第11話(脚本)
〇神社の本殿
一週間後・・・
ツクヨミ「コマは何をしてるんだよ。 呼んでも全然来ないから 自力でここまで来たじゃないか」
ツクヨミ「・・・えっ? もしかしたら、何か起こったのか?」
ツクヨミ「あいつ、嫌な予感がするって言ってたもんな・・・」
コマ「ツクヨミ様、 お待ちしておりました」
ツクヨミ「『待っていました』って 俺が呼んでも、迎えに来てくれなかったじゃないか」
コマ「それは・・・ 離れられない事情が・・」
コマ「行きましょう 行けばわかります」
「大変なことになってるんですよ」
ツクヨミ「おい、ちょっとは事情を話してくれよ」
〇広い和室
コマ「どうぞ、こちらです。 ・・・あれ?」
ツクヨミ「なになに? 何もないじゃない」
???「コマさん、 どこに行ってたんですか?」
ツクヨミ「・・・・・ だれ?」
コマ「・・・・・淡雪さんです」
ツクヨミ「?」
ツクヨミ「ええぇぇぎぇぇぇええ」
ツクヨミ「・・・・・マジで?」
淡雪「私ですよ。 かわいいでしょ?」
ツクヨミ「えっ?」
コマ「デパートのメークの体験が 始まりだったんですが、 それで何かに目覚めてしまったらしく、」
コマ「化粧品、美容室、カラコンまでつけて、 最後はコスプレショップを回り、 今は、この状態に・・」
淡雪「うふっ」
ツクヨミ「・・・なんとか出来なかったのか?」
コマ「私の力不足です 申し訳ありません」
ツクヨミ「・・このせいで、 昨日の晩 俺の迎えに来れなかったの?」
コマ「昨晩は 淡雪さんが慣れないお酒を飲んで、 ずっと私に絡んできて・・ ずっと会社の愚痴を聞かされていました」
ツクヨミ「ほぉー」
淡雪「で、でも、 参拝客を増やしたくてやったことなんですよ。 実際、増えてますし・・」
コマ「確かに来る人は増えましたが、 それは淡雪さんを見に来てるだけであって、 真剣に参拝をしている人はほとんどいません」
淡雪「今からですよ。 今から」
淡雪「でも、こんな巫女さんがいたら、 人気になると思いませんか?」
ツクヨミ「ま、まぁ それもあるのかもしれないな」
淡雪「あ、そうだ 卵焼き作ったんですよ。 一緒に食べませんか?」
コマ「私は食べられませんので・・」
ツクヨミ「ちょうどおなかが空いていたから 持ってきてくれよ」
淡雪「うふっ、 はい、どうぞ」
ツクヨミ「・・・・・」
ツクヨミ「どうやったら こんなに分厚くて、 こんなにぐちゃぐちゃにできるの・・」
淡雪「卵を巻く練習をしないといけないので 卵10個使って頑張ってみました」
ツクヨミ「練習? それも10個!?」
淡雪「はい、 タケハさんからここに住む際の 交換条件になっていますから。 どうぞどうぞ」
コマ「私は食べられませんので」
淡雪「私もこんなには 食べきれないので」
ツクヨミ「うわっ、 甘っ」
淡雪「スイーツも料理も 甘ければ甘いほど 美味しいというのが持論ですから」
ツクヨミ「・・・まあ、いい。 とっとと淡雪の願いを叶えて 会社に帰さないと大変なことになる」
コマ「??? !?」
コマ「こんな朝から 目の色を変えた男たちが 社務所に群がっていますね」
淡雪「今日もお願いしてもらえるように みんなに言わないと」
ツクヨミ「なんか方向性を間違えてるな」
コマ「おっしゃる通りです。 私もできるだけ力をお貸しいたします」
コマ「では、卵焼きのほう よろしくお願いします」
ツクヨミ「うげっ」
〇神社の本殿
ツクヨミ「はぁ、はぁ、 これでいいのか?」
淡雪「いいと思いますよ。 神社の木を調べたら、 ポイント溜まってましたから」
ツクヨミ「ホントに? あんな願いの叶え方でいいの?」
ツクヨミ「部屋の掃除に、 犬の散歩に、 淡雪が一緒にご飯を食べたり、 淡雪が一緒にケーキを食べたり、 草むしりしたり」
淡雪「私は大変満足な一日でしたよ」
ツクヨミ「俺は体力を大変削られたよ」
淡雪「でも、ファンの願いを叶えるのが 私が会社に帰る近道ですから」
淡雪「しょうがないですよね。 (∀`*ゞ)テヘッ」
ツクヨミ「おまえ、少しキャラ変わってきてないか・・」
淡雪「じゃあ、私、 汗かいたのでシャワー浴びてきますね」
ツクヨミ「いや、それ、俺のセリフだから。 ・・行っちゃった」
ツクヨミ「これでいいんだろうか」
ツクヨミ「本当にこれでいいんだろうか」