第13話『合宿最終日』(脚本)
〇城の会議室
三好優弥「朝食豪華だな」
三好水葉「・・・・・・」
宇喜多羽彩「・・・・・・」
三好優弥「今日も朝から元気だな」
蒼村優「もしかして、先輩だけ見てる 視界のチャンネル違います?」
三好双葉「明らかに気不味い空気が流れてる」
蒼村優「朝イチ出かけたままの 上杉先輩が羨ましい」
三好優弥「いやー、飯美味いな!」
蒼村優「この人、他人に興味ないんじゃなくて 人嫌いなんじゃないんですかね」
三好双葉「昔からこうだよ」
三好優弥「よし、飯食ったし、出かけるかな」
蒼村優「マジか、このひと」
蒼村優「わ、わたしも付いていきます」
〇美しい草原
三好優弥「景色いいな」
蒼村優「海もいいですけど 山もいいですね」
三好優弥「海だと優は泳げないだろ?」
蒼村優「え、まあ、激しい運動は出来ませんけど」
蒼村優「もしかして、それがあって 山を選んでくれたんですか?」
三好優弥「たまたまだ」
蒼村優「そういえば羽彩先輩と水葉 何かあったんですかね」
三好優弥「さあな、喧嘩でもしたのかな」
蒼村優「あの2人が喧嘩なんて 想像つかないですね」
三好優弥「双葉と水葉は喧嘩したことないな」
蒼村優「そうなんですね」
三好優弥「俺もあの2人と喧嘩したことないな」
蒼村優「仲良いんですね」
蒼村優「私、兄弟いないから羨ましいです」
三好優弥「まあ、俺は双葉から嫌われてるけどな」
三好優弥「喧嘩しないのも関わりたくないからだろ」
蒼村優「そんなことないですよ」
蒼村優「なんだかんだ、双葉も 優弥先輩のこと気にかけてますよ」
蒼村優「本当に嫌われてるなら 関心すらないと思います」
三好優弥「そうかな」
三好優弥「あいつら、何か隠し事してるんだよな」
三好優弥「聞かないようにはしてるけど」
蒼村優「・・・・・・みんな、優しすぎるんですよ」
〇お化け屋敷
三好優弥「さて、あっという間の2泊3日だったな」
蒼村優「楽しかったです!」
上杉遼羽「次回は海あたり行きたいな!」
蒼村優「いいですね! 浮き輪で遊びたいです」
宇喜多羽彩「・・・・・・」
三好水葉「・・・・・・」
三好双葉「・・・・・・」
〇観光バスの中
金剛天寿「どうやら、いろいろあったようだが 楽しめたようだな?」
三好優弥「お陰様でいろいろと収穫がありました」
上杉遼羽「学園祭で今回撮影した動画を 上映するんで見に来てください」
金剛天寿「楽しみにしてるぞ」
金剛天寿「では帰路へ」
〇明るいリビング
有馬美沙「お邪魔しちゃってすみません」
三好優作「いえいえ、こちらこそ わざわざご足労かけていただき すみません」
三好葉月「以前は 子供たちが大変お世話になりました」
有馬美沙「いえいえ、こちらこそ いろいろと勉強させていただきました」
有馬美沙「今日は3人がいないということで 訪問させていただきましたが 最近はどうですか?」
三好優作「相変わらず優弥の記憶は戻りません」
三好葉月「本人にとって それが幸福なことなのか不幸なことなのか 分かりません」
有馬美沙「そうですか」
有馬美沙「おじいちゃんのことや私のことも まだ思い出せていないということですね」
三好優作「はい」
有馬美沙「本当に寂しいけど あの子が自分を守るための反応だと 思っておきます」
三好葉月「本当に心苦しいです」
有馬美沙「でも、大丈夫ですよ」
有馬美沙「きっとうまくいく そんな気がします」
〇駅前広場
金剛天寿「無事に着いたな」
金剛天寿「みんな、気を付けて帰れよ そして、新学期にちゃんと顔を見せるように」
三好優弥「ありがとうございました!」
上杉遼羽「お世話になりました!」
金剛天寿「俺はバスを車庫まで戻してくる」
三好双葉「お疲れ様でした 校長先生もお気を付けて」
蒼村優「ありがとうございました」
金剛天寿「ああ、君らも気をつけろよ」
三好水葉「さよなら」
宇喜多羽彩「ありがとうございました」
三好優弥「じゃあ、俺たちも帰るか」
三好優弥「ここでとりあえず解散か」
三好優弥「晩飯一緒でもいいけど 今日は疲れたしな」
宇喜多羽彩「じゃあね」
三好優弥「羽彩途中まで一緒だろ?」
宇喜多羽彩「途中寄りたいところあるし ここでお別れしとくわ」
三好優弥「そうか?」
三好水葉「お兄ちゃん、宇喜多先輩も ああ言ってるんだから 無理強いはダメだよ」
三好優弥「そうだな」
宇喜多羽彩「じゃあね」
三好水葉「私たちも帰ろう?」
三好優弥「ああ」
〇明るいリビング
三好優弥「親父たち帰ってきてたのか」
三好水葉「でも、帰っちゃったみたいだね」
三好双葉「せっかくお土産渡すチャンスだったのに」
三好優弥「まあ、とりあえず 晩飯食って寝るか」
