召喚勇者と見習い神官(脚本)
〇怪しげな祭祀場
レミエン フォン ドーナッツウマイ
あーだこーだ
怪しげな祭壇の前で大神官様が呪文を唱えている。
私は新米神官のレミエル!
今日は大神官様が勇者様を喚ぶ儀式を見学させていただいてるの!
神官(『あと少しかなあ〜 そろそろ頭ぐらい出て来ないかなあ』)
王様「『の、のう・・・大神官よ そろそろかのう?そろそろかのう?』」
神官「『王様っ、気持ちはわかりますが 抑えて〜抑えて〜』」
大神官「『・・・はっ!!』」
王様&神官
『!?』
大神官「『おめでとうございます!!』」
王様「『な、なんじゃなんじゃ!?』」
神官「『来たんですか?勇者様が!!』」
大神官「『あ、いや。 今連絡が来たんじゃよ。 王妃様が無事出産なされたそうな』」
神官「『わああ!それはおめでとうございます!』」
王様「『・・・やばい』」
神官「『え?』」
王様「『わし、出産予定日忘れとったんよ・・・ やばい、しばかれる』」
大神官「『・・・』」
大神官「『なんですって!?』」
大神官「『王様・・・今すぐ来るようにと王妃様が』」
王様「『な、、なんじゃと!?』」
王様「『・・・嫌じゃ・・・ わしは勇者召喚が見たいんじゃ〜!! 見たいったら見たいんじゃ〜!!』」
王様「『うぉぉぉぉぉ〜ん!!』」
神官(まさかのギャン泣き・・・)
大神官「『お付きの神官じゃ手に負えないようですし、私も行かなければ』」
大神官「『あとは任せましたよ、レミエル』」
神官「『うえぇぇ!?大神官様ああ!?』」
大神官「『ほら、いつまでも泣いてないで。 行きますよ』」
王様「『うぉぉぉぉーん!!』」
神官「『・・・』」
神官「『まさかの丸投げ!? えっ、これどうすればいいの? えっと確か大神官様が・・・』」
神官「『呪文は確か・・・』」
神官「『れ、レミエル フォン ドーナッツウマイ あーだこーだ』」
神官「『い、いでよ勇者よー!!』」
神官「『・・・』」
神官「『・・・ってすぐ出るはずないか〜』」
神官「『どわああ!!』」
神官「『な、何今の・・・』」
『・・・ああん?どこやここ』
『いらっしゃい・・・ました?』
『い、異世界召喚キタコレ!?』
神官「『うええぇぇぇえ!?』」
〇謁見の間
王妃「『・・・それで、そこな3人が召喚勇者という事じゃな?』」
神官「『は、はいっ! そ、そうであります!!』」
ヤクザ「『・・・ちっ』」
オタク「『はぁ・・・はぁ・・・ 神官ちゃん可愛い・・・王妃様麗しい・・・』」
店員「『・・・』」
王妃「『・・・ふむ。 なんの勇者なのか、 見た目からはわかりにくいものじゃな』」
王妃「『よし、あれを持てぃ』」
神官(勇者に種類があるなんて知らなかった・・・)
神官(・・・ん? 王妃様の奥に・・・何か・・・)
王様「『・・・』」
神官(王様・・・なんであんな格好を・・・)
王様「『・・・の、のう、 もうそろそろ良いんじゃないかのう? わしもじゅうぶん反省したと』」
王妃「『どうやら虫が入ったようじゃ あまり煩いようだと追い出してしまおうかのう』」
王様「『うっ・・・うっ・・・ 虫扱い・・・ううっ・・・』」
神官(王様と王妃様の力関係わかってきたわ)
ヤクザ「『おいお前ら、いつまで拘束するつもりだ? いい加減元の場所に帰しやがれ!!』」
オタク「『ぐふふ・・・ボクはまだ帰るつもりはないけどね』」
ヤクザ「『ああん!? テメェ、ふざけたこと言ってっとわかってんだろうな!?』」
オタク「『ヒィィィ!!暴力反対!!』」
ヤクザ「『おい・・・ さっきから黙りっぱなしのアンタ。 何か言う事ねぇのかよ?』」
店員「『そうですね・・・』」
店員「『では言わせていただきます』」
店員「『私達はこの世界に召喚されて来た・・・ まぁ何のためかはわかりませんが』」
店員「『そちら都合で喚び出されたわけですし、 ある程度の補償をしていただきたいと!』」
王妃「『ほう・・・良かろう。 具体的には何を求めておるのじゃ?』」
店員「『もしかしたら私、帰ったらクビを切られるかもしれません』」
王妃「『お主達の世界は、存外物騒なのだな・・・』」
店員「『ですからこちらでは、その分の補償をしていただきたいのです!』」
店員「『主に賃金などで!!』」
王妃「『わかった。 召喚勇者として働いてくれるならば、 相応の賃金を出すと約束しよう!!』」
店員「『ありがとうございます! 後で契約書を作成しましょう♪』」
王妃「『ふっ、しっかりしておるわ』」
王妃「『お2人もそれでよいかの?』」
ヤクザ「『賃金・・・つまり金!!』」
ヤクザ「『金が貰えるなら話は別だぁ!!』」
ヤクザ「『ただし、それなりの額払ってもらうぜ♪』」
オタク(『ボク的には神官ちゃんと旅が出来たら嬉しいんだけどね』)
神官(ひぇっ!?あの人、こっち見てる!!)
オタク「(ニタァ)」
神官(しかも笑ってるぅぅ!? もしかしてお昼の麺料理、顔につけてたかなぁ!?)
