エピソード1(脚本)
〇見晴らしのいい公園
俺の名前は木田太一
俺は今、正念場を迎えていた・・・
木田太一「あなたの事が気になっていました」
木田太一「光さんのことが好きです! 僕と付き合ってください!」
持田光「・・・はい。こちらこそお願いします」
木田太一「え、ほ、ほんとに!?」
持田光「うん」
木田太一「や・・・」
木田太一「やったああああああ!!!」
木田太一(ああ、奇跡が起きた・・・)
木田太一(神様ありがとう!人生で初めてできた彼女!大切にするぞ!)
〇開けた交差点
持田光「ね、折角だし手つないで帰ろっか」
木田太一「え、あ、うん!!」
木田太一(うう、なんて幸せなんだ・・・)
木田太一(ただまっすぐ帰るのもアレだし、ちょっと家に誘ってみたり・・・?)
木田太一「ね、ねえ」
持田光「んー?」
木田太一「もしよかったらこのあとさ・・・」
そう言いかけて、彼女の方を見ると
???「なに?」
なぜか俺は知らないオジサンと手を繋いでいた
木田太一「えっ!?はっ!?」
持田光「どうしたの?」
目をこすると、間違いなく手を繋いでるのは光さん
木田太一「い、いや・・・」
持田光「あはは、変なの!」
木田太一「あ、あはは」
木田太一(疲れてる、だけだよな・・・)
〇地下街
数日後──
木田太一「あれ?嘘だろ?財布がない!」
それからはなぜか不幸の連続だった
〇見晴らしのいい公園
木田太一「ひっ、ひえええええええっ!!!!?」
犬に追いかけ回され
〇新橋駅前
チンピラ「待たんかい!!コラぁ!!」
木田太一「なっ、なんでえええええええっ!!!?」
チンピラに追い掛け回され
〇公園のベンチ
木田太一「なっ、なんでえええええええ!!?」
挙句の果てに、馬にまで追いかけ回される目に・・・
木田太一「はあっ、はあっ・・・」
木田太一(な、何でこんな・・・)
木田太一(少し前まで幸せの絶頂にいたはずなのに・・・)
???「・・・」
〇開けた交差点
木田太一「って感じで、最近大変だったんだよ・・・」
持田光「災難だったね・・・」
持田光「あ、そうだ!今日ご飯作りに行ってあげようか?」
木田太一「え、いいの!?」
持田光「もちろん!」
木田太一(光さんがウチに・・・)
木田太一(ああ、なんだか一気に暗い気持ちが吹き飛んだぞ!)
???(・・・・・・)
〇明るいリビング
持田光「はい、どーぞ召し上がれ」
木田太一「うおおお・・・」
食卓に光さんの手料理が並んだ
木田太一「な、なんて美味そうなんだ・・・」
木田太一「うう、彼女の手料理なんて1万年と2000年ぶりだから」
木田太一「なんか泣けてきた・・・」
持田光「あはは、大げさだなあ」
持田光「ほら、冷めないうちに食べて?」
木田太一「う、うん!」
木田太一「いただきまーす!」
木田太一「って、あれ?」
「別れろ・・・別れろ・・・」
木田太一「なっ、なんだなんだ!?」
その瞬間、部屋の電気が一斉に消えた
持田光「きゃああああああ!!?」
〇明るいリビング
持田雄三「別れろ・・・別れろ・・・」
木田太一「な、なんだこのおじさん!?」
突如部屋の中に、見知らぬ中年男性がぬっと現れた
持田光「お、お父さん!?」
木田太一「お父さん?って、えええ!?」
木田太一「で、でもお父さんは5年前に事故で・・・」
持田光「う、うん。亡くなったはずなんだけど」
持田光「お父さん、どうしてここにいるの!?」
持田雄三「ああ、俺は・・・」
持田雄三「娘をたぶらかす害虫に天誅を食らわせに来た!」
木田太一「は、はあ!?」
木田太一「ま、まさか最近不幸が続くと思ったのはお父さんが原因だったんですか!?」
持田雄三「・・・ああ、そうだ」
持田光「なんで、そんなこと・・・」
持田雄三「だって・・・」
木田太一「だって・・・?」
持田雄三「昔小さい時『大きくなったらお父さんと結婚する』って言ったじゃないか!」
木田太一「ええ・・・」
木田太一「そんな理由で・・・」
持田雄三「そんな理由とはなんだ!!」
木田太一「うわあああああ!!?」
木田太一「お、お父さん、光さんとは真剣なお付き合いなんです」
木田太一「僕たちの交際を認めてください!」
持田雄三「ええい!!貴様にお父さんと呼ばれる筋合いはないわ!!」
木田太一「ぎょええええええ!!?」
お父さんが怒った瞬間に稲妻が降り注ぎ、地面が激しく揺れる
父の執念、恐るべし・・・
持田光「聞いてお父さん!太一さんはとってもいい人よ!」
持田光「それに何よりお父さんに似てるの」
持田雄三「え・・・」
持田光「真面目で、一生懸命で・・・」
持田雄三「光・・・」
〇明るいリビング
持田雄三「お父さんが間違ってたな・・・」
持田雄三「太一君、すまなかった」
木田太一「い、いえ、わかってもらえたのなら」
木田太一(このおっさん、娘にはチョロいな・・・)
持田雄三「俺はもう死んでるからこのコを守ることが出来ない」
持田雄三「娘の事、頼んだよ太一君」
木田太一「お父さん・・・」
そう言い残してお父さんは天国へと旅立っていった
彼女を大切にしよう、僕はそう深く誓った
もう二度とこの厄介なお父さんが現れないように・・・
〇ハチ公前
それから一週間後──
持田光「あ、太一君!」
木田太一「ごめん、遅れた!」
持田光「どうしたの?何か・・・」
持田光「って、誰その人?」
木田太一「なんかさ、朝起きたらこの人にのしかかられてたんだけど」
木田太一「この人って光さんのおじいちゃんとか?」
持田光「ごめん、知らない人・・・」
木田太一「え、えー!!?」
お父さんの事件がきっかけで、僕の身体は憑きやすい体質になってしまったとさ・・・
お見事なオチですね、笑ってしまいました!彼女の亡き親族に次から次へと、という展開を予想するも、まさかの知らない人(霊)!?
木田くんに憑いてくる人がどんどん増えて、そのうち部屋いっぱいになって身動き取れなくなりそう。憑いてくる人が仕事や家事を手伝ってくれたらラッキーなんですけどね。
昔から心優しい人には霊がツキやすいといいますよね。最後のオチが最高でした! 彼女を大切にしようという彼の裏腹な気持ちもかなり笑えました。