天才比べ

竜谷 晟

エピソード5(脚本)

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〇教室
後輩ちゃん(この教室にあるズレは全部で20個)
後輩ちゃん(カバン、細かい傷や汚れ、窓の鍵の角度や閉まりきっていないドアなどの情報を除外して、残ったズレは僅か)
後輩ちゃん(ゴミ箱 傘立て ルール紙 黒板消し用クリーナー 壁掛けの時計 掃除用ロッカー 画鋲で壁に停められたプリント)
後輩ちゃん「あとはこれを精査していくだけ」
後輩ちゃん(その、はずだ)
後輩ちゃん「でも、これは──」
後輩ちゃん(ルールに目を通した後に書き加えられたであろうこれは────)
  XVWW6LQJLCLL6VQA
後輩ちゃん「暗号?」

〇路面電車の車内
先輩「人が居ない電車っていうのは ど田舎の特権だな」
先輩「・・・・・・」
先輩(後輩ちゃんは化け物だ)
先輩(初めてあの『密室崩し』を見た時は 視界がCPUに繋がっているのかと ちょっと本気で疑った)
先輩(”だがそれでは足りない”)
先輩(”私が求めるレベルには到達していない”)
先輩(後輩ちゃんはあまりに合理的で純粋過ぎる)
先輩(後輩ちゃんとのジャンケンの結果が その証左だ)
先輩(運だけで299勝?)
先輩(常識的に考えてそうはならんやろ)
先輩(運が良いのは認めるが、運だけでそんな結果になる訳がないだろう)
先輩(まぁ、運にはそれなりに自信はあるけどね)
先輩(賽子で百回6が出れば、人間はその賽子は細工があって6しかでないのでは無いか、といった予想を立てる)
先輩(だが、後輩ちゃんはそれをしない)
先輩(素直すぎて、”問題文を疑わない”)
先輩「それさえ出来れば、後輩ちゃんは爆発的に成長できるのにな・・・・・・」
先輩「ん?」
先輩(後輩ちゃん、にしては少し早いか 誰だろう?)
先輩「はい、もしもし私です」

〇公園のベンチ
後輩くん「お久しぶりです、先輩」

〇路面電車の車内
先輩「──あぁ、君か」
先輩「後輩くん」

〇公園のベンチ
後輩くん「えぇ、停学になって以来ですね」

〇路面電車の車内
先輩「はは、副部長くんが不登校になって君が停学になってからは、 毎日後輩ちゃんと百合百合の日々だよ」
「・・・・・・先輩、 そっちの気があったんですか?」
先輩「いや別に」
先輩「それで? 一体何のようだい?」
後輩くん「先輩に頼まれた二つの仕事についてです」
後輩くん「一つ目の ”この街にいる不良どもの一掃”は完了しました」
先輩「・・・・・・へぇ、存外早かったね」

〇公園のベンチ
  後輩くんの推理力=
  『暴力』×『交渉術』×『?』

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