『夢の国』のクリスマスに舞い降りた、AV女優天使

桜舞衣

メリー☆クリスマス☆彡(脚本)

『夢の国』のクリスマスに舞い降りた、AV女優天使

桜舞衣

今すぐ読む

『夢の国』のクリスマスに舞い降りた、AV女優天使
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇ラブホテルの部屋
「いやっ・・・・・・ あっ・・・・・・・・・」

〇ラブホテルの部屋
  いやん・・・・・・
  あ、あん・・・だめ・・・
  んんっ・・・

〇ラブホテルの部屋
詩音(シオン)「あっ、 あぁ・・・・・あぁ・・・・・・・・・ あふん・・・・・・・・・」

〇ラブホテルの部屋
詩音(シオン)「あん・・・・・・んんっ・・・ んんっ・・・ あぁ、あぁ・・・・・・!!!」

〇ラブホテルの部屋
「はい、カット! OK!!!」

〇ラブホテルの部屋
(おつかれさま~)

〇東京全景
  あたしは詩音(シオン)
  21歳

〇渋谷のスクランブル交差点
  18歳からこの仕事はじめて
  今年は、デビュー3周年。

〇海辺
  デビューの時は最優秀新人賞に輝いた。
  今はもう、
  かつてほどの人気はない。

〇ファンシーな部屋
  毎年、自分よりも
  若くてかわいい女の子が
  キレイでセクシーな美女が
  次々にデビューしてくる。

〇部屋のベッド
  毎年、数千人がデビューして
  同じだけの数が
  消えてなくなる。

〇女の子の部屋
  使い捨てられる。
  売れなくなって。

〇電車の中
  それでも、
  あたしはまだ
  生き残っている。

〇電車の中
  けれど、
  過激なことをされるようになり、
  正直、身体もつらい。

〇女の子の部屋
  若くて、
  かわいいことだけしか
  価値がない。

〇東京全景
  この国では。

〇渋谷のスクランブル交差点

〇渋谷のスクランブル交差点
悠亜「詩音! 元気?」
詩音(シオン)「うん元気。どっか、おいしいもの食べに行こうか?」
悠亜「いいね!」

〇渋谷のスクランブル交差点
  彼女は、悠亜
  仕事仲間。
  うっとりする美女。
  色白で肌もすべすべ
  スレンダーボディ
  でも、美巨乳

〇渋谷のスクランブル交差点
  なぜ彼女が人気なのがわかる。
  女の私だって
  悠亜のように
  お人形さんみたいな
  キレイな女の子になりたいって
  そう思う。
ナンパ男1「ねえ、ねえ!」
ナンパ男2「遊びに行かない?」
ナンパ男1「いいことしようか?」
ナンパ男2「あっ! これ、AV女優の悠亜ちゃんだよ!」
  「こっちは!詩音ちゃん!」
  「すっげえ!映像より、かわいい~!」
ナンパ男1「あっ、オレ、勃起してきた!」
ナンパ男2「やりてぇ~」
ナンパ男1「ねえ、ねえ、オレたちとも4Pやろうよ」
ナンパ男2「いつも、やってるみたいによ」
ナンパ男1「楽しもうぜ!」
  あたしたちは
  見知らぬ男に声かけられた。

〇渋谷のスクランブル交差点
  あたしたちはタクシーを拾い
  その場から逃げた。

〇電車の中
  どこで誰に見られているか
  わからない。
  その恐怖。

〇ネオン街
  あたしたちはアイドル。
  でも、
  普通のアイドルじゃない。

〇渋谷の雑踏

〇渋谷の雑踏
  もうすぐクリスマス。
  今年も一人きりだ。

〇シックなバー
  たくさんの男たちと寝て

〇レトロ喫茶
  女友だちも多い。

〇見晴らしのいい公園
  けれど
  あたしはひとり

〇西洋の城
  あたしは『夢の国』に一人で行った。
  久しぶりだった。
  中学生のころ、両親と一緒に行った。

〇山間の集落
  田舎の両親はどうしているだろう。

〇田園風景
  親には
  今の仕事は言っていない。

〇森の中の駅
  親バレも、べつに平気。
  そんな女の子は多くなったけれど・・・・・・。

〇山中の川
  あたしは
  親を悲しませたくない。

〇渋谷のスクランブル交差点
  だから
  あたしはひとりでいる。

〇王宮の入口
  ワールドバザールの前では
  大きなクリスマスツリーが飾られていた。

〇王宮の入口
  その前で
  『夢の国』のキャストたちが
  写真を撮っていた。
颯人(ハヤト)「お写真、いかがですか?」
  声をかけられる。
  爽やかな笑顔。
  イケメン君だ。
  もう長いこと
  こんなピュアな笑顔に会っていない。
  ピュアな心にも。
  あたしはどぎまぎして
  「ごめんなさい」と言って
  顔を赤くして
  その場から立ち去った。

