整形外科に来ただけなのに

サンケー

整形外科(脚本)

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〇クリニックのロビー
  8月 28日
田中「いてぇー!!」
田中「ドアに指挟んだ・・・」
田中「腫れてるな・・・」
田中「整形外科来たけど、まだかな?」
花村(看護師)「お待たせしました」
花村(看護師)「田中さん、診察室にどうぞ」
田中「キター!!ようやく、俺の番だ」
田中「はーい!」

〇病院の診察室
巻島先生(医者)「どうぞ」
田中「失礼します」
巻島先生(医者)「えーっと、田中一郎さん、30歳」
巻島先生(医者)「独身、童貞ですね?」
田中「ど、童貞じゃないです」
田中「女性経験が無いだけです」
巻島先生(医者)「それを世間一般では、童貞と呼びます」
田中「えっ・・・あの、、、」
田中「問診票にそんな事を書いた覚えないんですけど」
巻島先生(医者)「あぁ、これはうちの看護師から見た印象ですから、気にしないで下さい」
田中「問診票に何を書き足してるんだ!おかしいだろう!」
巻島先生(医者)「すみませんね。看護師たちの趣味で」
田中「ヤバ過ぎる・・・」
巻島先生(医者)「それで、今日はどうされました?」
田中「あぁ、怪我をしてしまいまして」
巻島先生(医者)「あら、ほんと。だいぶ腫れてますね」
田中「ドアを強く閉めた時に挟んだんです」
巻島先生(医者)「あー、なるほど」
巻島先生(医者)「道理で、そんなお顔に・・・」
田中「いや、顔は元から!指の方!」
巻島先生(医者)「あー、そちらでしたか・・・ 確かに酷い」
巻島先生(医者)「相当強く、ドアドンしましたね?」
田中「壁ドンみたいな言い方やめろ!」
巻島先生(医者)「やっぱ・・・ キュンとしました?」
田中「する訳ないだろう!」
巻島先生(医者)「ちなみに、ドアはノブが付いてるタイプですか?」
田中「あっ、はい」
巻島先生(医者)「じゃあ、くいっと回すわけね。 ノブクイね」
田中「アゴクイと掛けたいだけだろう!?」
巻島先生(医者)「ちょっと、田中さん?」
田中「なんだ!?」
巻島先生(医者)「怖いので、威圧的な態度取るのやめてもらっていいですか?」
田中「あっ、すみません」
巻島先生(医者)「お願いしますね」
巻島先生(医者)「あと、レントゲンの結果ですが、だいぶ酷いので紹介状書いておきます」
田中「紹介状って・・・」
田中「もしかして、手術とかするんですか?」
巻島先生(医者)「そうですね」
巻島先生(医者)「ここまで酷いと、こちらでは手の施しようがありません」
田中「なっ!まさか、骨とか、やってるんですか?」
巻島先生(医者)「はい。 まず、ほう骨を削って・・・」
田中「えっ?」
巻島先生(医者)「鼻筋をもう少し高くして、 あと、目頭を切開して・・・」
田中「顔面整形希望じゃねーよ!指の怪我」
田中「ここ見ろよ。怪我ないのか?」
巻島先生(医者)「指の毛がない? 植毛手術も希望ですか?」
田中「なんでだよ! 指毛の需要なんてあるのか?」
花村(看護師)「私は好きですよ」
巻島先生(医者)「あら、良かったじゃない」
田中「何がだよ!いい加減にしろ!」
  トントン、入るぞ!
飯島先生(医者)「巻島君。 今から、お茶でもしに行かないか?」
巻島先生(医者)「飯島先生。また病院抜け出して来たんですか?」
飯島先生(医者)「午前中の予約無くて、暇だったからな」
巻島先生(医者)「そういう問題ですか? それに今、診察中ですよ」
  なんだ、このおっさん。
田中「あのー、あなたは?」
飯島先生(医者)「私か? 私は向かいの総合病院に勤める外科医だ」
田中「なんで総合病院の医者が、ここにいるんですか?」
飯島先生(医者)「うん? 暇だからに、決まっているだろう」
田中「暇って、あんた・・・」
田中「いいんですか?仕事中ですよね?」
飯島先生(医者)「いいの、いいの」
飯島先生(医者)「君が黙っててくれれば、バレないんだから」
巻島先生(医者)「とりあえず、次の患者さんも待ってますから」
巻島先生(医者)「飯島先生、お帰り下さい」
飯島先生(医者)「巻島君。 君もだいぶ偉くなったもんだね。 誰のお陰で、開業医になれたか・・・」
飯島先生(医者)「忘れた訳じゃないよね?」
巻島先生(医者)「・・・」
  おいおい・・・
  勘弁してくれよ
飯島先生(医者)「まぁいい。 私はこれで、失礼するよ」
  ガチャ
田中「大丈夫ですか?」
巻島先生(医者)「見苦しい所をお見せしてしまって、すみません」
田中「いいえ・・・」
巻島先生(医者)「先程までの冗談はさて置き・・・」
  さっきまでの冗談だったのか・・・
巻島先生(医者)「指の怪我が酷いのは事実ですので」
巻島先生(医者)「後遺症の懸念も含めて、豊曲総合病院への紹介状をお渡ししますね」
田中「分かりました」
  豊曲総合病院って、ここの向かいにある病院だよな。
  さっき来ていた医者が勤めている所か・・・
  少し不安だ
巻島先生(医者)「では、待合室にお戻りください」
田中「あぁ、はい」
  ガチャ・・・
巻島先生(医者)「・・・」
花村(看護師)「先生。 次の患者さん、お呼びしてもいいですか?」
巻島先生(医者)「えっ・・・あっ」
巻島先生(医者)「いいわよ」
花村(看護師)「分かりました」

