第14話『記憶の輪』(脚本)
〇女性の部屋
宇喜多羽彩「優弥と2人きりで会っていいのかな」
宇喜多羽彩「せっかく新しい浴衣買ったのにな」
宇喜多羽彩「それに髪型も変えてみたんだけどな」
宇喜多羽彩「もし、優弥の記憶が戻ったとしたら 私の入り込む余地なんてない」
宇喜多羽彩「きっと優弥はあの人のことしか 考えられなくなっちゃうはずだよね」
宇喜多羽彩「水葉が私に怒るのも当たり前じゃない」
宇喜多羽彩「単に虚しくなるだけじゃん」
宇喜多羽彩「優弥と少し仲良くなっただけで 何を勘違いしてたんだろう」
〇神社の石段
三好優弥「羽彩来ないな」
三好優弥「出ないな」
三好優弥「家に行ってみるか」
〇女性の部屋
宇喜多羽彩「優弥から連絡入ってた」
宇喜多羽彩「ドタキャンしようかな」
〇一軒家
三好優弥「良かった、いた!」
宇喜多羽彩「あ」
三好優弥「このバカ! 心配しただろ!」
宇喜多羽彩「ご、ごめん」
三好優弥「事故に巻き込まれたとか また変なやつに絡まれてるかと 思ったじゃないか」
三好優弥「でも、何もなくて良かった」
三好優弥「今度からドタキャンしてもいいから 連絡だけはちゃんとしてくれよ?」
宇喜多羽彩「優弥に怒られちゃった」
宇喜多羽彩「優弥も怒るんだね」
三好優弥「心配したんだぞ」
宇喜多羽彩「本当ごめん! ちょっと考えごとしちゃってね」
三好優弥「じゃあ、罰として 今日はとことん付き合ってもらうぞ」
宇喜多羽彩「はい」
三好優弥「行くか」
宇喜多羽彩「うん」
〇商店街
三好優弥「浴衣似合ってるぞ」
宇喜多羽彩「ありがとう」
宇喜多羽彩「朴念仁かと思ってたけど 意外と気が利くじゃん」
三好優弥「あと髪型が変わってる」
宇喜多羽彩「よく気づいたね」
三好優弥「まあな」
宇喜多羽彩「気分転換」
三好優弥「そっちもいいな」
宇喜多羽彩「ありがとう」
宇喜多羽彩「中学時代、この髪型だったの」
三好優弥「へえ」
宇喜多羽彩「覚えてないか」
三好優弥「でもイメージ大分変わるな」
宇喜多羽彩「そう?」
三好優弥「なんかお淑やかって感じだ」
宇喜多羽彩「ひどーい いつもお淑やかじゃん」
宇喜多羽彩「まったく」
宇喜多羽彩「ホント、優弥って 私を何だと思ってるんだか」
〇お祭り会場
三好優弥「さて、花火大会まで 腹ごしらえするか」
宇喜多羽彩「うん」
三好優弥「ほら、また離れると 変なのに絡まれるぞ」
宇喜多羽彩「そうだね」
三好優弥「もっと近くに寄れ」
宇喜多羽彩「はい」
宇喜多羽彩「ホント変なところは 気が利くんだから」
三好優弥「羽彩は危なっかしいからな」
宇喜多羽彩「子供扱い!?」
三好優弥「ほら迷子になるぞ」
宇喜多羽彩「もう!」
三好優弥「そういえば 学園祭のカフェは何出すか決めてないな」
宇喜多羽彩「そうだね 今度みんなで決めようね」
三好優弥「なあ」
宇喜多羽彩「何?」
三好優弥「羽彩は元気じゃないと つまらないな」
三好優弥「いつものように 冴えたツッコミないと 調子狂う」
宇喜多羽彩「何それ」
宇喜多羽彩「私、そんなキャラじゃないじゃん」
宇喜多羽彩「よし! 色々食べ歩きしてさ カフェのメニューの候補決めよ!」
三好優弥「おう! いいな!」
宇喜多羽彩「まずは、粉物から攻めよう!」
〇空
〇土手
三好優弥「花火なんてしっかり見るのは どれぐらいぶりだろう」
宇喜多羽彩「そうなんだ」
宇喜多羽彩「私は毎年見にきてるよ」
三好優弥「1人で?」
宇喜多羽彩「君と一緒にしないで」
宇喜多羽彩「女友達とだよ」
三好優弥「そうか」
宇喜多羽彩「男友達とかじゃなくて安心した?」
三好優弥「いや、今年は俺で良かったのか?」
宇喜多羽彩「うん、友達も分かってて 応援してくれてた」
三好優弥「応援?」
宇喜多羽彩「何でもなーい」
三好優弥「間違ってたらすまん」
宇喜多羽彩「ん?」
三好優弥「ここをもう少し行ったところで 羽彩と出会ったか?」
宇喜多羽彩「う、うん! そうだよ!」
三好優弥「そうか」
宇喜多羽彩「何となく思い出した?」
三好優弥「鮮明にじゃないけどな」
三好優弥「男2人に襲われそうになってるところを 俺がたまたま通りかかったんだよな」
宇喜多羽彩「そうだよ ひと気のないところだったのに 私を見つけて助けてくれたんだよ」
三好優弥「ホント、何でそんなこと忘れてたんだ」
宇喜多羽彩「大したことじゃなかったんだよ! だから気にしないで!」
