サイコロ・ライフ

YO-SUKE

第一話「サイコロ制度という闇」(脚本)

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〇無機質な扉
スタッフ「早くサイコロを振ってください」
スタッフ「ルール上、この部屋に入って3分以内に 実行しないと自動的に──」
男「わ、わかってる! いまやる」
スタッフ「そこに投げ入れてください。あと1分です」
男(アタリが出る確率は 20分の1なんだ・・・!)
男(普通に考えれば大丈夫・・・ 頼むからハズレてくれ・・・!)
男「うわあァァァァァァァァ!!」
スタッフ「残念です。今日は朝から運のいい方が 続いていたのですが」

〇渋谷の雑踏
  20××年
  世界の総人口は120億人を超えた
  世界各国は大胆な人口抑制政策を
  打ち出さざる得なくなった
  日本政府は4年に1度
  全国民にサイコロを振ることを強制した
  そのサイコロで「アタリ」が出た場合は
  即死になるという残酷な政策である
  職業、性別、年齢を問わず
  全ての日本国民は平等にサイコロを
  振ることが義務化されたのだ
  完全なる運否天賦――
  国民皆平等の名の元に

〇手
  『サイコロ・ライフ』

〇スーパーの店内
向井俊介「ヒック・・・」
  500円
向井俊介(菓子パンが1つ500円)
  2500円
向井俊介(弁当が1つ2500円だと・・・ ふざけやがって)
向井俊介(サイコロ制度で散々人殺して、 財産ぶんどって、少しは食料問題も 解決したんじゃないのかよ)
従業員「お客様。店内でのご飲食はちょっと」
向井俊介「この酒は、この店のもんじゃねえぞ」
従業員「それはそうかと思いますが・・・」
向井俊介「チッ・・・店内のご飲食ってのは、 こういうことを言うんだよ!」
  ムシャムシャ
従業員「! だ、誰か! 警備員を呼んでください・・・!」

〇街中の道路
向井俊介(くそ・・・あの警備員め。 本気で殴りやがった)
向井俊介(飯も食べ損ねたし・・・ 今夜もカモを探さないと──)
向井俊介(なんだ、あいつ・・・ 妙に周囲を警戒しているなぁ)
向井俊介(何か金目のものでも持ってるかもな・・・ よし──)
男1「痛っ・・・! おい、お前いま肩ぶつかったぞ」
向井俊介「うるせえ! 俺に話しかけるな!」
男1「チッ。酔っ払いが」
向井俊介「よし。財布ゲット。 おっ、まあまあ現金も入っている」
向井俊介「・・・ん?」
向井俊介「なんだこれ、メモリースティック?」
男1「さ、財布が無い! まさか、さっきの酔っぱらいが・・・!」
向井俊介「まずいっ! 気づかれた!」
男1「くそっ! 止まれ! それを返せ!」
向井俊介「なんとか撒かなくちゃな」
男1「例のモノが盗まれた。 いますぐ応援を頼む! 場所は──」

〇歩道橋
向井俊介「はぁ・・・はぁ・・・ここまで逃げれば」
男2「いたぞ! 向こうだ!」
男3「向こう側に回れ!」
向井俊介「くっ! どんどん仲間が増えてる・・・! 何がどうなってんだよ!」

〇ビルの裏
向井俊介「はぁ・・・はぁ・・・しつこい奴らだ。 財布一個のために総出で追ってきやがって」
???「奴らの目的は財布じゃない。 財布の中にあるメモリースティックの方だ」
向井俊介「! 誰だ?」
隆二「その中には、この国の闇・・・ 全てが入っているんだよ」
向井俊介「! な、なんだ、お前! 血だらけじゃないか・・・?」
向井俊介「あいつらの仲間なのか」
隆二「むしろ逆だ。これはあいつらにやられた。 お前は俺の救世主だ」
向井俊介「は?」
隆二「そのメモリースティックは元々 俺のものだが、あいつらに奪われたんだ」
隆二「それには高性能のGPSが付いている」
向井俊介「!」
隆二「安心しろ。GPSが付いていることは、 あいつらは知らない・・・ぐっ」
向井俊介「お前・・・ 救急車を呼んだほうがいいんじゃないか」
隆二「無駄だ・・・どうせ助からない・・・」
  ドサッ!
向井俊介「お、おい! しっかりしろ」
隆二「頼む・・・そのメモリースティックを 守ってくれ・・・」
向井俊介「だからこの中に何が入ってんだよ?」
隆二「それがあれば・・・あのバカげた・・・ サイコロ制度が廃止になる」
向井俊介「!!」
隆二「人口抑制、食料確保、 世界へのアピール・・・」
隆二「どんな大義名分を付けたって、あんなものあってはならない。そうだろ?」
向井俊介「そ、それはそうだが・・・ もうサイコロ制度が始まって何年も経つ」
向井俊介「運否天賦、皆平等・・・ それを国民が受け入れてるじゃないか」
隆二「自分の大切な人間が死んでも 同じことが言えるか」
向井俊介「・・・もう死んでる。 でも、仕方のないことだろ」
向井俊介「すべては運なんだから」
隆二「ふん・・・本当に平等だと思ってたのか? おめでたい奴だ」
隆二「いいか。現実を教えてやる」
隆二「一部の特権階級は・・・ 絶対にアタリを引かない」
隆二「何度サイコロを振ってもな」
向井俊介「嘘だ。そんなのよくある陰謀論・・・ いや都市伝説だろ」
隆二「バカな奴だ・・・うっ」
向井俊介「おい。しっかりしろって!」
隆二「頼む。そのメモリースティックを・・・ 小湊に渡してくれ・・・」
隆二「小湊は反サイコロ団体のメンバーだ・・・」
向井俊介「小湊?」
隆二「た、頼んだぞ・・・必ず、 小湊に・・・」
隆二「それ以外は・・・ 誰も、信用、する、な・・・」
向井俊介「! ま、待て!」
隆二「そ、れ・・・と・・・小湊に・・・ 伝えて・・・くれ。あ──」
向井俊介「あ・・・? なんだ? 何を言おうとしたんだ?」
向井俊介「おい! おいって・・・! なんなんだよ、 いきなり! なんでこんなことに」
男2「探せ! 近くにいるはずだ!」
男3「もっと応援を寄越せ!」
向井俊介「あいつらがもう近くに!」
男2「向こうに回り込むぞ・・・!」
向井俊介「わけがわかんねえ・・・! けどあんな 奴らに捕まって殺されるのはごめんだ!」
向井俊介「あー! もう! さっさと小湊とかいう奴を探さねえと!」

次のエピソード:第二話「反サイコロ団体」

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