Ep3:バックトゥザ青春の日々(脚本)
〇教室
仏斗「タイムトラベル、してみたいよな」
健介「また、いつものヤツが始まったよ」
健介「まあ、今日はその気持ちも少しわかる」
仏斗「いつになく素直だな」
健介「まるで普段の俺が天邪鬼のように言わないでくれるかな?」
健介「まあ、その、ほら。 久しぶりの教室だしな」
健介「ちょっと昔を思い出したりするよな」
仏斗「ああ、お互いの日々や将来の話で──」
仏斗「熱くなって殴り合いもしたな・・・」
健介「そんなことしてないからな!」
健介「何なの? 今日は嘘つく日なの?」
仏斗「いや、いつになくお前が素直だったから」
仏斗「今日は俺が心にもないこと言うべきかと」
健介「いらねえよ、そんなバランス!」
健介「そもそも、普段から俺は嘘とかついてないんだが」
仏斗「でも、今日はタイムトラベルしたいって素直に同意したじゃん」
健介「普段からタイムトラベルしたいなんて思ってるのはお前だけだから」
仏斗「そうか・・・」
健介「あ・・・まあでも、たしかに今日はタイムトラベルしたい気分だよ」
仏斗「そうだろう? やっぱタイムトラベルしたいよな!」
健介「ああ!楽しかった学生時代に戻れたらな、なんて想像しちゃうよな!」
仏斗「え、俺は過去なんか全く興味ないんだが」
健介「お前は少し風情とか情緒とかを身につけた方がいいと思う」
仏斗「なんだよ風情とか情緒って」
健介「こう、季節とか場所とか時間によって人が感じるものの違いを読み取るというかさ」
仏斗「”時間によって感じるもの”か・・・」
仏斗「それって、タイムトラベルしたら変わるのかな」
健介「は?」
仏斗「例えば、季節も場所も同じ──」
仏斗「時間だけが今から5年巻き戻ったとする」
健介「お、おう・・・」
仏斗「その時、俺たちは違う何かを感じ取ることができるのだろうか」
健介「? ? ?」
仏斗「もし、今この瞬間──」
仏斗「俺たち自身も気づかぬうちに、5年前にタイムスリップしていたとする」
仏斗「それで、何か俺たちの中で変化するものがあるんだろうか」
健介「いや、スマホとかみたら一発でわかるんじゃないか?」
仏斗「それって、心の変化じゃないだろ?」
健介「でも、結局大事なのは、実際の時間じゃなくて俺たちの感じる時間なんじゃないか?」
仏斗「どういうことだ?」
健介「日が沈んでいくのをみて、「ああ、もう夕方か」って思うわけじゃん」
健介「つまり、時間を自覚させる何か外的要因あってこその心の動きなわけだ」
仏斗「ふむ・・・」
健介「例えば・・・そうだな」
健介「学生時代に俺たちと同じクラスだった笹川さんが──」
健介「当時の姿で、今そこの廊下を歩いて行ったとする」
仏斗「笹川さんか・・・」
健介「それを見たお前はどう思う?」
仏斗「背後に忍び寄って脅かしてやろうと思った」
健介「精神年齢まで5年巻き戻るのかよ!」