三好優弥「いや、そんなはずはない 警察だって呼んだんだ」
三好優弥「そんなこと何で忘れてたんだ」
宇喜多羽彩「無理に思い出さなくていいよ」
三好優弥「頼みがある」
宇喜多羽彩「何?」
三好優弥「俺と会った時の話を もっと聞かせてくれないか?」
宇喜多羽彩「・・・・・・」
宇喜多羽彩「いや!」
三好優弥「どうして?」
宇喜多羽彩「だって、それを言って もし優弥が記憶取り戻したら 私は、、、わたしは、、」
三好優弥「そうか、すまなかった」
三好優弥「なんかあるんだな?」
三好優弥「場所変えよう」
宇喜多羽彩「うん」
〇空
〇高い屋上
三好優弥「ここからでも花火見えるな」
宇喜多羽彩「そうだね 最初からここに来ておけば良かったかな」
三好優弥「人混みも祭りの醍醐味だけどな」
宇喜多羽彩「そうだね」
三好優弥「水葉に何か言われたのか?」
宇喜多羽彩「別に」
三好優弥「そんなことないだろ」
三好優弥「言ってくれ」
宇喜多羽彩「水葉と他言しないって約束したの」
三好優弥「そうか」
宇喜多羽彩「ねえ、優弥 もし私がいなくなったらどうする?」
三好優弥「全力で探す」
宇喜多羽彩「どうして? 部員だから?」
三好優弥「それもある」
三好優弥「もう失いたくない」
三好優弥「もし俺が全力を出して どうにかなるなら 失いたくない」
三好優弥「何言ってんだ俺」
宇喜多羽彩「優弥らしい」
三好優弥「ほんとはさ」
宇喜多羽彩「うん」
三好優弥「俺の隣には誰かいつもいた気がするんだ」
宇喜多羽彩「え?」
三好優弥「最近、羽彩がいつも近くにいるだろ?」
宇喜多羽彩「・・・・・・」
三好優弥「前は誰かいた気がするように 思えてきてるんだ」
三好優弥「近くでさ、いつも天使みたいな 笑顔のやつがさ」
〇花火大会の観覧席
???「花火綺麗だね!」
三好優弥「そうだな」
〇高い屋上
三好優弥「前まで顔が思い浮かばなかったんだけど 最近顔も思い出せるようになってきた」
三好優弥「でも、夢の世界みたいに 少しぼやけるんだよな」
宇喜多羽彩「そう」
宇喜多羽彩「優弥はその人のこと思い出したいの?」
三好優弥「ああ、少しだけ」
三好優弥「きっと俺にとって大事な人なんだ」
宇喜多羽彩「なんで、、」
三好優弥「どうした急に?」
宇喜多羽彩(優弥、何も悪いことしてないのに)
宇喜多羽彩(どうして、こんな酷い目に 遭わないといけないの?)
宇喜多羽彩(恋人のことすら忘れて 思い出しちゃいけないの!)
宇喜多羽彩「ごめん、ちょっと嫌なこと 思い出しちゃって」
三好優弥「誰にだってあるさ」
三好優弥「羽彩は笑ってる方が素敵だぞ」
宇喜多羽彩「君ってどうして自分のことよりも 他人を気にするの?」
三好優弥「そうか?」
宇喜多羽彩「そうだよ」
〇空
〇高い屋上
三好優弥「花火も終わりみたいだな」
三好優弥「帰るか」
宇喜多羽彩「優弥に話しておくことがあるの」
三好優弥「なんだ?」
宇喜多羽彩「これは水葉との約束とは 違うから教えられる」
宇喜多羽彩「私にね 学園の七不思議を教えてくれたのは」
三好優弥「ん?」
宇喜多羽彩「君なの」
三好優弥「そうだったのか」
宇喜多羽彩「君と初めて会った時に 私に教えてくれたんだよ」
宇喜多羽彩「それに一縷の望みをかけて 私は亡くなったイトコを探してたの」
三好優弥「だから、ここで 誰に会いたいのとか聞いてきたのか」
宇喜多羽彩「うん」
三好優弥「あの時の問いかけに 今なら答えられる」
三好優弥「多分俺が会いたいのは 記憶にいるやつなんだ」
〇高い屋上
???「夕陽が綺麗だね」
〇高い屋上
宇喜多羽彩「どうかした?」
三好優弥「何でだ、ここでも あいつがいるんだ」
宇喜多羽彩「そっか」
三好優弥「悪い、今日は帰ろう」
宇喜多羽彩「うん」
〇学校脇の道
宇喜多羽彩「今日はありがとうね」
三好優弥「いや、こっちこそありがとな」
宇喜多羽彩「学園祭の準備も頑張ろうね」
三好優弥「そうだな、夏休みから始めるか」
三好優弥「・・・・・・」
〇学校脇の道
三好優弥「気に入ったか?」
???「もちろん!一生大切にするね!」
〇ファンシーな部屋
三好優弥「ここにあるはずだ」
三好優弥「そんな気がするんだ」
〇ファンシーな部屋
???「これは私の宝物なの」
〇ファンシーな部屋
三好優弥「本当にあった」
三好優弥「この指輪は、、、」
三好優弥「学園祭の帰りに 俺があげたんだよな」
三好優弥「その日から、あいつの宝物になったんだ」