第一話 前科少女、職を探す(脚本)
〇刑務所の牢屋
ラフ地方の一角にある刑務所、ここでは更生の余地がある若者を多く収容していた
牢屋の中で、明日出所が決まった少女は嬉しそうに荷物を纏めている
レイ・トランクィリ(これでよし、やっと終わったぜ)
レイ・トランクィリ(この薄汚えムショとも今日でおさらばだ)
レイ・トランクィリ(クソみてぇな場所だったけど・・・・・・少し名残惜しい気もするかな)
〇西洋の市街地
駆け足で外に出たレイは、腕を開いて大きく息を吸った
レイ・トランクィリ「ぷはーっ!シャバの空気は美味いなぁ!」
刑務官「だろうな!もう戻ってくるんじゃねぇぞ!」
レイ・トランクィリ「わーってるよ、言われなくてもこんな所二度と来てやるかっつーの!」
刑務官「全く・・・・・・その口調を治さないまま社会に送り出すのは不安だぜ・・・・・・」
レイ・トランクィリ「ハッ!お前が言えたことかよ!」
刑務官「ハハッ、うるせぇよ!俺はこれでも真っ当な社会人で、まともな口調も使えんだよ!」
刑務官「・・・・少し寂しくなるな・・・・・・頑張れよ、レイ!」
レイ・トランクィリ「おうよ!任せとけ!」
〇商店街の飲食店
レイ・トランクィリ「腹減ったなー・・・・・・お、いい店発見!」
レイの視界に、小さな飲食店が映った
レイが店に近づくと、美味しそうな肉料理の匂いが漂ってくる
レイ・トランクィリ「腹減ってんだ!何か飯頼んだ!」
店員「えっと・・・・・・こちらがメニューです」
レイ・トランクィリ「ステーキ!!それとライス大盛りで!」
店員「かしこまりました。お席でお待ち下さい」
レイ・トランクィリ「・・・・・・」
レイ・トランクィリ「・・・・・・・・・・・・・・・」
レイ・トランクィリ「遅いな・・・・・・」
店員「お待たせしました。魔獣のステーキとライス大盛りです」
レイ・トランクィリ「遅せーんだよテメェ!!舐めてんのか!?ああん!?」
店員「ひっ・・・・・・す、すみません!」
レイ・トランクィリ「いや・・・・・・言いすぎた・・・・・・分かりゃいいんだよ・・・・・・」
レイ・トランクィリ(危ねぇ・・・・・・また喧嘩しちまうところだった・・・・・・)
レイ・トランクィリ(もうムショには戻らねぇって決めたんだ・・・・・・)
レイ・トランクィリ「気を取り直して・・・・・・よし、食うか!」
レイ・トランクィリ「おっ、美味そうなステーキだ!」
レイ・トランクィリ「中々美味いな!やっぱりシャバの飯は柔らかくて最高だ!」
レイ・トランクィリ(ムショの肉はパサパサだったからな・・・・・・)
大きなステーキだったが、レイはすぐに骨まで平らげてしまった
レイ・トランクィリ「ごちそうさん、じゃあ帰るか・・・・・・・・・・・・」
レイ・トランクィリ「危ねえ!つい癖で食い逃げしちまうところだった・・・・・・!」
レイ・トランクィリ「食い逃げしたらムショに逆戻り・・・・・・あんな生活もうゴメンだな」
レイ・トランクィリ「よし、金を・・・・・・金・・・・・・」
レイ・トランクィリ「そうだ・・・・・・金持ってねぇんだ・・・・・・」
レイ・トランクィリ(バレねぇように逃げ・・・・・・いや、ダメだ・・・・・・)
レイ・トランクィリ(あたしは更生するって決めたんだ・・・・・・)
レイ・トランクィリ「あ・・・・・・あのー・・・・・・」
レイ・トランクィリ「ここ、バイトとか募集してるんすかね・・・・・・?」
〇商店街の飲食店
レイ・トランクィリ「らっしゃっせー!」
店員「レイさん、もう少し丁寧な口調でって言ってるでしょ」
レイ・トランクィリ「すんませーん」
レイ・トランクィリ(バイトさせて貰えたのはラッキーだったなぜ・・・・・・)
レイ・トランクィリ(今日一日働いて、何とか払えなかった飯代稼ぐぞ・・・・・・!)
レイ・トランクィリ「らっしゃっせー!ただいまこの魔獣の骨付きステーキ、今だけなんと2500Pでーす!」
店員「レイさん!ステーキは2000Pよ!割引を装って高値で売りつけないで!」
レイ・トランクィリ「さっせーん」
レイ・トランクィリ(案外店員ってのも楽しいな・・・・・・)
レイ・トランクィリ(この調子で店員として生きていくのも悪くないぞ・・・・・・)
レイ・トランクィリ「あたしの将来はもう安泰だな!」
客「おい!スープの中に虫が入ってるぞ!」
レイ・トランクィリ「あ・・・・・・?」
店員「すみません!すぐにお取替えしますので・・・・・・!」
レイ・トランクィリ「虫くらい食えばいいだろうが!!ギャーギャーうっせぇんだよ!!」
客「何だと!?俺はお客様だぞ!?」
レイ・トランクィリ「客だからっていい気になってんじゃねぇぞテメェ!ぶっ殺すぞ!!」
客「いって・・・・・・お前・・・・・・訴えてやるからな・・・・・・!」
レイ・トランクィリ(まずい・・・・・・訴えられたらムショに逆戻りだ・・・・・・!!)
レイ・トランクィリ「テメェ!!訴えたらまじでぶち殺すぞ!!!」
客「ひっ・・・・す、すみません・・・・・・勘弁して下さい・・・・」
レイの圧に怖気づいた客は、慌ててこの場を去っていった。
レイ・トランクィリ(かるーく殴っちまったが、あの程度なら暴力じゃないだろ・・・・・・)
レイ・トランクィリ(あたしはこの店を救った英雄だな!)
店員「レイさん・・・・・・もうお代はいいから帰ってくれない・・・・・・?」
レイ・トランクィリ「ええっ!?」
〇公園のベンチ
レイ・トランクィリ「クビになっちまった・・・・・・やっぱり殴るのはやりすぎたか・・・・・・?」
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破天荒なキャラクターのレイさん、見ていて楽しいですねー。荒っぽくて人間的に未成熟、そんな彼女が冒険者を目指すことでどう成長するのか、気になる第一話ですね!
口は悪いけれど根っからの悪人ではないレイ。世の中の規格から少しはみ出ているところが魅力的でもあり厄介でもあり…。冒険者になって出会う人との交わりの中で、腕力だけではない人としての強さも身につけていってほしいです。