エピソード1(脚本)
〇住宅街
ペットのコタツが亡くなって3日
何もやる気が起きない
飼い主「はぁ・・・」
しずく「お兄ちゃん」
「君はお隣の、しずくちゃん」
飼い主「どしたの?」
飼い主「?」
しずく「今日はコタツの遺言を持ってきました」
飼い主「えっ」
飼い主「・・・」
飼い主(俺がいつまでも悲しんでるから、気を遣って・・・?)
飼い主「しずくちゃん、ありがとう」
飼い主「でもお兄ちゃんはもう大丈夫だよ」
飼い主「ハハハ」
しずく「・・・」
飼い主「あ、でもせっかくだから聞かせてもらおうかな」
しずく「オホン」
しずく「『ワシが死んで途方に暮れてる頃か?』」
飼い主「え!そんなオッサンみたいな話し方?」
しずく「オッサンだったから・・・」
飼い主「ま、まぁ犬の15歳はオッサンだしね」
飼い主「子犬の頃のイメージが消えなくて」
飼い主「チワワだったせいもあって」
飼い主「オッサン口調に、違和感あって・・・」
しずく「・・・」
飼い主「あ、ゴメン。つづけて」
しずく「『ペットのお前をひとりにして』」
しずく「『先逝くワシを許せ』」
飼い主「俺のことペットと思ってた設定?」
しずく「設定?」
飼い主「いえ、どうぞ」
しずく「『毎日楽しかったのぅ』」
しずく「『推しアイドルの動画を見ながら 毎日いっしょに踊ったこと』」
飼い主「ちょ!何でそんな誰も知らないこと!」
飼い主「しずくちゃん、キミはまさかホントに──」
しずく「私、動物の言葉分かるんです」
飼い主「そんなスゴい特技あったの!?」
飼い主「てことは、さっきのコタツが俺をペットと思ってたこともホント・・・」
しずく「つづけます」
飼い主「あ、はい」
しずく「『ワシをダシにお前がナンパしまくった山下中央公園』」
飼い主「ちょっと待った!」
飼い主「そんな風に思ってたの!?」
飼い主「あれは女の子がコタツに勝手に寄ってきて──」
しずく「そんなつもりはなかったと」
飼い主「まぁ、ないと言えば・・・嘘になる」
しずく「『お前はろくに食べずに ワシへ毎日貢ぎ物をくれたな』」
飼い主「貢ぎ物?」
しずく「餌のことだと思います」
飼い主「あ、そう」
飼い主「俺たちそういう関係性だったんだね」
飼い主「なんか思ってたのと違う」
しずく「『何もかもが楽しい毎日だった』」
しずく「『ありがとう、そして元気出せ』」
飼い主「・・・しずくちゃん、キミが泣かなくても」
しずく「私じゃありません」
しずく「コタツが泣いてたんです」
飼い主「そこまで再現してくれるんだね」
飼い主「なんか俺まで泣けてきたハハ」
飼い主「公園で女の子たちに、コタツのこと可愛いて 言われるたびに」
飼い主「誇らしい気持ちになった」
飼い主「貧乏で、大したもの食べさせてやれなくてゴメンな」
飼い主「コタツがおいしそうに 食べる姿を見るのが好きだった」
飼い主「こちらこそ、素敵な日々をありがとう」
しずく「『PS.ワシの遺影は、映えるやつでよろしくな』」
飼い主「なんだよ、それハハ」
飼い主「そうだなっ、写真いっぱい撮ったもんな」
飼い主「よし!写真の整理でもするか!」
飼い主「元気出てきた!」
飼い主「しずくちゃん、ありがとう」
しずく「・・・」
しずく(お兄ちゃん、元気出してね)
しずく(隣からお兄ちゃんの部屋)
しずく(いつも丸見えだったよ)
受賞おめでとうございます!🎉✨
しずくちゃん、ちょっと怖いけどいい子ですね笑
泣けば良いのか、笑えば良いのか、最後はちょっとホラー?
不思議な読後感でした。
受賞おめでとうございます❤
しずくちゃん、お兄ちゃんの部屋も見てしまい、公園の出来事も見てたんですね(笑