メイド「『・・・王妃様、こちらが例の ”アレ”でございます』」
王妃「『おぉ!!さすがじゃのう。 あの罠を掻い潜れるのはお主しかおらんて』」
メイド「『ありがたきお言葉』」
王妃「『勇者の皆様方、これより”アレ”を使って其方たちを調べさせていただきたい』」
神官(もしかして、これで勇者様方の種類がわかる!?)
王妃「『これが、王家に伝わる”アレ”じゃあ!!』」
神官「『な、なんて神々しいの!! あれが・・・”アレ”!!』」
・・・
ヤクザ「『・・・カメラだな』」
店員「『カメラですね』」
オタク「『同じやつうちにあったわ』」
王妃「『・・・さすがは勇者 そうか・・・”アレ”の名前は”カメラ”と言うんじゃな』」
神官(すごい・・・全然わからなかった!! さすがは勇者さま!!)
オタク(し、神官ちゃんが! ボクに熱い視線を送っているー!!)
オタク「『ぐふ・・・ぐふふふ・・・』」
店員(うわあ・・・)
ヤクザ(きめぇ・・・)
王妃「『おほん!! ではこれより、このカメラにて判定を行う!』」
王妃「『では行くぞ・・・』」
王妃「『ハイチーズ!!』」
〇謁見の間
・・・
・・・
ヤクザ「『・・・ん? これもしかして、録画か?』」
オタク「『あ、本当だ。 録画っぽいですな』」
店員「『なんだ、笑って損しました』」
〇謁見の間
王妃「『・・・確認出来た』」
王妃
『髪がツンツンした勇者は
”詰めの勇者”』
ヤクザ「『おう!!詰めるのは得意だぜ!!』」
オタク「『いやいやいやいや』」
店員「『洒落になりません!!』」
王妃「『髪を縛っている勇者は ”誘導の勇者”』」
店員「『誘導は得意ですよ。 主に避難誘導とか』」
オタク「『避難誘導得意って初めて聞いたわ・・・』」
ヤクザ「『あんたの店、もしかしたら組事務所の近くかもな』」
王妃「『最後の・・・ボサボサ髪の勇者は ”賢者の勇者”』」
オタク「『ちょっと待てーい!! DTか!? それはボクがこの年までDTだから言ってんのか!?』」
ヤクザ「『あー・・・ まぁ、元気出せ』」
店員「『きっとその内いい出会いがありますよ』」
オタク「『いい出会い・・・なるほど・・・ ぐふふふ・・・』」
神官「『な、なんだか悪寒が!!』」
王妃「『・・・さて、昔から勇者の旅立ちには、 1人だけ同行者がつく事になっておる』」
王妃「『本来ならば、腕の立つ者を同行させるはずだったのじゃが、 どうも召喚時に不備があったようでのう・・・』」
王妃「『同行者がすでに決まっておるようなのじゃ・・・ レミエル』」
神官「『は、はいっ!!』」
王妃「『何故かお主の名前が勇者達の同行者欄に記されておったのじゃよ』」
王妃「『・・・何かやったかの?』」
神官「『えっ・・・えぇ〜? 召喚の時に1番初めに会ったのは私でしたが・・・』」
大神官「『ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、 レミエルや』」
神官「『大神官様!? 今まで一体どこにいらしたんですか!?』」
大神官「『まぁまぁ、それはともかくじゃの。 お前さん、召喚の時の呪文を間違えたじゃろ?』」
神官「『え・・・? いやいや、確か』」
神官「『レミエル フォン ドーナッツウマイ あーだこーだ』」
大神官「『レミエン フォン ドーナッツウマイ あーだこーだ じゃ』」
神官「『ふえぇぇぇえ!?』」
大神官「『恐らくそこで同行者契約が成立したんじゃろうなぁ』」
大神官「『まぁ・・・頑張るんじゃぞレミエル。 目標はそうじゃな・・・』」
大神官「『古来より勇者と言えば魔王』」
大神官「『魔王退治で良いんじゃないかのぉ? どうですかな?陛下』」
王様「『おほー!! 良いではないか!良いではないか! 勇者と言えば魔王!! 最高の展開じゃ!!』」
王様「『魔王には手紙書いとくわ。 魔王のよっちゃん、同級生だから』」
王妃「『あら、 あなたを魔王国に派遣しても良いのよ? あなたの趣味のせいで迷惑かけるんだから』」
王様「『あ・・・いや・・・その・・・ すんません・・・勘弁してください』」
王妃「『ふん』」
王妃「『まぁそんなわけだから、 勇者様方を頼んだぞ、レミエル』」
大神官「『困った時はいつでも頼りなさい。 では』」
神官「『なんかとんとん拍子で決まってるぅ〜!?』」
ヤクザ「『なんかよくわかんねぇけど、 頼んだぜ神官さんよ』」
店員「『同じ女性同士、心強いです♪ 早速経費貰って歓迎会しましょう! もちろんお酒が飲める所で!!』」
オタク「『ぐふふふ・・・よ、よろしくね神官ちゃん・・・(はぁぁ、近くに来ると花のような良い匂いが!たまらんん!!くんかくんか)』」
こうして、私と3人の召喚勇者の旅は始まったのでした──
神官「『なんで私が魔王退治に!? 助けて下さい!大神官様〜!!』」
つ づ く
悔しいが…面白い(_´◉ᾥ◉)_バァン…
ギャグ要素も面白いし、ストーリーもしっかりしてる、そして、勇者のキャラが想定外でワロタw