エピソード3 SILKLET part2+UNKNOWN(脚本)
〇荒廃した街
──スラムエリア、廃家。P.M.20:00。
インパルス「・・・・・・はぁー」
シルクレット「・・・・・・」
インパルス「これは・・・・・・不味い、な。えー、おい」
割れた窓からこっそりと外を覗く。
シルクレット「・・・・・・本部に応援の要請を推奨します。我々の手持ち火器も限界です」
インパルス「わかってる。・・・・・・ちっ、ライフルは終いだな」
インパルス「──こちらインパルス、GHQへ。応援要請を」
ガガガガガガガ──────。
インパルス「・・・・・・?・・・・・・────GHQ?GHQ!?」
ガガガガガガガ────。
インパルス「・・・・・・どうなってる?ここは通信障害発生地帯だったか?」
シルクレット「────いいえ、通信を妨害されています。私からも通信が不可能です」
インパルス「・・・・・・」
シルクレット「このエリアにテロリズム・叛逆思想の組織・集団は?」
インパルス「んなもんいねぇよ。・・・・・・ここは誰も住まねぇ。お前教えられなかったのか?」
シルクレット「はい」
シルクレット「正確には教養期間を繰り上げて、入隊しました。いわば0歳児が大学院や社会に放り込まれるようなものです」
インパルス「何その例えは?馬鹿じゃないの?無能でもそんな発想しねぇよ」
シルクレット「失礼過ぎます。何処撃たれたいですか?」
インパルス「やめろやめろ。・・・・・・はぁ、ここで奴らに見つかるのは時間の問題。しかも奴らは徘徊する────えーと」
シルクレット「────ゾンビ」
インパルス「それだ。戦前の映画やドラマで出てくるクリーチャーだ」
シルクレット「外にいるのはバイオノイドですがね。でも────」
変異バイオノイド「ア"ア"ア"ア"ア"」
シルクレット「よくよく見れば、あのバイオノイド達腐ってます」
インパルス「腐ってる?」
シルクレット「はい、2件目バイオノイドの件ですが──覚えていますか?3ヶ月前の事案の」
インパルス「ああ、積まれていたバイオノイドの輸送車が行方不明になった。その時俺は出ていないがな」
シルクレット「行方不明になったのは6両。件発生から8日後に3両発見されました。その4日後に残りの3両も発見──」
インパルス「──その変わり6両とも空っぽ。早々に未解決となった。まさか外の連中は」
シルクレット「かもしれません」
インパルス「・・・・・・」
シルクレット「ですが腐敗スピードが早すぎます。それが気になりますが」
インパルス「じゃあ、こいつを本部に持って調べさせるか」
インパルス「これには奴らの血が付着してる。そうすれば腐敗した原因がわかるだろうし」
シルクレット「ではここから無事に離脱しましょうか。ナイフは紛失せず、弾薬はなるべく消費を押さえたいですが」
インパルス「うっし、こっからはステルスだ。アイツらのお仲間にはなりたくねぇしな」
〇荒廃した街
────スラムエリア、廃ビル。
「・・・・・・ん?」
「どったの?」
「こいつは──」
「・・・・・・」
「んーこいつは・・・・・・バイオノイドじゃなくて『サイボーグ』か?」
「・・・・・・おい、あれを動かすか?」
「いいや、まだ整備中。『あそこ』からサルベージするのにどれくらいつぎ込んだと思う。100階層のビル一棟が建てられる程──」
「砲を使うだけだ。・・・・・・ッで使えるか?」
「いんや、中身が全部おしゃかだ」
「おまけにバイオノイドの生体部品で代用してみたが────」
「それも動かず、か──」
「・・・・・・こいつは監視対象にする」
「かの大戦の・・・・・・『残り』かもしれん」
「じゃあ、『これ』でちょっと遊ぶ」
持ち出したライフル、狙撃用に調整改造(キット・カスタマイズ)されたライフルを手渡す。
「・・・・・・まぁ────良いだろう」