演出に取り憑かれた女(脚本)
〇断崖絶壁
北条奈美子「もう嫌よ、こんな体質」
北条奈美子「よく分からない演出が 可視化されちゃうなんて」
北条奈美子「この体質のせいで 好きになった人は皆ドン引きして 去っていったわ」
北条奈美子「しかも、心情とは関係のない よく分からない演出ばかりだし」
北条奈美子「おかげで20歳になるのに いまだに恋人もできない」
北条奈美子「大学の講義に行けば 後ろの人に演出で前が見えないとか 言われるし!」
北条奈美子「駅前に立ってれば 演出を待ち合わせ場所代わりに 使われるし!」
北条奈美子「先輩に告白した時なんて うちの車天井低いから 頭に演出のある女は ちょっと無理かなって言われるし!」
北条奈美子「意味わかんないわよ! たまにドアにぶつけるけど もう少し天井高い車にしなさいよ!」
北条奈美子「もうこんな体質嫌よ!」
北条奈美子「得したことといえば サークルの新歓の一発芸で使えたり」
北条奈美子「ちょっとだけ日差しや 雨除けになるぐらいだし」
北条奈美子「人より顔覚えてもらえやすいけど 『文字演出の人』としか認識されない!」
北条奈美子「私だって、普通の恋がしたい!」
北条奈美子「何この演出!?」
北条奈美子「初めてだわ!」
最上小歌「もしかして、あなたも 演出が出ちゃうタイプですか?」
北条奈美子「そのよく分からない演出は、、、」
最上小歌「そうです 自分も演出が出てしまうんです」
北条奈美子「まさか、こんなところで 仲間に会うことが出来るなんて」
最上小歌「でも、ここにいるっていうことは 俺と同じ目的ですよね」
北条奈美子「そう」
北条奈美子「ただの観光よ」
最上小歌「ですよね」
北条奈美子「こんな演出のために 飛び降りなんてできないわ」
北条奈美子「変な演出が出たまま 死んだら死にきれないわ」
北条奈美子「でも、こんなところで 一人で立っていると勘違いされて みんな声をかけようしていくんだけど」
北条奈美子「この演出のせいで みんな撮影だけして 見て見ぬふりよ」
最上小歌「分かります 真面目な話をしているのに演出が 起きてしまうせいでいつも怒られます」
「どうせだったら もっと真面目な演出にしろ!って」
「えっ?」
北条奈美子「あなたも同じことを?」
最上小歌「はい」
北条奈美子「私たち、気が合いますね」
最上小歌「ええ」
北条奈美子「こんなの初めて 私を見てドン引きしないなんて」
最上小歌「当たり前じゃないですか! そっちも俺見て引いてないじゃないですか」
最上小歌「むしろ、可愛いですよ」
北条奈美子「そんなこと初めて言われた」
最上小歌「俺、この演出のせいで ろくな人生歩めなかったんですけど あなたみたいな素敵な人に出会えたので 初めて良かったと思いました」
北条奈美子「私も!あなたに逢えて良かった!」
最上小歌「あ、あの、良ければ 一緒に食事に行きませんか?」
北条奈美子「はい!喜んで!」
ハッピーエンド?
最上小歌「あ、うちの車天井低いんですけど 大丈夫ですか?」
北条奈美子「ええ、少し首を傾ければ!」
こちらはなんだかメタぽいというか、演出というものを客観視しているような作品ですね!
視点がとても面白し、なによりハッピーエンドなのが良いです報われて良かったです!
だんだん演出が本人たちの心情に近づいていくのが楽しかったです。
この発想は凄い…!
演出が物理的に出る上に心情と合ってないとか、斜め上すぎます🤣 待ち合わせ場所にされるとか車の天井とか、小ネタも解像度高いw😂
さらに漫画記号演出の人も出して大きく発展させてくる所に驚愕ですww
心が通じ合ったら演出が正しくなり、最後にはBGMまで付いて…演出がちゃんと演出として機能するという最高の演出!そこまでの溜めがカタルシスを生んでますね!
めっちゃ面白かったです!😂