私は邪魔な存在です!

 楔菜

読切(脚本)

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〇ネオン街
「ちょっと! どいてよ! 邪魔くさいわね〜!」
「な〜に、あの子・・ 気持ち悪いわね〜」
さえ「ジングルベール・・」

〇奇妙な屋台
えりこ「ちょっと、今日が何の日かわかってる〜!? クリスマスイブだよ! ク・リ・ス・マ・ス!!」
はるき「ご、ごめん、 プレゼント何買っていいか迷って・・ そのまま当日になっちゃった」
えりこ「まあ、しょうがない! ここはあんたの奢りだからね!!」
はるき「はい・・ 今日は、えりこ様の仰せのままに・・」
えりこ「所であの子、 ずっとあそこのベンチに座ってるけど、 どうしたんだろ?」
はるき「俺たちここに来てからずっといるね」
えりこ「あの子大丈夫かなぁ? ちょっと気になるから、行ってくるね!」
はるき「お、おい!?」

〇公園のベンチ
さえ「ふふふ〜ん♪」
えりこ「こんばんは〜! お嬢ちゃんは、ずっとここで何してるの?」
さえ「ご、ごめんなさい! 私、ここにいたら邪魔ですよね・・」
えりこ「えっ!? そ、そんなつもりで言ったわけじゃないんだよ!! 薄着で寒そうだったから心配で・・」
さえ「そ、そうなんですか!? 私いつも邪魔者扱いしかされないから」
えりこ「邪魔だなんて」
えりこ「ところでね、 ここでずっと何してたの?」
さえ「サンタさん待ってるんです 私、今まで一度も会ったことないから・・ どんな人なんだろうと思って、ここで待ってるの」
えりこ「えっ!? 本とかテレビとかで、見たことない? 赤くて、白い髭はやしたおじいさん」
さえ「ごめんなさい 私、生まれた時から目が見えなくて、 赤とかも、よくわからないんです」
えりこ「こちらこそごめんなさい!! そりゃサンタさんに会わないとわからないよね〜」
えりこ「てか、何で邪魔者扱いされてるの?」
さえ「たまに道歩くと、どけとかしねとか・・ 今日も病院無理やり抜け出してきて・・ 来年にはもう会えないかもだから・・」
えりこ「来年には会えないって?」
さえ「珍しい病気みたいで、ここまで生きられたの不思議なんだって・・ でも、もう長くないって・・」
えりこ「そ、そうなんだね・・ サンタさんに会えるといいね・・」
さえ「うん! もう少し待ってみるね!」
えりこ「私もその辺探してこようかな〜 ちょっと待っててね〜!」
さえ「いってらっしゃい」

〇奇妙な屋台
はるき「おかえり〜 どうだった?」
えりこ「ちょっとはるき! 今から言うもの、何処かで買ってきて!!」
はるき「急に、どうしたの!? まだお酒とか・・」
えりこ「サンタの衣装と、クリスマスのオルゴール! 大至急!!」
はるき「そんな事急に言われても!! どこに売ってるのか・・」
えりこ「そんなもの、自分の足で探す!! お金もあんたが出す!! 早く行かんか〜い!!」
はるき「は、はい!」
えりこ「これでよし! 後は・・」

〇公園のベンチ
さえ「・・」
えりこ「ただいまー!! ずいぶん待たせちゃったね」
さえ「お姉さん!? おかえりなさい!!」
えりこ「てか、お姉さんって呼ばれるの抵抗あるな〜」
さえ「だって・・ 名前わからないから」
えりこ「ご、ごめん! 自己紹介まだだったね!? 私えりこっていうの、よろしくね!!」
さえ「私は、さえです」
えりこ「さえちゃん!! 探してた人、見つかったよ!!」
さえ「本当ですか!?」
えりこ「ここに来るように言っておいたから ちょっと待っててね」
さえ「うん!!」
さえ「・・」
サンタ「さ、サンタだよ〜」
えりこ「(おい!  真面目にやらないと、コ・ロ・ス!!)」
サンタ「(ご、ごめん)」
サンタ「ワシの事、待っておったのだな?」
さえ「はじめまして、サンタさん!! 私、ずっとサンタさんに逢いたかったんですよ!」
サンタ「そうかそうか! なかなか嬉しい事言ってくれるじゃないか!」
サンタ「今年は、いい子にしてたのかい?」
さえ「私、全然いい子じゃないです・・ あっち行けとか、消えろとか、みんなの邪魔しかしてないみたいで・・」
えりこ「(なんとか切り抜けろ!)」
サンタ「そんな事はない! お嬢ちゃんは何も悪いことしておらんよ! 悪いのは周りの連中じゃ!」
さえ「そうなんですか・・ それだったら嬉しいな・・」
サンタ「いい子にしてたんだから、プレゼントじゃ!」
さえ「私もらっていいんですか!? ありがとうございます!」
えりこ「さえちゃん、開けてみたら?」
さえ「これってなんですか?」
えりこ「それはオルゴールだよ! ネジ回して、蓋開けてみて!」
さえ「ジングルベル!」
えりこ「おっ!? いいね、それ!」
さえ「サンタさん、お願いがあるの・・ 触ってもいい?」
サンタ「ほっほ いいぞいいぞ!」
さえ「・・あったかい・・」
サンタ「さて、 ワシは、他のいい子にもプレゼント持っていかねばならぬので、これで失礼するぞ!」
さえ「サンタさん! ありがとうございました!!」
サンタ「では、さらば!」
えりこ「逢えてよかったね!」
さえ「うん!! えりこさんも、探してきてくれてありがとう!!」
えりこ「それじゃ、気を付けて帰ってね!」
さえ「えりこさんもね! バイバイ!」
  ・・
はるき「これで、よかったかな?」
えりこ「上出来だよ! ご褒美に、今日のことはチャラにしてあげる!」
はるき「お、おう・・」

〇川沿いの公園
  2月下旬
えりこ「今日もいい天気だったな~」
さえ「えりこさ~ん!!」
えりこ「さ、さえちゃん!?」
さえ「クリスマスの時は、いろいろお世話になりました!!」
えりこ「てか、さえちゃん・・ 目、見えてるの!?」
さえ「もうばっちり!! あの次の日からずっと探してたんですよ!!」
えりこ「そうなんだ!?」
さえ「えりこさんが、色々やってくれてた事も知ってしまいました! 本当にありがとうございました!!」
さえ「ただ、最後にお礼が言いたかったんです! 本当に会えてよかったです! これからも、お体には気を付けて!」
さえ「本当にありがとうございました!!」
えりこ「き、消えた!?」
えりこ「そっか・・ わざわざ探しててくれたんだ・・」
えりこ「こちらこそありがとね・・」
えりこ「あっちでまた逢おうね」

コメント

  • 温かくて切ないお話でした。
    彼女は最後にサンタさんに会えてよかったなぁと。
    一生懸命に生きてる命を、最後に使い果たしてしまったんですね。

  • えりこさんの粋なはからいで、最後にサンタさんに会えるっていう想い出ができてよかったですね。わざわざ幽霊になってまで、お礼をしにきてくれたのは、それだけ嬉しかったんでしょうね。心があたたまるお話でした。

  • 主人公の女の子の発言がとっても切なく感じました。お姉さんの気持ちが温かく、優しいきもちになりました。女の子が最後いい思いで過ごせてよかったです。

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