武装編パート1(脚本)
〇病院の待合室
────かつて、とあるSF作家は言った。
40年前の記憶がなくとも、インフラが動き、物を食べる手段が解れば人は生きていける。
今回の第一次大規模探索行動も、そんな食料を得るために必要な作戦だったのだが・・・
モブ「うう・・・目の前で妻がゾンビに・・・!!」
モブ「お母さん・・・うわああん!!!」
当然ながら、こちら側も無傷とはいかなかった。
元がただの一般人達だったというのもあるのだろう、用心に用心を重ねても帰ってきたのは8割・・・
・・・つまり2割はゾンビの餌食になってしまった。
そして問題は、死傷者だけではなく・・・
活動家「うう、お腹すいた・・・」
活動家「・・・アダムス代表、もう限界です!!」
活動家「探索で手に入れたポテチ、食べても・・・」
アダド・アダムス「ダメだ」
活動家「そんな・・・」
アダド・アダムス「アレに使われている油は動物性の油だろう、そんな物を食べるなんて人道に反している!!」
アダド・アダムス「我々人道同盟の理念を思い出せ、耐えるんだ、みんな!!」
活動家「・・・・・・」
探索で得られた食料も、人道同盟のような理念や宗教は勿論、体質の都合から食べられないという者もいた。
ただでさえ”病院”という、病気を抱えた人間のいる場所が故に、その問題点が浮かび上がるのは必然だったかも知れない。
〇病院の診察室
────診察室。
探索後の身体検査のため青野の元を訪れていた宏美であるが、それとは別に個人的な用が一つあった。
それは────
青野健次郎「ゾンビが走った!?それは本当か」
橘宏美「はい、確かにヤツは走って、俺に襲いかかりました」
青野健次郎「・・・・・・」
青野健次郎「・・・外見的特徴から、既に奴らの筋組織は死滅しているものだとばかり思っていたが、」
青野健次郎「どうやら、考えを改める必要があるらしい・・・」
橘宏美「・・・何なんでしょうね、あいつら」
青野健次郎「わからん。ただ人間の敵で、噛まれた場合のみ同族に引き込まれるという事しか、確かな情報がない」
青野健次郎「ゾンビという名も、他に例え用がないから便宜上そう呼んでいるに過ぎんしな・・・」
橘宏美「・・・あっ」
青野健次郎「・・・また電力が不安定になっている」
・・・インフラ、特に電力関係も危うい状況にあった。
状況が状況故にインフラの整備は行われず、各地で電力ケーブルの断線が多発。
ここ、城南病院の電力供給も、不安定になりつつあった・・・
橘宏美「でも病院には自家発電システムがあるんじゃ・・・」
青野健次郎「あるにはある、だがあくまで緊急用だ」
青野健次郎「・・・今の所そうした事はないが、もし手術でもしてる最中に電気が止まったらと思うとゾッとするよ」
橘宏美「・・・何か手は無いんでしょうか」
青野健次郎「そこを含めて近いウチに皆で話し合うさ」
青野健次郎「そして時が来れば、君にも動いてもらう」
橘宏美「・・・えっ、俺!?」
青野健次郎「一度目の大規模探索を生き延びた一人だからね、期待してるって事だよ」
橘宏美「・・・・・・」
青野健次郎「まあとりあえず、今は身体が鈍らない程度に休んで英気を養ってくれ」
橘宏美「はい・・・じゃあ、失礼します」
青野健次郎「・・・・・・」
青野健次郎「・・・・ああは言ったが、どうするか」
???「お困りのようだねえ?」
青野健次郎「・・・!!」
アンナベル羽佐間「青野先生、今あんたの考えてる事を当ててやろうかい?」
アンナベル羽佐間「──────武力がいる」
青野健次郎「・・・・・・」
アンナベル羽佐間「インフラと食事、今の病院の抱える状態はこの二つ。そしてアンタは、その両方の解決方法を知っている」
青野健次郎「・・・ええ、しかし・・・!!」
アンナベル羽佐間「その為には、外に出て戦わなきゃならない、そうだね?」
アンナベル羽佐間「だが、前回のように普通に人を動かせば、いずれジリ貧になる。だからそうならない為に力がいる、違うかい?」
青野健次郎「・・・そこまで言うからには、先生には何かどうにかする手段があるかのように思いますが?」
アンナベル羽佐間「あるよ?」
青野健次郎「・・・えっ!?」
アンナベル羽佐間「ただし、ちょっと大規模な”お使い”になる」
アンナベル羽佐間「そうだね・・・ミニバン4台と運転手を用意してもらおうか」
アンナベル羽佐間「足りなければ救急車も使わせてもらう、 手伝わせる人員については、アタシが選定する」
青野健次郎「救急車まで!? いくらなんでも横暴な・・・・・!!」
アンナベル羽佐間「嫌とは言えんハズさね?武力が無ければ延命もできまい」
青野健次郎「・・・わかった、仲間に相談する」
アンナベル羽佐間「ならよし♪」
〇大学病院
──────その夜。
「現在、城南病院の電力は供給不安定な状況にあります」
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