〇空っぽの部屋
  【速報】
  豊曲市にて、30代男性が行方不明
  今月に入り、5人目。
  警察は事件の可能性も視野に入れて、行方不明者の捜査にあたっています。
尾上(警視)「三上ちゃん、行方不明者の情報は?」
三上(警部補)「はい」
三上(警部補)「1人目の高多宝華 21歳 女子大生」
三上(警部補)「彼女は、豊曲総合病院の精神科に通院していた記録があります」
尾上(警視)「・・・精神科ね」
三上(警部補)「2人目は、小牧喜多郎 32歳」
三上(警部補)「過去に恐喝、強盗などで、複数回の逮捕歴があります」
尾上(警視)「それは、だいぶ恨み買ってそうだね」
三上(警部補)「3人目は・・・」
尾上(警視)「うん、どうした?」
三上(警部補)「いいえ」
三上(警部補)「3人目は、篠森真由美」
三上(警部補)「27歳の会社員です」
尾上(警視)「会社員・・・他に情報は?」
三上(警部補)「いいえ。特に・・・」
尾上(警視)「そうか。 じゃあ、次だ」
三上(警部補)「4人目は牧内薫。24歳」
三上(警部補)「彼女は、豊曲工業社長の娘です」
尾上(警視)「豊曲工業だって!? 大企業じゃないか」
尾上(警視)「身代金目的の誘拐も有り得るな」
三上(警部補)「現在、身代金要望はないみたいです」
尾上(警視)「そうか! 最後の一人は?」
三上(警部補)「加藤 太一、30歳」
三上(警部補)「知人からの証言なのですが、ここ最近、宝くじを当てたそうです」
尾上(警視)「いくらだ?」
三上(警部補)「そこまでは・・・」
尾上(警視)「金絡みの線があるな・・・」
尾上(警視)「しかしだ」
尾上(警視)「全体的に関連性が薄いか・・・」
三上(警部補)「そうですね」
尾上(警視)「よし、1ヶ月の間に同市内で行方不明者が続出しているのには、必ず、理由がある」
尾上(警視)「手分けして、情報を集めろ!」
尾上(警視)「そして、警察の威信が掛かってるぞ!」
三上(警部補)「はい!」
尾上(警視)「・・・」
尾上(警視)「・・・」
尾上(警視)「なぁ?警部」
山岡(警部)「なんでしょう?」
尾上(警視)「三上ちゃんって、あんな真面目な感じの子だったか?」
山岡(警部)「2週間前くらいから、人が変わったように、仕事熱心になりましたね」
尾上(警視)「やはり・・・」
山岡(警部)「尾上警視、何か心当たりでも?」
尾上(警視)「憧れだろうな?」
山岡(警部)「えっ?」
尾上(警視)「俺への憧れで間違いないだろう」
山岡(警部)「そ・・・そうですね」

〇校長室
???「今回の素材もなかなか良い」
???「ありがとうございます」
???「依頼者の要望に応えられそうだ」
???「はい・・・」
???「今回も報酬の2割を君に支払う・・・それでいいな?」
???「はい・・・」
???「どうした?不満か?」
???「いいえ。あの私には、もう耐えれません」
???「あははは・・・ 何を言っているんだ?」
???「今回を最後に、私は降ります」
???「バカを言うな・・・」
???「君はもう・・・」
???「共犯なんだぞ」
???「うっ・・・」
???「築き上げたもの全てを失って」
???「犯罪者になりたいのか?」
???「・・・最低ですね」
???「あははは・・・君が言うな」
???「それに、降りてもいいが・・・」
???「忘れるな」
???「!?」
???「君の代わりなど、いつでも用意出来る事をな」

〇病院の待合室
  言われるがまま、来ては見たものの・・・
  そんな大きな怪我だったのか、これ?
田中「手術かな・・・」
飯島先生(医者)「これはこれは、田中さん。 待ってたよ」
田中「あっ、先程はどうも」
飯島先生(医者)「直ぐに処置するから、私に着いて来て」
田中「受付は?」
飯島先生(医者)「大丈夫、大丈夫」
田中「・・・はい」

〇階段の踊り場
田中「あの?」
飯島先生(医者)「なんだね?」
田中「やはり、手術になるのでしょうか?」
飯島先生(医者)「どうかな? それは診察してみないと分からないな」
田中「はぁ・・・」
田中「ところで、どこに向かってるんでしょうか?」
飯島先生(医者)「あぁ、それは特別診療室だよ」

