エピソード1(脚本)
〇ヨーロッパの街並み
むかしむかしのお話です。
12月25日はキリストという偉い人の誕生日だそうです。
それが関係あるのか分かりませんがクリスマスイブの夜、子供の寝静まった頃に毎年人々を襲う魔物が現れるようになりました。
そして魔物は子供のいる家の前に現れ、寝ている子供を襲おうと狙ったのです。
魔物を恐れた人々は腕っ節の強い人を集めて自警団を作りました。
そして怖がらせない様に子供にはそれを告げず、こっそり倒して回るのが暗黙の了解になっていたのでした。
不思議なことにその魔物は倒すとお菓子やおもちゃをよく落としたので自警団の人達は報酬としてそれらを持ち帰っていました。
そしてその日が今年もやってきたのでした。
「うおりゃ!」
自分の斧によって両断された影の様な魔物が霧散していく。
「はっはっは! 悪い魔物を倒すのは気分が良いわい!」
「今日はいつになく調子が良い! さあどんどん狩っていくぞ!」
〇ヨーロッパの街並み
「ふうー・・・空が白んできたな。 今年はここまでか・・・ いやー狩った狩った」
最後に狩った魔物がいた場所を見るとそこには戦利品であるお菓子が現れている。
「あっ、あんまり調子が良いもんだから戦利品を持っていくの忘れてた!」
このままでは家の前にある戦利品を起き出したその家の子供に持って行かれてしまうかもしれない。
もう朝日が顔を出している。
今から回収しに行って間に合うだろうか。
「まあ、行くだけいってみよう」
そう言って自分は戦利品の回収に向かった。
〇ヨーロッパの街並み
「遅かったか・・・」
窓から家の中の様子を窺うと子供が既に起き出していた。あの後いくつかは回収に成功したが残りは諦めた方が良いかもしれない。
子供「やったー欲しかったおもちゃだー!」
・・・まあ、子供が喜ぶ顔を見るのは悪くない。そう思い、残りの家も見て回ることにした。
「・・・はてな」
残りの家の様子を見て回ったところでふと疑問が浮かんだ。見て回った家の子供はみんな戦利品を一目見て大喜びだった。
「もしかして子供の欲しがっている物を落としているのか・・・?あの魔物は・・・」
そんなことを思いながら自分は帰路に着くのだった。
〇荒れた小屋
「かんぱーい!!!」
酒場に歓声が響き渡る。
毎年恒例の自警団の打ち上げだ。
各々が戦利品として持って帰ったお菓子をつまみながら酒場の料理を注文し、酒を読み干していく。
「いやー、お疲れ! 年に一度ヒーローになるのは気分がいい!」
「いや、全くですな!」
そんな会話で溢れる中、自分は浮かんだ仮説をみんなに話した。
自警団「魔物の落とす戦利品が子供が欲しがっている物ねえ・・・?」
「あー、なんというか・・・子供の喜ぶ様を見るのは悪くない気分だったぞ?」
「どうかね、来年からは戦利品を子供の枕元に置いて帰るというのは・・・?」
自警団「しかしなあ・・・確証も無しで、俺たちの戦利品を譲り渡すと言うのはなあ・・・」
「なら・・・そうじゃな、もし枕元の戦利品を見て喜ばない子供がいたらその晩、ワシがお前らに酒を好きなだけ奢ろう、どうじゃ?」
自警団「ほお、賭けかい。面白いじゃねえか。 お前らもそれでいいか!?」
「おおお!!」
声に応える歓声。
こうして戦利品を巡る賭けは成立したのでした。
そして結果はというと・・・
〇西洋風の部屋
子供「お父さん、どうやってサンタさんはプレゼントを運んでるの?」
父親「なんでも昔はクリスマスになるとお化けが現れて、それをやっつけるとプレゼントが出てきたなんて話があるみたいだよ?」
子供「うっそだー!お化けなんているわけないや! ・・・でしょ?」
父親「ふふふ、さて、どうだろうね?」
今年もクリスマスイヴの夜が更けていきます。
いつしか、クリスマスイヴの夜に現れる魔物は姿を現さなくなりました。
しかし、クリスマスイブの夜には、今でも寝息を立てる子供の枕元にプレゼントが置かれるのです。
まさか魔物がサンタさんの起源だったとは!
想像もできないひねりで、すごくおもしろかったです!
でも、子ども達が喜んでる姿はいいものですね。
クリスマスについて知識を得ることが出来る内容でした。サンタクロースを信じている(私も信じている笑)子どもたちに読ませたくなるような作品だと思います!
サンタさんのルーツがこんなところにあったなんて!私も子供の頃、クリスマスの朝の枕元のプレゼントを楽しみにしてました。読みながらそんなことを思い出したりしましたよ♪