〇お台場
大見敏明「ふう・・・今日の司会者は質問が多かった まったくツイてない」
秘書「大見会長。この後はサイコロセンターへの 視察になります」
大見敏明「今日もどうせセンター前で デモしてるんだろ」
秘書「先に人をやって排除しておきますか」
大見敏明「構わん。マスコミも来てれば、 いいアピールになる」
秘書「承知しました」
大見敏明「それより、あいつはどうなった？ 例のモノは見つかったのか」
秘書「路地裏で、遺体で発見されました」
秘書「例のモノは別の男が引き継いだようです。 こちらの資料をご確認ください」
大見敏明「向井・・・小汚い男だな」
秘書「必ず見つけ出します」
大見敏明「いや、私が指揮を執ろう。相手が分かっているのならやり方はいくらでもある」

〇渋谷の雑踏
　　サイコロ制度の開始と共に、日本全国に
　　設置されたのがサイコロセンターである
　　全国民は４年に１度、決められた日時までにセンターに行くことが義務づけられた
　　だが家族を失ったものなどを中心に
　　全国各地に反サイコロ団体が乱立した
　　中には過激派の団体も現れるようになった

〇古いアパート
怪しい男１「向井は帰ってきたか？」
怪しい男２「いえ・・・まだ見当たりません」
向井俊介「まさかとは思ったけど・・・ もう家も調べが付いてるのか」
向井俊介「ひとまずネカフェに逃げ込むか」
向井俊介「反サイコロ団体と小湊について 調べなくちゃならないしな」

〇インターネットカフェ
向井俊介「ダメだ・・・ 反サイコロ団体は山のように出て来るけど 小湊なんていう奴の情報はない」
向井俊介「メモリースティックは、管理者の認証が ないと開かないみたいだし・・・」
向井俊介「・・・ん？ ７時にサイコロセンター前で 反サイコロ団体のデモがあるのか」
向井俊介「ここに行ってみるか──」
男「おい。 ここに向井って男は来てないか・・・？」
店員「なんなんだ、あんたたち！」
向井俊介「! あいつらか！ くそっ・・・！ 裏口から逃げないと」

〇大きい研究所
デモ隊１「サイコロ制度、反対！」
デモ隊２「人権を無視する政府を許すな！」
向井俊介（こんなデモしたところで、 サイコロ制度が無くなるわけないだろ）
向井俊介（ったく・・・バカばっかだ）
向井俊介「なあ、あんた。 このデモにはいつも参加しているのか？」
デモ隊３「ん？ まあ俺は毎週ここにいるが」
向井俊介「なら、小湊って知らないか？」
デモ隊３「小湊？ 誰だ、それ」
向井俊介「そうか・・・ならいい。他を当たる」

〇大きい研究所
向井俊介（ふう・・・誰に聞いてもダメだ）
向井俊介（まあ反サイコロ団体はいくつもあるって いうし・・・ここじゃなかったか）
デモ隊１「大見が来たぞ！」
向井俊介（大見・・・？　大見ってあの・・・ サイコロセンターの会長か）
大見敏明「皆さん。いつもご苦労様です」
向井俊介（! あれが大見か。実際に見ると、 テレビで見るより癪に障る顔だな）
デモ隊１「大見辞めろっ！」
デモ隊２「辞めろ、辞めろ！」
　　デモ隊は異常に盛り上がるが、
　　大見は恭しく頭を下げている。
女「人殺し！」
女「私の娘はあんたのせいで死んだ・・・！ まだ８歳だったのに！」
大見敏明「お気の毒です」
女「あんたがサイコロ制度なんて作らなければ こんなことにはならなかった！」
大見敏明「ならあなたは給付金を 受け取らなかったのですか？」
女「!」
大見敏明「アタリを引いた遺族には 給付金が支払われますよね」
大見敏明「特に未成年が引いた場合、 ３倍の額です・・・」
大見敏明「あなただって受け取ってますよね？ お金」
女「う、う、う・・・」
大見敏明「給付金で家を買った人だっています。 罪の意識を持つことはないんですよ」
女「だ、黙れぇぇぇ!!!」
　　女が大見に襲い掛かるが、
　　護衛の者に取り押さえられてしまう。
　　女は護衛を振りほどいて逃げ出す。
向井俊介「痛っ・・・！ ったく、なんだよ、あいつは」