〇総合病院
飯島先生(医者)「時間が掛かってしまって、すまんかったね」
田中「いえいえ」
田中「手術するまでも無くて、一安心でした」
飯島先生(医者)「暫く、通院はしてもらうけど、一ヶ月もあれば完治するだろう」
飯島先生(医者)「若さの治癒力は素晴らしい」
田中「あははは・・・」
田中「ありがとうございました。 それでは、これで・・・」
  骨にヒビが入っていた程度か・・・
  折れてもいないし、一安心だ。
  けど、巻島先生は何故?
  紹介状などを出したのだろうか・・・
田中「本当にヒビだけなのかな? 不安になって来た」
  痛たたァ・・・
三上(警部補)「すみません」
田中「こちらこそ、すみません。 お怪我はありませんか?」
三上(警部補)「大丈夫です。 あっ、これお荷物・・・」
田中「あっ、すみません・・・」
三上(警部補)「・・・本当にすみませんでした。 それでは」
田中「考え事しながら歩くもんじゃないな。 気を付けないと」
  ぷるるる・・・
飯島先生(医者)「ちっ・・・」
飯島先生(医者)「はい、もしもし・・・」
飯島先生(医者)「分かってる、分かってる」
飯島先生(医者)「期日までには、間に合うから、しつこく掛けて来ないでもらえるかな?」
飯島先生(医者)「1000万は、ちゃんと返す」
飯島先生(医者)「私は忙しいんだ。切るぞ」
飯島先生(医者)「ちっ・・・」
花村(看護師)「お疲れ様です」
巻島先生(医者)「お疲れ様」
花村(看護師)「あれ?あそこにいるの飯島先生ですよね」
花村(看護師)「こんな遅くまで働いているなんて珍しいですね」
巻島先生(医者)「そうね・・・」
花村(看護師)「先生?」
巻島先生(医者)「なに?」
花村(看護師)「今日、紹介状出した田中さんの怪我」
花村(看護師)「そんなに酷いものでした?」
巻島先生(医者)「え?」
花村(看護師)「私の見立てだと、指先を固定して、経過観察だけで済みそうだと思ったので」
巻島先生(医者)「花村さんは、医療の勉強していたわよね?」
花村(看護師)「はい・・・」
花村(看護師)「母子家庭なので、お医者さんへの道は諦めてましたけど」
花村(看護師)「豊曲が総合病院で巻島先生に出会ってから、もう一度、先生みたいに素敵な女医さんを目指したいって思って勉強しています」
巻島先生(医者)「あなたなら、素敵な女医になれるわよ」
  ・・・私と違って
花村(看護師)「えっ?」
巻島先生(医者)「なんでもないわ。帰りましょう」
花村(看護師)「はい・・・」

〇屋敷の門
  8月31日
  4人目の行方不明者
  豊曲工業の社長令嬢
  牧内薫の自宅前
尾上(警視)「こんにちは! 豊曲警察署の尾上と申します」
尾上(警視)「牧内社長はご在宅でしょうか?」
沢村(メイド)「お忙しい中、お越し頂きありがとうございます」
尾上(警視)「失礼ですが、あなたは?」
沢村(メイド)「はい。 このお屋敷に勤めるメイドでございます」
尾上(警視)「流石、大手企業の社長宅。 メイドがいるとはな・・・」
沢村(メイド)「薫お嬢様の件でしょうか?」
尾上(警視)「そうですね」
沢村(メイド)「あいにく、ご主人様は不在なのですが、奥様がいらっしゃいますので、お取り次ぎ致しましょうか?」
尾上(警視)「お願いします」
九重 紗奈「・・・」

