ゴリラ・タワー

千田陽斗

3.薄幸の女クラゲ(脚本)

ゴリラ・タワー

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〇競技場のトラック
名取キクオ「カテルー 遅いよ、こっちだよ、こっち」
山田カテル「なんだよー まだ本番まで1ヶ月半はあるっていうのに こんな競技場に来てさ」
山田カテル「ってなに?人たくさんいるんだけど?」
  そう、この競技場では
  ゴリラ・タワー争奪杯の
  レース&ダッシュの練習会が行われていた
  100人ほどの人で会場は溢れている
名取キクオ「ほら、もうすぐはじまるよ!」
職員「それでは、これよりレース&ダッシュの練習会を始めます ゴリラ・タワー争奪杯の本番に向けて 皆様がんばってくださいね」
山田カテル「ところでレース&ダッシュってなにすりゃいいの?」
名取キクオ「あちゃー レース&ダッシュは ラジコンと人間のリレーだよ ぼくがラジコンを走らせるから カテルは走者をお願いね」
山田カテル「本物そっくりなラジコン!」
名取キクオ「出番まで少し時間がある 待機だね」
名取キクオ「あれ?観客席で誰かが揉めてる?」

〇競技場のトラック
クラゲ「な、なんですか? 私そういうの興味ないですから」
信者「私は確信しました あなたは救いを求めている 私の宗教に入信するのです」
クラゲ「いやです 私はなにかにすがるような 弱い人間ではないので」
信者「ふふふ、強がりだわ あなた、誰かのために賞金が 欲しいんでしょう 救いがなければ、いつかくじけるわよ」
クラゲ「(私が、病気の弟の手術代のために争奪杯に参加すること見透かされてる?) と、とにかくもう話しかけないでください」
名取キクオ「あ、あのー どうされましたか? なんかすごく困ってらっしゃるようですけど」
クラゲ「誰?」
信者「わ、私は、 この娘と親しくお話させて頂いていたまでよ うふふふ」
クラゲ「(なんかよくわかんないけど振り払うチャンス?) 助けてください!私そこのペテン師に騙されかけてるんです!」
信者「ひ、ヒィィィ ペテン師だなんて本当のこと言わないで!」
クラゲ「よかった いなくなった よくわかんないけど、 ありがとうございます オタクのお兄さん」
名取キクオ「お、オタクのお兄さん?」
名取キクオ「さしずめ怪しい宗教の勧誘かな? 最近流行ってるみたいだから気をつけて」
クラゲ「オタクもいなくなっちゃった さて、レース&ダッシュの準備準備」

〇競技場のトラック
山田カテル「若干曇ってきたが、いよいよ俺の出番だ」
クラゲ「(競争相手はこのチャラい兄さんか)」
山田カテル「来た!あのラジコンがラインまで来たら走ればいいんだな! よし!」
  カテルがダッシュした!
クラゲ「うちのチームのラジコンはまだ?」
クラゲ「なんかゴツいやつ来た! 間違いなくうちらのラジコン!」
クラゲ「行くぞー!」
山田カテル「ゲゲ!なんか後続が追い上げてきた!」
クラゲ「新聞配達で鍛えた脚力! クラゲしか勝たん!」
職員「おーっとクラゲ選手 圧倒的な追い上げだー!」
職員「ゴール! レース&ダッシュ第4戦 勝者はクラゲ&ヒトデチーム!」
山田カテル「ま、負けたー」
ヒトデ「やった!」
クラゲ「やったよ、ヒトデ!」
ヒトデ「でも私のマシンの調子が悪くて、 クラゲには無理させちゃった?」
クラゲ「んなことないよ ヒトデのマシンが速かったら もっと圧勝してたけど  私はいつも通りの走りで勝ったよ」

〇巨大ドーム
山田カテル「いやー、負けちまったよ 最近運動してなかったし 明日から特訓だな」
名取キクオ「ドンマイ、ドンマイ 最後に勝つのはカテルだと 信じているよ」
クラゲ「あ、オタクだ! さっきはありがとう」
名取キクオ「あ、さっきの人だ ぼくは大したことしてないけど」
山田カテル「あ、俺に勝った人じゃん!」
クラゲ「あれ?オタクとこのチャラい人って コンビだったんですか?」
山田カテル「そうだけど?」
クラゲ「そうか 何はともあれ私、負けませんから 背負ってるものがありますからね では、さようなら」
山田カテル「背負ってるもの?」
名取キクオ「ま、みんな色々あるもんだよ 争奪杯に参加する人の目的もそれぞれ でも 今は自分たちの目的に向かっていかなきゃ」
山田カテル「そう!俺の名はカテル! どんな勝負も勝てる! 二人でてっぺんめざそう!」
名取キクオ「ゴリラ・タワーのてっぺんから見た景色 どんなだろうね? きっと天国みたいなんだろうね」

〇巨大ドーム
  こうして、カテルとキクオは少し苦い敗北を味わった
  しかし敗北をスパイスに明日への気力を蓄えた

次のエピソード:4.丸山サクラは気兼ねなくラーメンを食べたい

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