〇幻想空間
「でも、気になって、 もう一度、ワールドバザールに行ってみた」
  あのイケメン君のキャストはいた。
颯人(ハヤト)「ああ、おかえりなさい!」
  彼は、私の顔を見て、爽やかな笑顔を見せた。
詩音(シオン)「あのう、すみません。 お名前、教えて下さい」
颯人(ハヤト)「僕、颯人(ハヤト)っていうんだ」
颯人(ハヤト)「お一人ですか? ディズニーはよく来るんですか?」
詩音(シオン)「いえ、久しぶりです」
颯人(ハヤト)「そうなんだ。ゆっくりお楽しみください」

〇西洋の城
  一週間後、あたしはもう一度
  『夢の国』に行った。

〇王宮の入口
  ワールドバザールのツリーに行くと
  颯人がいた。
  さっそうとしていて
  カッコよかった。
  颯人も
  あたしに気がついた。
颯人(ハヤト)「ああ、この間はどうも」
  颯人は、あたしのことをおぼえてくれていた。

〇キラキラ
詩音(シオン)「「写真、撮っていただけますか?」 あたしは、顔を赤くして言った」
颯人(ハヤト)「もちろんです」
詩音(シオン)「でも、あたし・・・・・・」
颯人(ハヤト)「どうかしましたか?」
詩音(シオン)「「あのう、あたし、 AV女優なんです」
詩音(シオン)「昨日もいっぱい いやらしいことされて それで、 それで・・・・・・」
詩音(シオン)「それでもいいんですか?」
  颯人は穏やかな笑みを
  あたしに向けた。

〇幻想
颯人(ハヤト)「僕は、人を職業で差別する気はない」
颯人(ハヤト)「けれど、 愛やセックスは 本当に大切な、ひとりの人のために 大切に取っておいた方がいい」
  颯人はそれだけを言うと、
  限りなく素敵に
  美しく
  あたしの写真を撮ってくれた。

〇幻想2
  写真を撮り終えた後で
  あたしは
  颯人に尋ねた。
詩音(シオン)「あなたは、どうして そんなに素敵な笑顔ができるの?」
颯人(ハヤト)「僕らは時給1000円」
颯人(ハヤト)「結婚どころか、 彼女なんてできない」
颯人(ハヤト)「でも、 僕たちキャストは、 みんなから 必要とされている」
颯人(ハヤト)「大きな 夢の舞台をつくっている」
颯人(ハヤト)「ひとり一人が」
颯人(ハヤト)「僕は 幸せそうな人の顔を見るのが 好きなんだよ」
颯人(ハヤト)「それだけで 僕は 幸福になれるんだよ」
  あたしは、天使になれた気がした。
  あたしは、颯人の目をまっすぐ見つめた。
  そして、言った。
  「ありがとう」

〇女の子の一人部屋

〇女の子の一人部屋

〇女の子の一人部屋
  あたしは家に帰ってから
  颯人が撮ってくれた写真を見た。

〇幻想空間
  ここには
  あたし一人しか写っていない。

〇幻想
  けれど、
  その隣には
  颯人がいる。
詩音(シオン)「あたし、 面接を受けよう」
詩音(シオン)「夢の国へーーーー」
詩音(シオン)「颯人のいる 夢の世界へーーーー」
  あたしたちは
  夢の舞台で
  大きな夢を演じる。

〇幻想2
  あたしたちは
  思いっきり
  微笑みあう。
  「メリー・クリスマス!」と。

コメント

  • AV女優さんというのは、シオンちゃんみたいに親にも言えなかったり孤独なお仕事でもあるんだろうなと考えさせられました。夢の国での出会いが人生の転機になったのなら、その出会いは必然だったのかもしれませんね。

  • 作品世界に登場する人物たちがリアルでした。特に見知らぬ男たちはAVの仕事について全然知らないんだろうなぁというような感覚がありました。無意識の差別はいけませんよね。どんな職業でも誇りがあります。

  • 読み進めて何だか、不思議な気持ちになるお話しでした。たくさんの種類の仕事があり、どの方もプライドやプロ意識があり取り組んでいますが、本心は見えないものですよね。

コメントをもっと見る(5件)

成分キーワード

ページTOPへ