〇旅館の和室
沢村(メイド)「こちらです」
尾上(警視)「どうも」
牧内穂乃果「こんにちは」
尾上(警視)「お邪魔しています」
尾上(警視)「豊曲警察署の尾上と申します」
尾上(警視)「この度は、行方不明の薫さんについて、お話をお伺いに来ました」
牧内穂乃果「お忙しい中、ありがとうございます」
牧内穂乃果「どうぞ、お座り下さい」
尾上(警視)「失礼します」
尾上(警視)「突然で申し訳ありませんが、薫さんが行方不明になった日の出来事を教えて頂けませんか?」
牧内穂乃果「分かりました」
  10日前のお話になります。
牧内薫「おはようございます、お母様」
牧内穂乃果「あら、薫さん。おはようございます」
牧内穂乃果「今日は、早起きですね」
牧内薫「えぇ。 今日は朝から出かける用事がありますので」
牧内穂乃果「そうでしたか? 午後には戻られるのでしょうね?」
牧内薫「もちろんですとも、生け花の稽古にバイオリンの稽古もありますから」
牧内穂乃果「そうですよ。 牧内家の人間として、どこに出しても恥ずかしくない振る舞いを覚えなくてはいけませんからね」
牧内薫「分かっていますよ、お母様」
沢村(メイド)「薫お嬢様、お出掛けに必要な物の準備が終わりました」
牧内薫「沢村さん、ありがとう」
牧内穂乃果「どこか遠くへ、行かれるのですか?」
牧内薫「いいえ、市内ですわ」
牧内穂乃果「それにしては、荷物が多いこと・・・」
沢村(メイド)「宜しければ、私がお供致します」
牧内穂乃果「それが良いわね」
牧内薫「一人で大丈夫ですから、もう子供じゃないんですよ」
牧内穂乃果「運転手は、どうするの?」
牧内薫「バスで行きますので」
沢村(メイド)「バスでございますか?」
牧内穂乃果「大丈夫かしら?」
牧内薫「バスくらい乗れます!」
沢村(メイド)「余計な事を言ってしまい、失礼致しました」
牧内薫「気にしないで」
牧内薫「行ってきます」
牧内穂乃果「気を付けて下さいね」
牧内薫「はい、お母様・・・」
牧内薫「ありがとうござい・・・ました」
牧内穂乃果「?」
  確かに、薫さんは私に言ったんです。
  「ありがとうござい・・・ました」と
  ・・・
  ・・・・・・
  ・・・・・・・・・
尾上(警視)「なるほど「ありがとうございます」ではなくて、過去形になっていたのは・・・」
尾上(警視)「確かに気になる」
尾上(警視)「それから、薫さんとの連絡は?」
牧内穂乃果「一切取れておりません」
尾上(警視)「行先も?」
牧内穂乃果「分かりません」
尾上(警視)「そうですか・・・」
尾上(警視)「お話、ありがとうございます」
尾上(警視)「一度、署に戻り、部下達の情報と照らし合わせながら、捜査方針を決めて来ます」
牧内穂乃果「宜しくお願い致します」

〇屋敷の門
尾上(警視)「では、私はこれで・・・」
沢村(メイド)「あの・・・!」
尾上(警視)「はい・・・?」
沢村(メイド)「薫お嬢様の行方不明と関係するかは分かりませんが・・・」
尾上(警視)「何か心当たりでも?」
沢村(メイド)「薫お嬢様は、普通の暮らしに憧れを抱いておりまして・・・」
沢村(メイド)「それを常日頃、夢見る子供のような瞳で、私にお話して下さっていました」
尾上(警視)「その時、具体的な場所などは言ってませんでしたか?」
尾上(警視)「ここに行きたいとか」
沢村(メイド)「いえ・・・」
尾上(警視)「そうですか・・・」
沢村(メイド)「けど、旦那様と奥様の目が届かない場所、そして、自分を知っている人が居ない場所に行きたいと・・・」
尾上(警視)「なっ!?」
  豊曲工業は日本全国に関連会社が存在する大手企業。
  その会社の社長の一人娘が、牧内薫。
  親の目の届かない場所なんて、この日本のどこにあるんだ?
  それに、彼女は知名度もある。
  テレビ等でも、何度か映っていた事があるからな。
  もしかして・・・牧内薫はもう・・・
九重 紗奈「・・・」
沢村(メイド)「!?」
沢村(メイド)「・・・あの方、先程も」

〇本屋
「えーっと」
花村(看護師)「あった!」
花村(看護師)「あっ・・・ 届かない。どうしよう?」
「取りましょうか?」
花村(看護師)「えっ?」
田中「はい、どうぞ」
花村(看護師)「ありがとうございます!」
田中「いえいえ・・・」
「あっ!!!!!」
花村(看護師)「田中さん!」
田中「巻島整形外科の看護師さん!」
花村(看護師)「花村と言います。 本取ってもらって、ありがとうございます」
田中「いえいえ・・・」
田中「その本って・・・」
花村(看護師)「これですか? これは医学の事が書いてある参考書ですよ」
田中「花村さんは、仕事熱心なんですね」
花村(看護師)「私、お医者さん目指しているので」
田中「それは凄い」
花村(看護師)「巻島先生の傍で働いていたら、学生時代の夢だった医師に、どうしてもなりたいって思っちゃいまして・・・」
田中「巻島先生の事、とても尊敬されてるんですね」
花村(看護師)「はい・・・ 美人で頭良くて、ユーモアもあって」
田中「ユーモア・・・」
  初対面の患者を散々いじり倒してた事は、ユーモアなのか?
花村(看護師)「そう言えば、田中さん・・・」
田中「はい?」
花村(看護師)「豊曲総合病院は受診されました?」
田中「あの日の午後に行きました」
花村(看護師)「大きな怪我でした?」
田中「指の骨にヒビが入ってまして、全治1ヶ月ほどでした」
花村(看護師)「えっ?」
田中「うん?」
花村(看護師)「あっ・・・いいえ、大事になさって下さいね」
田中「ありがとうございます」
田中「そろそろ、行きますね」
花村(看護師)「はい。本、ありがとうございました」
  やっぱり・・・
  豊曲総合病院に紹介状を出すなんて、おかしい。
  指の骨にヒビ・・・そんなのよくある事だし、治療もうちの病院でやってるよね。
  それに、田中さんを含めて、豊曲総合病院に紹介状を出したのって、今月で6回目。
  開業して1年・・・今まで1度も無かったのに。
田中「では、また」
  カシャ
三上(警部補)「・・・」
花村(看護師)「あっ!?」
花村(看護師)「三上さん!」
三上(警部補)「えっ!?」
花村(看護師)「やっぱり、三上さんだ!お元気ですか?」
三上(警部補)「あなたは?」
花村(看護師)「・・・覚えてませんか?」
花村(看護師)「巻島整形外科の看護師、花村です」
三上(警部補)「巻島整形外科・・・?」
花村(看護師)「3週間前に病院を受診されて、そのあと、豊曲総合病院に紹介状出したじゃないですか?」
三上(警部補)「思い出しました。 けど、看護師さんの顔まで、把握していません」
花村(看護師)「そうですよね・・・」
三上(警部補)「もういいかしら?急いでいるので」
花村(看護師)「あっ、引き止めてしまって、すみません」
花村(看護師)「前会った時と」
花村(看護師)「だいぶイメージ変わってたな・・・」

