雨漏り女

和泉歌夜(いづみ かや)

本編(脚本)

雨漏り女

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雨漏り女
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〇カラオケボックス
  タララン♫
  タララン♫
  タラララ〜♫
水川あみ「どしゃぶりのなか〜で♪ 待っ〜た♪」
水川あみ「あの日〜に〜は〜♪ も〜どれな〜い〜♪」
  ガチャッ
水川あみ「あっ!」
カラオケのバイトの子「も〜! またここも雨漏りしてる〜!」
カラオケのバイトの子「本当に嫌になっちゃう! レジも、トイレも急に雨漏りしちゃって・・・」
カラオケのバイトの子「今日の天気は晴れなのに・・・!!」
水川あみ「・・・ごめんね」
カラオケのバイトの子「・・・あれ?」
カラオケのバイトの子「今、誰か声が聞こえたような・・・」
カラオケのバイトの子「まぁ、いいや! そんな事より、掃除掃除・・・」
水川あみ「・・・」
水川あみ「皆様は、こんな都市伝説を聞いた事はございますか?」
水川あみ「"雨は降っていないのになぜか雨漏りする"」
水川あみ「"どこからか知らない女性の声が聞こえてくる"」
水川あみ「それは全部私のせいなんです」
水川あみ「私は"雨漏り女"」
水川あみ「幽霊か妖怪の類いと思ってくださればいいです」
水川あみ「今日は何だかカラオケを歌いたい気分だったので、来ちゃいました!」
水川あみ「でも、私が来るとこんな感じなってしまうんです・・・」
水川あみ「まぁ、もうすっかり慣れてしまったので、全然気にしてないですけど」
水川あみ「むしろ電車に乗る時も改札を通さずに乗れますし、」
水川あみ「レンストランとか、映画館とか、どんな所でも気づかれずに入れるので、タダで食べ放題! 乗り放題です!」
水川あみ「もうラッキーでしかないですよ〜! ハハハ〜!」
水川あみ「・・・でも、まぁ、私が行くと、そこら中で雨漏りしてしまいますので、他の人から見たら迷惑極まりないですが・・・」
カラオケのバイトの子「あーーー! もう!!! 上から落ちてくる水滴が頭にあたって、うっとおしーーーー!!!」
水川あみ「ほら、あんな感じでムカムカしてしまいますので、私はこの辺で・・・・・・」
水川あみ「・・・え? 私がどうして"雨漏り女"なんかになったのかって?」
水川あみ「う〜ん、ずいぶん昔の事だから覚えてないんですけど・・・」
水川あみ「でも、噂によれば、"悲恋が原因で自ら命を絶った女性が雨漏り女になった"と聞いた事があります」
水川あみ「私も、もしかしたら、そうなのかもしれないですね」
水川あみ「それでは、またどこかでお会いしましょう」
カラオケのバイトの子「・・・あれ? 急に雨漏りが無くなってる」
カラオケのバイトの子「ど、どうなってるんだろう・・・なんか・・・怖い・・・」
  店長「おーい! ちょっと来てくれ!」
カラオケのバイトの子「は、はい!」
カラオケのバイトの子「い、いけない! 店長に呼ばれちゃった!」
カラオケのバイトの子「急がないと!」
カラオケのバイトの子「・・・でも、本当に何だったんだろう。あの雨漏りは・・・」
カラオケのバイトの子「ま、まさか伝説の雨漏り女じゃ・・・」
カラオケのバイトの子「ま、まさかね! ハハハハハ!!!」
カラオケのバイトの子「さぁ、気を取り直して、仕事仕事!!」
  雨も振ってもいないのに、雨漏りがする・・・
  もしかしたら、それは"雨漏り女"の仕業かもしれません・・・

コメント

  • 憂鬱かつ腹立たしい雨漏りも、こういった女性の仕業かと考えると、不快さや不満も少しは和らぎそうな……ちょっぴりだけですけどねw

  • 雨女という存在は多くいるものの、雨漏り女は初耳でした!そんな彼女が存在する経緯が切なく、何か成仏できるきっかけを見出してほしいなあと思いました。

  • 「雨漏り女」という割にはカラッとした性格の陽気なお姉さんですね。屋外にいたら無害な妖怪なのか、それとも「雨女」になるのか、気になるところです。

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