三好水葉「すぐに支度するね」
三好双葉「軽いものにしようか」
〇女の子の二人部屋
三好双葉「ねえ」
三好水葉「ん?」
三好双葉「羽彩先輩と何かあった?」
三好水葉「別に何もないよ」
三好双葉「うそ言わないで」
三好水葉「やっぱ双葉には嘘無理か」
三好双葉「優弥さんもきっと気付いてるよ 知らないふりしてるけど」
三好水葉「まあ、そうだろうね」
三好水葉「あの人がお兄ちゃんを たぶらかしてるから 許せなくなったの」
三好双葉「羽彩先輩はそんなことしてないよ」
三好水葉「お兄ちゃんに 何があったかも知らないのに 詮索してきたりして許せない」
三好双葉「何も知らないんだから 仕方ないじゃない」
三好水葉「関係ないよ」
三好水葉「優はちゃんとお願い聞いてくれてるよ」
三好水葉「だからね、お兄ちゃんに 宇喜多さんに何があったのか教えたの」
三好双葉「えっ!?」
三好双葉「どうして?」
三好水葉「だってそうしないとあの人 いつまでも付きまとうから」
三好双葉「だから様子が変だったのか」
三好水葉「うん しばらく黙って何も言えなかったよ」
三好水葉「でも、これで安心! 邪魔者は消えた!」
三好双葉「ちょっと、その言い方!」
三好双葉「水葉も羽彩先輩のこと 大好きだったじゃない」
三好水葉「うん、前まではね」
三好水葉「でも、お兄ちゃんの方が 何百倍も好きだし」
三好水葉「ねえ、双葉」
三好双葉「何?」
三好水葉「宇喜多先輩は 『お姉ちゃん』の代わりには ならないんだよ」
三好双葉「分かってるよ! そんなこと!」
三好水葉「ならいいんだけど」
三好水葉「双葉さ、いつも宇喜多先輩に対して 他の先輩たちとは違った感情 持ってるみたいだからさ」
三好水葉「私も少しだけお姉ちゃんを 感じたことはあったよ」
三好水葉「でもね、やっぱりお姉ちゃんの 代わりなんかじゃない」
三好双葉「どうしちゃったの? 水葉」
三好水葉「私はお兄ちゃんには 幸せになってほしいの」
三好水葉「それだけなの」
三好水葉「だからね 邪魔な存在には消えて欲しいの」
三好双葉「羽彩先輩を邪魔者扱いなんて」
三好水葉「お姉ちゃん以外 お兄ちゃんを幸せになんて出来ない」
三好双葉「お姉ちゃんはもういないの!」
三好水葉「そうだよ」
三好水葉「だから、お兄ちゃんは このままにしておくべきなんだよ」
三好双葉「でもいつかは思い出すはずだよ」
三好双葉「特に最近はそれが顕著みたい」
三好水葉「分かってる」
三好水葉「でも、出来るだけ お兄ちゃんには思い出さないで欲しい」
三好水葉「今のお兄ちゃんは楽しそうだから」
三好水葉「双葉はさ お兄ちゃんが『お姉ちゃん』のことを忘れたことが気に入らないみたいだけどね」
三好双葉「でも、無理だと思うよ」
三好双葉「優弥さんにとって 学園は思い出の場所みたいだから」
三好双葉「だから、このまま続くなんて無理だよ」
三好水葉「それでもだよ」
三好水葉「あのお兄ちゃんが恋翔学園に 入るとか言い出した時は驚いたよ」
三好水葉「何があったか分からないけど お兄ちゃんはお姉ちゃんと学園で 何かあったから入学したんだよ」
三好水葉「だから、ずっと肝試しをしてる それが二人の思い出だから」
三好双葉「水葉」
三好双葉「私ね、時々思うの もしかしたら、真実話した方が 早いんじゃないかって」
三好水葉「お兄ちゃんのこと 嫌いじゃなかったの?」
三好水葉「まあ、どっちでも受け取れるか その提案は」
三好水葉「良心の呵責か嫌がらせか」
三好双葉「嫌がらせなんかじゃないよ」
三好双葉「確かに優弥さんには嫌悪感あるけど」
三好双葉「一応兄妹だよ」
三好水葉「あの双葉がね・・・・・・ お兄ちゃんに」
三好水葉「『あんたが死ねば良かったのに』」
三好水葉「まで言った双葉がね」
三好双葉「そ、それは、、」
三好双葉「そんな前の話を持ち出さないで」
三好水葉「いくら兄妹でもあの言葉は 絶対許せなかったからね」
三好双葉「ごめんね」
三好水葉「その言葉は私じゃなくて お兄ちゃんに言って」
三好水葉「今のお兄ちゃんが聞いても 理解できないだろうけど」
三好水葉「もうお兄ちゃんには これ以上負担かけさせたくないの」
三好双葉「水葉どうしてそこまで」
三好水葉「お兄ちゃんは頑張り過ぎちゃうから 自分のことなんて二の次だから もう無理させたくないの」
三好水葉「きっと、お姉ちゃんのこと思い出したら お兄ちゃんはどうなるか分からない」
三好水葉「もしかしたら、最悪のことだってある」
三好水葉「お兄ちゃんまで失いたくないの」
三好双葉「水葉、、」
〇ファンシーな部屋
三好優弥「・・・・・・」
三好優弥「誰なんだ、、、」