〇病院の診察室
  三人姉妹の真ん中に生まれた私は
  幼い頃から、姉と妹を羨んでいた。
  私よりも早く成長する姉は、
  好きなものを買い与えられ
  私はそのお下がりばかり
  末っ子の妹は甘えん坊で、
  父にも母にも甘やかされていた。
  だから、私は父と母の気を引くために
  勉強ばかりを頑張った。
  良い点を取れば、褒めて貰える。
  良い点を取った日は、私が家族の主役・・・
  努力は裏切らない
  けど、努力しても境遇には勝てない。
  だから、私は姉と妹を憎んだ。
  勉強漬けの日々が、ようやく報われた
  医学部に現役で合格出来た。
  父と母は、私を自慢の娘と呼んだ。
  ・・・誇らしい。これで、私は勝ち組。
  医学部でも優秀な成績を残し、総合病院の外科医になった。
  同期の誰よりも、優秀で・・・
  未来を嘱望されていた。
  なのに・・・
巻島先生(医者)「嘘ですよね?」
飯島先生(医者)「嘘な訳があるか!!」
巻島先生(医者)「い・・・医療ミス?」
飯島先生(医者)「巻島君、君の優秀なキャリアも今日で終わりだね・・・」
巻島先生(医者)「え?」
巻島先生(医者)「何かの間違いです。私は医療ミスなんて、していません」
飯島先生(医者)「実際に、君が執刀した術後に病状が急変して、患者は亡くなっている」
飯島先生(医者)「紛れもない・・・医療ミスだ」
巻島先生(医者)「そんな・・・」
  「自慢の娘だ」
巻島先生(医者)「お父さん・・・お母さん・・・ごめんなさい」
飯島先生(医者)「しかし、巻島君ほどの優秀な人材を手放したくは無い」
巻島先生(医者)「えっ?」
飯島先生(医者)「外科部長である私が、この件を揉み消してあげよう」
巻島先生(医者)「そんな事が出来るんですか?」
飯島先生(医者)「当然だ」
巻島先生(医者)「ありがとうございます。 この御恩は、けして、忘れません」
飯島先生(医者)「・・・そうか。なら、君は今日から私の従順な下僕だ」
飯島先生(医者)「天才ほど、壊れやすい」
飯島先生(医者)「それは何故か? 失敗を許せないからだ」
飯島先生(医者)「私の計画が完成した際は、大きな成果をあげる」
飯島先生(医者)「傍らには、優秀な人材が必要だ」
飯島先生(医者)「その為には、多少の犠牲くらい」
飯島先生(医者)「仕方ないだろう」
巻島先生(医者)「あの日から、私の人生が狂い始めた」
巻島先生(医者)「飯島の話になんて、乗るべきでは無かった」
巻島先生(医者)「私は最低・・・ごめんなさい。花村さん」

〇殺人現場
  9月1日
  豊曲市 市営団地の一角
山岡(警部)「酷い現場だな・・・」
田辺(警部補)「山岡警部、お疲れ様です」
山岡(警部)「害者は?」
田辺(警部補)「真光敏郎、48歳。豊曲会の組員です」
山岡(警部)「暴力団同士の抗争か?」
田辺(警部補)「分かりません。 今、鑑識が指紋等の鑑定を行っている所です」
山岡(警部)「連続行方不明事件に続き、殺人事件とは・・・」
山岡(警部)「豊曲市は、いつからこんな物騒な街になったんだ」
田辺(警部補)「そうですね」
警察官「大変です、警部!」
山岡(警部)「どうした?」
警察官「今鑑識から、連絡があり・・・ 採取した指紋の中に、被害者と異なる物が見つかり・・・」
田辺(警部補)「犯人のものか?」
山岡(警部)「もしや、前科者のリストと合致したのか?」
警察官「はい・・・」
田辺(警部補)「誰だ?」
警察官「こ・・・小牧 喜多郎」
「なんだって!?」
山岡(警部)「小牧って、2人目の行方不明者として、名前が挙がってる、あの小牧か!?」
警察官「はい・・・」
田辺(警部補)「警部・・・」
山岡(警部)「あぁ。管轄の捜査員全員で、この近辺で小牧喜多郎を目撃した者が居ないか聞き込みを開始しろ!」
警察官「はい!!」
田辺(警部補)「行方不明と今回の殺人事件・・・何か繋がりがありそうですね」
山岡(警部)「あぁ、両方の事件解決のために、必ず、小牧喜多郎を捕まえよう」

