エピソード1(脚本)
〇広い厨房
未散「ニラレバできたよ!」
配達員A「ありがとー」
未散「パスタと寿司ももうすぐ! 順番に作ってるから待ってて!」
「はーい」
ヤーバーイーツ配達員「こんちは、ヤーバーイーツです 「焼肉苑」ってここであってます?」
スタッフ「いらっしゃい 少し待ってもらえる?」
未散「ナポリタン完成!」
ヤーバーイーツ配達員「大盛況ですね」
スタッフ「9店舗の料理をここで作ってるからね 客席はないけど宅配用の料理だけ作る ゴーストレストランってやつ」
未散「ちらし寿司完成!」
スタッフ「和洋中もパスタも寿司も焼肉もある あの人、未散さんが一人で作ってるんだ」
ヤーバーイーツ配達員「へぇ」
未散「次、オムレツいくよ! あっ、ひき肉が足りない」
スタッフ「未散さん、大丈夫ですか?」
未散「注文した人に聞いてもらえる? ドイツ風でもいいかって」
スタッフ「ドイツ風?」
未散「うん、急いで その間にお寿司握るから」
スタッフ「とりあえず聞いてみます」
未散「あなたも配達の人?」
ヤーバーイーツ配達員「焼肉弁当の注文です」
未散「承知― オムレツとお寿司の次まで待ってね」
スタッフ「未散さん、ドイツ風、OKだそうです」
未散「よし、じゃあやろうか・・・」
ヤーバーイーツ配達員「え・・・ジャガイモ!?」
未散「角切りのジャガイモを ベーコンとタマネギと炒めて」
未散「卵に牛乳と調味料を加えた卵液を注いで 一気に焼く!」
ヤーバーイーツ配達員「いい香り~」
未散「ドイツ風オムレツ ホッペルポッペルの完成! あとは配達員さん、よろしく!」
配達員B「ありがとうございます」
未散「握り寿司もできてるよ! っと、茶碗蒸しの注文もあったね あー・・・」
スタッフ「どうしました?」
未散「ダシが間に合いそうにないなぁ まだ仕込んでなかったから」
スタッフ「まぁ遅れても仕方ないですよ」
未散「・・・いや 時間をかけたらお寿司が乾いちゃうよ 仕方ない、アレでいこう」
「紅茶!?」
未散「卵料理に合うんじゃないかなーって ずっと思ってたんだよね イチかバチか、やってみようかと」
スタッフ「茶碗蒸しに紅茶!? クレーム来たらどうするんですか!」
未散「そういう時のためにキミがいるんでしょ? よし、試作品完成! ・・・さて、お次は焼肉弁当」
ヤーバーイーツ配達員「配達先が遠いんで、なる早で!」
未散「・・・となると お肉が冷めて硬くなるかもしれないね」
ヤーバーイーツ配達員「それは・・・蜂蜜!?」
未散「蜂蜜を塗ってお肉を焼くと ブドウ糖がタンパク質を守って 硬くなるのを防いでくれるの」
ヤーバーイーツ配達員「そ、そんなことまで知ってるんですか?」
未散「ゴーストレストランで働くには 何でもできるシェフじゃなきゃね はいよ、焼肉弁当できあがり!」
ヤーバーイーツ配達員「ありがとうございます!」
未散「冷めても硬くならないから 安全運転で行くんだよー」
数日後
ヤーバーイーツ配達員「こんちは、ヤーバーイーツです 注文番号は・・・」
調理スタッフ「はいはい、できてますよ」
ヤーバーイーツ配達員「あれ? 未散さんはお休みですか?」
調理スタッフ「ミチル? って誰ですか? ここはずっと俺一人でやってるけど」
ヤーバーイーツ配達員「!?」
ヤーバーイーツ配達員「まさかゴーストって・・・そういう意味!?」
まさかそっちのゴースト!? オチに驚きました!未散さんの巧みな調理の様子に意識を向けられていたところだったので、見事にやられましたね
いろんな料理の豆知識がテンポ良く頭に入ってきて面白かったです。ゴーストなら交通費もかからないだろうし、むしろ未散さん本人がうちに来て料理を作ってほしい。