エピソード1(脚本)
〇川沿いの公園
音間結衣(遅い・・・デートに遅れてくるなんて・・・)
音間結衣(いいや、今日のランチ奢ってもらっちゃお)
橘湊「ごめんお待たせ! 待った?」
音間結衣「待ったよ? どれだけ待たせ──」
お姉さん「君が音間ちゃん? へえ〜」
音間結衣(・・・誰!?)
音間結衣(急に現れたけど誰よこの女。もしかして浮気?)
お姉さん「あ、自己紹介まだったよね。私の名前は横山ケイ。よろしくね?」
橘湊「もうお姉さん、それは昔の名前じゃん?」
お姉さん「ごめんごめん間違えた。橘ケイだったわ」
音間結衣(旧姓ってそういうこと? 籍を入れちゃったってこと?)
音間結衣(ということは、私それを知らずに言い寄ってた「カワイソウ」な女なの?)
橘湊「ごめん結衣・・・」
音間結衣(これで別れを切り出されるんだね。あなたと過ごした1年間楽しかったな)
橘湊「実は・・・」
橘湊「こいつ、義理の姉なんだ」
音間結衣「はぁ?」
橘湊「親が再婚して姉ができたんだ」
橘湊「今日も引き離そうとしたんだけど無理やりついてこられちゃって、」
橘湊「遅れちゃったのはそれが理由」
音間結衣「本当に?」
橘湊「うん」
音間結衣「嘘じゃないよね?」
橘湊「信じて欲しいな」
音間結衣(まあ信じるけど、久しぶりのデートにこの女連れて行くの嫌だなー)
音間結衣(空気読んで帰ってくれないかなぁ)
お姉さん「あ、ご飯食べに行くなら私が奢るわね?」
橘湊「あー、ありがとうお姉さん・・・」
音間結衣(湊も何だか嫌がってるよ。百合の間に挟まる男の対義語さんじゃん)
あ! 湊!
若い女の子「ちわーっす」
橘湊「は? 真由美? いつから来たんだ?」
音間結衣(なんかまた知らない女が現れた)
音間結衣(しかも呼び捨て?)
若い女の子「あ、私来たらダメだったかなぁ」
若い女の子「修羅場る? 修羅場っちゃうの?」
音間結衣(うざっ。絶対自己中なタイプの女だ)
音間結衣(彼女がいると知っておきながら男に言い寄ってくる、謂わば男の仇敵・・・)
橘湊「来る時くらい連絡入れろよ。迎えに行くからさ」
若い女の子「えー、だってぇ。ちょっと会いたかったんだもーん」
音間結衣(本当に誰よこの女)
音間結衣「連絡も取り合ってるみたいだし」
音間結衣(迎えにって、完全に黒だね)
音間結衣(もう2人でイチャイチャしてろよ)
若い女の子「私1週間後に帰るから家止めてね♡」
橘湊「やだ」
若い女の子「なんでよう、冷たいなぁ」
音間結衣「あれ? 元カノさん?」
橘湊「あ、ごめん結衣。こいつは実の妹の柊花」
橘湊「イギリスの大学で天体を学んでいたはずなんだけど」
橘湊「突然帰ってきた」
若い女の子「もう、湊ったら冷たいんだからぁ」
橘湊「柊花、イギリス人の彼氏はどうしたんだ」
若い女の子「なんかぁ、ちょっと趣味が合わないっていうかぁ?」
若い女の子「別れちゃった⭐︎」
音間結衣(なんかすごい家族だな)
音間結衣(私、この中に混じって、やっていけるんだろうか)
音間結衣(もういっそ、別れたほうがいいような?)
音間結衣(本当に誰だよ、この女達)
音間結衣「ごめん、今日──、郁恵・・・ちゃん?の命日なんだよね」
音間結衣「今日は家族で楽しんでー!」
お姉さん「湊、追いかけなさい」
橘湊「うんっ」
若い女の子(郁恵って誰だよその女)
お姉さん(これで湊を誑かす女に不信感を持たせられたわね。次の作戦は──)
このタイトル、インパクトがありますねww
次々と現れる湊くんの身内、そして心の中で修羅場る結衣さん、展開が楽しいですね!
読んでいくうちに、何気に結衣が一番嫌な女だなぁと思っていたのでラストのオチにはむしろスカッとしました。実は湊が結衣と別れたくて家族にお芝居を頼んだ、という二段落ちかと思ったらさすがにそれはなかったですね。
タイトルが秀逸ですね!
好きです!