〇校長室
  ぷるるる・・・
飯島先生(医者)「なんだ!?」
飯島先生(医者)「勝手に、連絡をして来るな!と言っただろう」
飯島先生(医者)「うん・・・」
飯島先生(医者)「なっ!?」
飯島先生(医者)「小牧喜多郎が殺人事件を起こして、警察に追われているだと!?」
飯島先生(医者)「あのクズが・・・」
飯島先生(医者)「分かっているな!? 他の警察より、先に奴を見つけ出して、私の前に連れて来い!」
  ツーツー
飯島先生(医者)「このままでは、まずい」
飯島先生(医者)「連続行方不明者事件の事がバレてしまう」
飯島先生(医者)「そうすれば、私のキャリアと名誉に傷が付く・・・」
飯島先生(医者)「いや、それ以前に・・・」
飯島先生(医者)「殺人罪で捕まってしまう」
???「・・・」
飯島先生(医者)「おい!貴様も同罪だぞ」
飯島先生(医者)「少しはその足りない脳ミソを使って、私の罪が暴かれない方法をだな・・・」
「うぅっ・・・」
  貴様・・・
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
  私もあなたも もう詰んでるのよ
  罪の無い 5人の人間を殺めてるんだから
巻島先生(医者)「花村さん・・・」
巻島先生(医者)「どうか、素敵な女医さんになってね・・・」
巻島先生(医者)「さようなら」

〇総合病院
  9月2日 豊曲総合病院 前
警察官「関係者以外、立ち入り禁止です!」
尾上(警視)「入ってもいいかい?」
警察官「尾上警視、お疲れ様です!どうぞ!」
田中「・・・」
  今日、指の治療の経過観察のため、病院に来てみたんだが・・・
  なんだ?この警察やら、マスコミの数。
花村(看護師)「・・・」
田中「あれは、花村さん」
田中「あのー?」
花村(看護師)「・・・はい」
田中「涙?・・・どうされました?」
花村(看護師)「田中さん・・・」
田中「通院があるので、来てみたんですが・・・」
花村(看護師)「・・・昨晩、飯島先生と」
田中「・・・」
花村(看護師)「巻島先生が遺体で発見されました・・・」
田中「えっ・・・」
花村(看護師)「詳しい事は教えて貰えなかったのですが、発見された時には2人とも、もう・・・」
田中「そうですか・・・」

〇殺人現場
田辺(警部補)「尾上警視、お疲れ様です」
尾上(警視)「おつかれ〜」
田辺(警部補)「ご遺体は既に引き上げて、鑑識に回ってます」
尾上(警視)「そうか、そうか。 で、状況は?」
田辺(警部補)「はい。 男性の方は頭部を殴打された事による、出血死」
尾上(警視)「凶器はこの灰皿か?」
田辺(警部補)「はい。頑丈なものではありますが、当たり所が悪かったのでしょう」
尾上(警視)「で、もう一人は?」
田辺(警部補)「女性の方は首吊りですね。 外傷等はありませんでした」
尾上(警視)「つまり」
尾上(警視)「女性が男性を殴打して殺害した後に、自殺したって感じか?」
田辺(警部補)「凡そ、そう思われます」
尾上(警視)「この二人の関係は?」
田辺(警部補)「男性はこの豊曲総合病院の外科部長、女性は元豊曲総合病院の外科医で、現在は向かいにある」
田辺(警部補)「巻島整形外科の院長です」
尾上(警視)「なるほど」
田辺(警部補)「あと、大事なお話が・・・」
尾上(警視)「なんだ?」
田辺(警部補)「被害者男性、外科部長の飯島のデスクから・・・行方不明者事件で失踪中の5名分のカルテが出てきました」
尾上(警視)「なんだと!?」
田辺(警部補)「これは、どういう事でしょう?」
尾上(警視)「どうもこうも、この飯島医師が行方不明事件に関与してる証拠だろう!」
田辺(警部補)「ですよね・・・」
尾上(警視)「大手柄じゃないか。何浮かない顔してる?」
田辺(警部補)「それが・・・ この5人とは別の5人のカルテも保管されてまして」
尾上(警視)「他の5人?」
尾上(警視)「見せてみろ・・・」
  うん・・・?
  この女性どこかで
尾上(警視)「思い出した!豊曲工業社長宅の前にいた、女だ!」
田辺(警部補)「実は、僕も一人・・・」
  !?
尾上(警視)「誰だ? この加賀門司って言うのは・・・」
田辺(警部補)「昨日、市営団地で起きた殺人現場の下の階に住んでいた男です」
尾上(警視)「なっ!?」
尾上(警視)「行方不明者だった小牧喜多郎が起こした殺人事件の現場の下の階に住んでいた、この男」
尾上(警視)「同じく、行方不明者、牧内薫の自宅前にいた・・・この女。 偶然か?」
田辺(警部補)「あと、これを・・・」
尾上(警視)「うん?」
  ・・・三上ちゃん!?
尾上(警視)「どういう事だ、田辺!?」
田辺(警部補)「分かりません」
尾上(警視)「三上ちゃんは、今どこだ?」
田辺(警部補)「昨日、署へ相談に来た女性宅に向かってます」
尾上(警視)「殺人事件が起きてるのにか?」
田辺(警部補)「はい・・・」
尾上(警視)「何か嫌な予感がする・・・」

