剣隊』が、この戦の切り札になってみせます!」
カーン「フッ──期待しているぞ」
アルトリーナ「それでは、失礼します」
カーン「──良い娘に育ったな」
〇中東の街
私が陛下──父様から頂いた2つの剣
その1つは、走る私の左腰で揺れている
神剣──『エクサリザ』
聖王国の国宝にして、最強の『神器』
この剣の聖なる光で、きっとあのケダモノどもを浄化してみせる
そして、神剣に勝るとも劣らないもう1つの剣こそ──『聖剣隊』
父様を説得して『彼』と2人で作り上げた精鋭部隊
〇黒
走りながら彼との出会いを思い出す
あれはきっと、運命だったのだ──
〇雪山
それは雪降る日の町外れの街道
私を乗せた馬車は襲われ
倒れ伏す、護衛の騎士達
おびえ、竦むばかりの幼い私
迫る刺客
そこに──私と刺客の間に背を向けて立ち塞がる彼
同じ年頃の少年とは思えぬ、凛とした背中
〇黒
その背に救われ、安堵した
でも──後から悔しくなってきた
彼の背中を見ているだけじゃ嫌
〇中東の街
守られているだけじゃ嫌
隣に居たい
彼と一緒に、彼の理想を叶えたい
アルトリーナ「平和な世界をつくる為に」
〇中東の街
アルトリーナ(む──帝国軍が来るからとはいえ慌てすぎ)
アルトリーナ(どこの部隊かしら?)
アルトリーナ「──って、聖剣隊の所じゃない」
アルトリーナ「まったくもう」
アルトリーナ「みんなの気を引き締めないと──」
アルトリーナ「──うん?」
腸詰めまで飛んで来たじゃないの
どれだけ慌てているのだろう
アルトリーナ「これはガツンと言わないと駄目ね!」
〇崩壊した噴水広場
アルトリーナ「聖剣隊!何を──」
アルトリーナ「して──いる──」
広場にたどり着き、そこに居たのはいつもの仲間たち──
『烈剣』リカル
『雷花』フローラ
『不動の盾』オドレス
3人の小隊長をはじめとした聖剣隊の皆が
──広場に散らばっていた
〇崩壊した噴水広場
リカルの──
リカルの腰から下は何処だろう?
フローラの──
フローラ自慢の胸には大きな穴が空いてる
オドレスは──
オドレスは頭だけで屋根に登っている
そして──
どれがだれかわからないたくさんの──
なかまだったモノたち
〇崩壊した噴水広場
アルトリーナ「──ッ!!?」
叫び声の元には聖剣隊の生き残りが居た
何か囲む様に円になり中心に武器を向ける
日頃の訓練の成果が欠片も見出だせない及び腰で──震える手で
その先には──彼
彼が──
アルトリーナ「ショウ!!?」
ショウ「あ、アル、ティ──」
彼が──ショウが──
ショウ「たす、け──」
『獣』に喰われていた
獣の顎は武力の赤い気に大きく覆われ──
今にも鎧を噛み千切る程、深く食い込む
ショウと合っていた視線が切れた
〇崩壊した噴水広場
獣がショウを咥えた頭を振り上げて──
間髪入れず──振り降ろす
ショウ「ヒッぃ──」
アルトリーナ「ショウ!?」
〇崩壊した噴水広場
アルトリーナ「────あ」
アルトリーナ「ショ、ウ」
ポーン、と、私の左側へ飛んで来たショウの頭に左手を伸ばす
軽い──
以前感じたショウ体重が嘘だったかの様に
片手に収まったショウが──軽い
獣がショウの体を吐き捨て──私へと迫る
アルトリーナ「よくも──よくも、ショウを」
ゆるさない──この獣は
アルトリーナ「殺す──」
アルトリーナ「殺す!!」
アルトリーナ「殺してやる!!!!」
アルトリーナ「ショウ──貴方の、聖剣隊の仇を討つわ」
しかし獣の足は速く、私の左手はショウを抱え、剣は腰の鞘の中、体勢は完全に不利
ならばショウの技で──居合い斬りで獣を迎え撃つ
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いつになくシリアスだし残酷!マヂでなんて恐ろしい害獣なんだと思ったらチワワ!
チワワさんの新しい面を知ったような気がします
またチワワさんの実験かしらかと思いましたが、王道ファンタジーで驚きました。
このお話しに合った絵師様が見つかると良いですね~って、チワワさんも絵師さんでは🤣!?
ぜひ、チワワさん世界観で創作されてください!獣人主人公楽しみにしています。
美少女剣士アルトリーナが主人公じゃない…だと…!?