クリスマスが近づくと、人は何かが欲しくなる。

あ鳥

読切(脚本)

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〇住宅街
  11月24日
  F県K市T区
  16:00
  ワー、ワー。
  ガヤガヤ。
  道は下校中の小学生で賑わっていた。
  俺は、ただの公務員、幸村光太(35)だ。
  今日こそは・・・。
  今日こそは・・・。
えりの友達「ねー、今日は帰って何して遊ぶー?」
えりの友達「えりちゃんちに行ってもいい?」
  あれは。。。
  エリちゃんじゃないか!
  ピンクのジャケット、ミディアムショートの髪型、そしてあの大きな瞳・・・間違いない。
  僕はそっと物陰に隠れ、少女たちの会話に耳を傾ける。
エリ「いやー、あゆちゃんちのほうが楽しいよー!ゲームをいっぱいあるし!」
えりの友達「えー、たまにはえりちゃんちにいきたいよー!」
エリ「また今度ね」
えりの友達「もー」
  僕はサッとメモ帳を取り出し、メモした。
  エリちゃんは遠慮しがち。
  あまり自分の家に人を入れたくない?
  (メモ)

〇住宅街
  11月30日
  15:30
  ふう、えりちゃん今日は1人か
  あれ、キーホルダーが変わったかな?
  ふーん、今はあのキャラクター好きなんだね。
  メモメモ。

〇住宅街
  12月3日
  もう、12月か・・・。
  俺はまた、下校中の大量の小学生の中を歩いていた。
  エリちゃんエリちゃん・・・。
  今日は見当たらないな。
近所のおばさん「最近あの人、よく見るわよね? 不審者じゃないわよね?」
近所のおばさんB「なんかすごく小学生のこと見てるけど」
  クソっ、今日は帰るか・・・。

〇住宅街
  12月17日
  いよいよ、ヤバいヤバいヤバいヤバい!
  あ、みつけた!
  俺は今日もバレないように、エリちゃんの近くを歩いていた。
えりの友達「ねぇ、もークリスマスすぐじゃーん!」
えりの友達「私はね、今年もフライドチキンいっぱい食べるんだー!」
エリ「楽しみだねー、私はシチューが食べたいなー」
えりの友達「いいねー」
えりの友達「そういえば、エリちゃんはサンタさんに何を頼むの?」
エリ「ええ、ん?」
えりの友達「私は、シルヴァニアファミリーが欲しいかなー」
エリ「わ、私もそれでいいかなー」
  本心で話してないなー。やっぱり、梨花ちゃんなんか遠慮がちだなぁ
えりの友達「えー、いっしょとかつまんないー!」
えりの友達「もっとないのー?せっかくサンタさんが来てくれるんだから、もっと自分で欲しいもの頼みなよー!」
エリ「んー、でもそんなにないかなー」
えりの友達「もしかしてー、颯太くんの言ってたこと信じて萎えてるの?」
エリ(!?)
えりの友達「サンタさんはパパとママだってこと」
エリ「いや、そんなこと・・・。ないよ・・・」
えりの友達「あんなの信じなくてもいいよ!」
えりの友達「まあ、仮にそうだったとしても働いてお金出してプレゼントしてくれるなら 仮に両親だとしても嬉しいな!」
  怖いな、今の小学生ははあんなに現実的に物事を考えられるのか笑
  じゃあ、バイバーイ!
  んー、よしっいこう!
  俺はさらにエリちゃんの後を追い家の前までついた。

〇古いアパート
  もう帰り着いたか。
  ふーん、ここがエリちゃんの家か。

〇古いアパート
  3時間後
  誰にも、みられていないよな?
  ふう、かれこれ、何時間いるだろうか。
  ただいまー、(ガチャ)
  おかえりー!ママー!
  俺は家の壁に耳をすませていた。

〇安アパートの台所
エリ「ママー、また手にやけどが!」
エリちゃんママ「もうこのくらい慣れたものよ」
エリちゃんママ「ハァ、クリスマスも忙しくなりそう!」
エリちゃんママ「それよりほら、また、店の余りの唐揚げもらってきたよー」
エリ「や、やったー!」

〇アパートのダイニング
  カチャカチャ
エリちゃんママ「エリ、もう少ししたらサンタさん来るねー。 えりちゃんは何をお願いするのかなー?」
エリ「いや、エリは・・・」
エリ「なにもいらない!」
エリちゃんママ「どうして!?」
エリ「だって、だって、」
エリ「サンタさんはお母さんなんでしょ?」
エリちゃんママ「いや、違うわよ!サンタさんは本当にいるの!」
エリちゃんママ「この町にはサンタさんがいてね・・・」
エリ「いいの!無理しないで・・・」
エリ「エリはママだけにお世話してもらってるし、この家もお金ないし・・・」

〇古いアパート
  へぇエリちゃん母子家庭なのか・・・。
  それは、大変だな。エリちゃんえらいけどかわいそうだ。ひとりでなんでもしょいこんで。
  俺が頑張らないとな・・・。

〇屋敷の寝室
エリ「別にプレゼントなんて何もいらないもん。エリが欲しいのは・・・」
  俺はいまだに家の壁に耳をすませていた。

〇古いアパート
警察「おいっ、何をしている!」
警察「近所から怪しい人がいると通報があったぞ!」
  !?
幸村光太「え、いや、あの」
警察「署まで来てもらう」
  そして、俺は全力で警察を説得した。
  説得にはなかなか苦労したが、
  あるバッジを見せると警察は黙り、許してくれた。

〇豪華な社長室
市長「話というのはなんだね・・・」
幸村光太「市長、12月25日は市内の唐揚げ屋に休業要請を」
市長「なぜだ?その日はフライドチキンが1番売れるというのに」
幸村光太「もしかしたら、鶏肉にウイルスが繁殖しているかもしれない」
幸村光太「っていうことでお願いします」
市長「・・・」
幸村光太「全部、、、子供のためですよ」
市長「全く、お前の子供思いには困ったものだな」
幸村光太「たまにはチキンじゃないクリスマスもいいでしょ?」
市長「仕方がない。 24日だけはお前の権限のほうが強いからな・・・」
幸村光太「ありがとうございます!!!」

〇街の全景
  ふぅ、これで準備は整った。
  全員分のほしい物リストが出来上がったぞ。
  ちゃんと予算にも収まってる。
  あとは届けるだけだ。
  僕の職業はサンタクロース
  F県K市T区担当のサンタクロース
  12月24日の夜には最強の権力を持つ国が認めるサンタクロースだ。
  (メモ)ミヤザワエリ:テーマパークペアチケット

コメント

  • 明らかな不審者の挙動から、ハートフルな物語への帰着にほっこりしました。スマートにリサーチするサンタクロースを望みたいですが、これはこれでw

  • そりゃ通報されますよね笑
    でも、子ども達の笑顔のためにがんばってるんですよね!
    サンタさんの一生懸命な気持ちが、子ども達を幸せな気分にさせてくれるんですよね。

  • 明らかに怪しいですよね、本当にそんなリサーチしていると怖いですよね、、、(笑)サンタさんも大変。でも子どもの為に一生懸命なところは好きです。

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