〇ビルの裏
加賀門司「しつけぇーんだよ!」
山岡(警部)「逃げるな!!」
加賀門司「くそ・・・こうなったら」
加賀門司「死ね!」
加賀門司「うっ・・・」
山岡(警部)「日本の警察は発砲しないと思ったか?」
山岡(警部)「足を撃っただけだ。痛みはあっても命に別状はない」
加賀門司「くそぉ・・・折角、自由が手に入ったって言うのに」
山岡(警部)「罪を犯したんだ、しっかりと償え。 これで、何回目だ・・・小牧喜多郎」
加賀門司「うるせぇ!!覚えてねーよ!!」
山岡(警部)「お前、本当に小牧喜多郎だったのか?」
加賀門司「やべぇ・・・ 飯島の奴にバレたら」
山岡(警部)「死んだよ」
加賀門司「えっ?」
山岡(警部)「昨夜、遺体で見付かった」
加賀門司「マジかよ・・・」

〇空っぽの部屋
田辺(警部補)「尾上警視、今、山岡警部から連絡がありました」
尾上(警視)「なんだって?」
田辺(警部補)「加賀門司を逮捕。 本人の口から、小牧喜多郎である事の自供が取れたと」
尾上(警視)「・・・三上ちゃんと連絡は取れたか?」
田辺(警部補)「いいえ」
尾上(警視)「相談に来た女性の家に行くぞ」

〇一戸建て
羽村大地「刑事さん、僕が彼女に暴行をした証拠があるんですか?」
三上(警部補)「・・・」
羽村大地「ちょっと、刑事さん?聞いてます?」
三上(警部補)「見付けた・・・」
羽村大地「はっ?」
三上(警部補)「篠森真由美を覚えてる?」
羽村大地「真由美?あぁ、俺に纏わり付いてたクソ女だ」
三上(警部補)「・・・」
羽村大地「それが、何?」
三上(警部補)「彼女と結婚の約束してたよね?」
羽村大地「はっ? 何言ってるの?あんた真由美の友達?」
羽村大地「そんなの冗談に決まってるだろう」
羽村大地「行方不明になって、せいせいしてるぜ」
三上(警部補)「・・・最低」
羽村大地「はっ?」
三上(警部補)「散々、貢がせるだけ貢がせて・・・ お金だけ取って、姿くらませて・・・」
羽村大地「あんた正気か?」
三上(警部補)「正気だよ、大ちゃん」
三上(警部補)「これ返すね・・・サヨナラ」
羽村大地「お前まさか・・・真由美!?」
三上(警部補)「・・・」
尾上(警視)「遅かったか・・・」
尾上(警視)「おい、田辺・・・」
田辺(警部補)「・・・はい」
田辺(警部補)「三上警部補・・・」
田辺(警部補)「いや、篠森真由美」
田辺(警部補)「17:02 殺人の現行犯で逮捕する」
三上(警部補)「はい・・・」
尾上(警視)「三上ちゃん・・・真由美さん?」
三上(警部補)「はい?」
尾上(警視)「本物の三上ちゃんは?」
三上(警部補)「・・・もう亡くなっています」
「・・・」
三上(警部補)「連続行方不明者事件の全てを署の方で、お話します」

