第6話 友だちなんだしっ(脚本)
〇山の中
――数百年前。
生まれたばかりのころの我は、自分が何者なのかすら、わかっていなかった。
狂骨「お、お主ら!」
「わあ!」
我が無性に求めたのは、あやかしではなく、自分と似た形をした人間たちだった。
狂骨「わ、我も戯れの仲間に・・・」
「逃げろー!」
狂骨「・・・・・・」
だが、彼らは我を恐れた。
〇山の中
狂骨「なあお主・・・」
男「ひ、ひいっ!? あやかしだぁっ!?」
狂骨「あやかし・・・? なんだ、それは?」
男「ああ!? お前みてえな化け物のことだよ!」
狂骨「そうか、我はあやかし・・・化け物なのか」
〇山の中
狂骨「・・・ならばもはや人間に期待などせん」
少女「ねえ」
狂骨「我は誰も敵わぬ大あやかしとなる」
少女「ねえってば」
狂骨「そして人間どもを支配してやるのだ!」
少女「ねえ!!!!!!!!」
狂骨「うるせえ!!!!!!」
狂骨「なに!? 何の用!?」
少女「お外にいたら風邪引いちゃうよ」
少女「こっちおいでよ、一緒に雨宿りしよ?」
狂骨「・・・ふん、誰が貴様ら猿と仲良く雨宿りなぞするか!」
狂骨「お主ら人間は、我が大あやかしになったとき、盛大にほえ面を掻いておれ!」
少女「行っちゃった・・・」
少女「ただ、お友だちになれるかと思っただけなんだけどな──」
〇黒
我に備わっていた溢れるほどの妖力。
これをもって、我は日本中を荒らしまわり、「大あやかし」と恐れられるまでになった。
そして時は流れ──
〇寂れた村
我は・・・ほかでもない人間に敗れたのであった。
狂骨「我の体が・・・吸い込まれていく・・・!?」
安倍野五月日「ほかのあやかしは人間との共存を望んでいるというに」
安倍野五月日「狂骨、なぜお前はわからぬ!?」
狂骨「共存だと・・・? 片腹痛いわ!」
狂骨「我を否定したのは貴様ら人間の方だ!」
狂骨「だから我は人間を・・・支配・・・して・・・!」
安倍野五月日「・・・もはや聞く耳を持たぬか」
安倍野五月日「ならばこの斧の中で、悠久の時を省みるがいい!」
狂骨「ぐおおおー!!」
安倍野五月日(お前と我らの道は、なぜ違えてしまったのだろうか)
安倍野五月日(しかし、お前を理解する人間――友となれる者は、必ずどこかにいるはず)
安倍野五月日(悠久の後ならば、あるいはお前もそれに気づけるやもしれぬ・・・)
〇港の倉庫
狂骨「う、うう・・・」
――ピキイッ!
狂骨「いってえええ!!」
安倍野平平「おい動くな、せっかく直してやってるのに」
狂骨「お主、安倍野平平(あべのぺいぺい)!」
狂骨「直してるって・・・」
・・・・・・
狂骨「お主、図工下手じゃのお・・・」
接着剤つけ過ぎてダマになってるし・・・
安倍野平平「う、うるさい! 俺だってこんなことしたくない!」
狂骨「確かに奇妙だの、敵対するはずの陰陽師が我を直すとは・・・何を企んどる?」
安倍野平平「ふん、大した理由ではない」
安倍野平平「お前を直したら日下部に好きになってもらえるかもと思っただけだ」
狂骨「マジで大したことないじゃん・・・」
狂骨「しかしお主、なぜこんなところに?」
安倍野平平「ああ、日下部の鞄には発信機の護符をこっそり付けておいたんだ」
狂骨「いやキモいキモい」
決め顔で言ってるけど、ガチストーカーじゃんこいつ・・・
安倍野平平「しかし何があったんだ? お前がそんなボロボロになるなんて」
狂骨「実は・・・」
・・・・・・
安倍野平平「く、日下部があの大あやかしの牛鬼にさらわれたぁ!?」
狂骨「これで伝わってくれるから便利だのう」
安倍野平平「お前は何してたんだよ! 身体張ってでも止めろよ!」
狂骨「その結果がこの粉々の身体だってわからない!?」
安倍野平平「だいたい何で牛鬼が日下部のことをさらう?」
安倍野平平「あいつ、ただのギャルだろう・・・?」
狂骨「さあ、我にもなんとも・・・」
安倍野平平「誰がただのギャルだ! 女神って言え!」
狂骨「さっきから情緒不安定過ぎない!?」
安倍野平平「この際、牛鬼の目的はいい!」
安倍野平平「すぐに助けに行くぞ!」
狂骨「・・・・・・」
狂骨「我は、行かぬ」
安倍野平平「はあ!?」
狂骨「我はこのとおり、もうボロボロだ」
狂骨「第一、万全でも我は牛鬼に歯が立たなかった・・・」
狂骨「奴の妖力は完全に我を上回っておるのだ」
狂骨「そもそも奴の目的は我の目的とも合致しているし・・・」
安倍野平平「だあーうるっせえ!!」
安倍野平平「黙って聞いてればグチグチグチグチ言いやがって!!」
安倍野平平「このフニャチン野郎が!」
狂骨「お主そんなキャラだっけ!?」
安倍野平平「あーだこーだ理由つけてるが、お前は怖いだけだろう!」
狂骨「こ、怖いだと!? 馬鹿なことを!」
狂骨「我が牛鬼ごときを恐れるか!」
安倍野平平「違う、牛鬼のことじゃない」
安倍野平平「また日下部を助けられないのが怖いんだ」
狂骨「!」
安倍野平平「本当は日下部を助けたいのに、助けられない──」
安倍野平平「そんな辛い思いをしたくないから、お前は言い訳して逃げているだけだ」
狂骨「ふん、お話にならぬな」
狂骨「そもそもなぜ我があの小娘を助ける必要がある!?」
狂骨「むしろ解き放たれてせいせいして──」
安倍野平平「そんなの決まっている」
安倍野平平「お前たち、「友だち」だろうが!」
狂骨「・・・友だち?」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)
あ〜王道の少年マンガ、たぶんアレですね。温故知新というべきか、TFTD流アレンジ? 某創作術の本にも、典型にひねりを加える、とあるのでお手本を見たような気がします。
あー✨😂今回も笑わせていただきました!😂ありがとうございます✨☺️
あべのぺいぺいときょーちゃんのやりとりも癖になりそうなんだしっ!✨😂
牛鬼がなぜさらったのか理由が気になりますね!
また次回楽しみにしてます✨☺️