第一話 眠り姫(脚本)
〇コンサート会場
磯島ハルカ「みんなー! 今日のライブに来てくれて本当にありがとー!」
彼女の名前は磯島ハルカ。
ヨコヤマプロダクション所属の売れっ子アイドルだ。
明るく、知的で、そして、かわいい。
そんな彼女は男性・女性問わず様々な層から支持を得ていた。
しかし、そんな彼女にある悲劇が訪れる・・・
〇白いアパート
ある日の事だった──
磯島ハルカ「うわー、雨降ってるじゃん! 傘持ってかないと・・・」
彼女は雨が降る中、いつものように仕事場へ向かおうとした。
しかしその時、悲劇が起こった。
磯島ハルカ「うわっ!」
彼女は、階段で足を滑らせてしまった。
〇病院の廊下
横山社長「先生・・・ハルカは・・・ ハルカは無事なんですか・・・?」
医師「命に別状はないが、どうやら打ちどころが悪かったようでな・・・ 今は昏睡状態に陥っておる」
横山社長「昏睡・・・ですか? その症状は数日で治ったりするんでしょうか・・・?」
医師「なんとも言い難い・・・ 数日で目を覚ますかもしれんし、最悪今後何十年も目を覚まさないかもしれん・・・」
横山社長「そんな・・・」
〇病室のベッド
そして彼女は、一ヶ月を過ぎても目を覚ます事はなかった。
磯島ハルカ「・・・・・・・・・」
横山社長「ハルカ・・・ ファンのみんなが、お前のことを待っているぞ・・・」
横山社長「俺のプロダクションは、お前の存在があってのし上がってきたようなもんだ・・・」
横山社長「お前がいないと、このプロダクションもおしまいだ・・・」
横山社長「頼む・・・目を覚ましてくれ・・・」
???「お困りのようですね」
横山社長「だ、誰だ!?」
谷原メイサ「そう警戒しないでくださいよ 私は谷原メイサ、あなたの味方です」
横山社長「あんた・・・ハルカを治してくれるのか?」
谷原メイサ「いえいえ、私は医者ではありません。 私の専門はロボット工学ですよ」
横山社長「ロボット・・・? あんた一体、何を考えているんだ?」
谷原メイサ「質問が多い人ですね・・・ まぁいいでしょう。お答えします」
谷原メイサ「彼女・・・ハルカさんそっくりのアンドロイドを作るんです」
横山社長「アンドロイドを・・・? バカにするのもいい加減にしろ!」
谷原メイサ「いえいえ、私は本気ですよ? 目覚めることのないハルカさんに代わる、新しいハルカさんを提供しようとしてるんです」
谷原メイサ「それとも・・・あなたは会社が潰れるまでこの”眠り姫”の面倒を見続けるんですか?」
横山社長「・・・・・・」
こうして、横山社長は謎の科学者 谷原と秘密裏に契約を結び、彼女のアンドロイド製作に協力する事となった──
〇近未来の手術室
数ヶ月後・・・
横山社長「先生、ついに完成したんですね!」
谷原メイサ「はい、約束どおり、これが新しいハルカさんです」
横山社長「おお・・・磯島ハルカそっくりだ!」
谷原メイサ「どうぞ話しかけてみてください。 きっと目を覚ましますよ」
横山社長「ハルカ、分かるか? 私だ、社長だ!」
HARUKA「・・・」
HARUKA「おはようございます!社長!」
横山社長「おお・・・! 声や仕草まで本物そっくりだ!」
谷原メイサ「AIのラーニングもうまくいったようですね」
横山社長「ありがとうございます、先生・・・! これで我が社も立ち直れそうです!」
横山社長「ほら、事務所に戻るぞ!」
HARUKA「了解です!社長!」
こうして、社長は磯島ハルカそっくりのアンドロイドを手にし、これを芸能界デビューをさせる事にした。
いまだに眠りについている本物の磯島ハルカの代わりとして──
この物語設定、近未来で現実になっていそうですよね!すごく好きな設定です!ハルカさんが目を覚ますのか、彼女はどう思うのか、すごく気になります!
横山社長は本物のハルカが目を覚ましても「双子のユニットで売り出そう」とか言い出しそうだなぁ。本人と同じAIロボットが実現したら、活用も悪用も乱用もされて世の中がひっくり返りそうですね。