〇屋敷の門
九重 紗奈「・・・」
沢村(メイド)「こんばんは」
九重 紗奈「・・・」
沢村(メイド)「・・・薫お嬢様ですよね?」
九重 紗奈「え・・・」
沢村(メイド)「私には分かりますよ」
九重 紗奈「沢村さん・・・」
沢村(メイド)「薫お嬢様が名前姿を変えた所で」
沢村(メイド)「世間知らずのまま、一人で生きて行けないって事」
九重 紗奈「えっ?」
沢村(メイド)「お嬢様に、豊曲総合病院の飯島先生を紹介したのは・・・」
沢村(メイド)「私ですよ?」
九重 紗奈「もしかして、」
沢村(メイド)「気付きました? 一人娘が行方不明になれば、旦那様達の後継者が居なくなりますよね?」
沢村(メイド)「若くて、身近にいて、旦那様と奥様の信頼を得ている・・・」
沢村(メイド)「そんな人物が入れば、養子にしたいと思ってもおかしくないですよね?」
九重 紗奈「あなた・・・まさか?」
沢村(メイド)「この格好も今日でお別れです。 明日からは、牧内家の養子として、豊曲工業の未来と遺産を受け継がせて頂きます」
九重 紗奈「・・・」
沢村(メイド)「あなたが、世間知らずのバカで良かったわ」
  沢村・・・
  それは、私の本名ではない。
  私の名前は、高多宝華。
  連続行方不明事件 第一の失踪者
  そして、私は・・・飯島外科部長の愛人だった。
  キャバクラで働いてる時に、彼がうっかり研究の自慢をしたの。バカね。
  それに興味を持って調べてみたら・・・
  事実だった。
  私は彼を唆して言ったわ。
  整形技術がここまで優れているのなら、誰かの戸籍ごと、まるまる入れ替えても・・・
  バレないわよね?って
  それに、これを商売にしたら・・・
  お金持ちになるわよ。
  研究で膨らんだ借金も一瞬で返済。
  試しに、最初の実験体に・・・
  私がなってあげる。
沢村(メイド)「こんな闇商売、いつまでも続かないでしょ?」
沢村(メイド)「あと、何処かで脚がつくと困るから、カルテも別の名前の人と差し替えたわ」
沢村(メイド)「ちょうど、この北村が身寄りのない女性で良かった」

〇簡素な一人部屋
田中「テレビを付けて、俺は驚いた」
田中「飯島先生と巻島先生が共謀して、患者を殺害し。その戸籍を赤の他人に売り付け」
田中「飯島先生が研究で身に付けた整形技術を駆使して、他人が他人に成り代わる」
田中「俺はその6人目の被害者になる所だったとは・・・」

〇警察署の廊下
  大学生件キャバ嬢だった高多宝華の紹介により、飯島医師の元に、戸籍を変えたい依頼者が集まった。
  飯島医師は、若くて才能豊かな整形外科医師 巻島を使って、患者の中から、依頼に合う人物を見付け
  豊曲総合病院への紹介状を書き、飯島医師と被害者を合わせる。
  篠森真由美は、お金が足りなかった分。
  刑事という三上の職業を利用され、器となる被害者の行動や交流関係の調査を任され
  第六の被害者となるはずだった田中の尾行をしていたと・・・
  しかも、田中の鞄に盗聴器と発信機まで付けて・・・怖いね。
  あとは、被害者5名は治療と言う名義で手術室にて殺害。
  同日、整形手術を終えた者たちに、事情は伏せ、1週間の入院生活で、治療と情報の共有に時間を割く。
尾上(警視)「真由美さん・・・ あんたは最低だよ」
三上(警部補)「えぇ、そうでしょうね」
尾上(警視)「被害者がどうなるかを知りながら、飯島に手を貸し続けた。 その罪の重さと今回の殺人事件・・・」
尾上(警視)「死刑の可能性も大いにある」
三上(警部補)「構いません」
三上(警部補)「私は私をゴミのように捨てた大地に復讐出来た。そのために、刑事である彼女になる事を選んだ」
尾上(警視)「君の事も飯島の事も巻島の事も、俺は許さないから」
三上(警部補)「許されなくていいです。 私が大地を許せなかったように、 私を許せない人がいて」
三上(警部補)「当たり前ですから。 それだけの事を私はしました」

〇簡素な一人部屋
  ぷるるる・・・
田中「もしもし・・・山田か」
「今何してる?」
田中「ちょっと、色々あって。家で寝てる」
「そうか・・・なんか大変だったみたいだな」
田中「お前は何してるんだ?」
「今、実は沖縄なんだよね。 前に当たった宝くじのお陰で遊びたい放題」
田中「宝くじなんか当たってたのか?」
「あっ、やべぇ。 今の誰にも言うなよ!秘密だからな」
田中「周りの目もあるしな」
「そういや、田中にいい話があるんだけど」
田中「なんだ?」
「沖縄にすげぇ医者が居てさ、人生変わるぞ! 会ってみないか?」

コメント

  • 本格的なミステリーで読み応えがありました。メイドか看護師がどんでん返しするかな、と思っていたらメイドさんの方でしたね。人間の入れ替わりが可能になったら行方不明や犯罪が起きても迷宮入りになるだろうなあ、とゾッとします。ラストの田中の電話、意味深で不穏な余韻を残してかっこいい終わり方でした。

  • サンケーさん💕さすが👏😊💕こういうの大好きです😍最初笑わせて、最後はこう来るか~ってもう楽しい🩷活字嫌いですが、ハマりそうですよ~ライブ配信でしてた、激アツ🔥なお話しも含めて、これからが楽しみです(≧∇≦)頑張ってください\(*⌒0⌒)♪

  • 冒頭のお笑いな雰囲気から、徐々にシリアスな話になっていく過程がとてもよかったです。医師といえども普通の人間で失敗はする、嘘で固めた嘘は人の不幸を呼ぶだけですね。

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