愛天使世紀 ウェディングアップル

ウェディングアップル・シナリオ制作チーム

第31話 愛天使、失格!①(脚本)

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〇林道
朝陽林檎「ハァハァ・・・」
  林檎は呼吸を荒げてアイリス・ウェディングに続く林道を走った。
  髪はボサボサで、目の下には深い隈(くま)ができている。

〇ウェディングドレス撮影スタジオ
霧乃あやめ「さぁ、仕事の時間よ。 しっかり、打ち合わせ通りにね」
「はいっ」
霧乃あやめ「・・・林檎は?」
従業員「そういえば」
霧乃あやめ「また遅刻? 最近やたら多いわね」
朝陽林檎「ご、ごめんなさい」
霧乃あやめ「遅い」
朝陽林檎「ハァハァ・・・す、すみませ・・・」
霧乃あやめ「ほら。みんなは行った、行った。 時間ないわよ」
  スタッフたちを持ち場に返したあと、あやめは林檎をジロリと睨んで言った。
霧乃あやめ「林檎。あなた最近、どうしちゃったの? 遅刻ばっかりで」
朝陽林檎「ごめんなさい・・・」
霧乃あやめ「私は、理由を聞いてるの。 なんだか、元気もないみたいだし」
朝陽林檎「その・・・」
朝陽林檎(愛天使が大変で・・・とか言えないし・・・)
霧乃あやめ「黙っていちゃ、わからないでしょ」
朝陽林檎「その・・・疲れていて・・・」
霧乃あやめ「林檎。これは仕事なのよ。 疲れているなら、休みなさい」
霧乃あやめ「体調管理ができない半端なスタッフは、うちにはいらないわ」
朝陽林檎「・・・!」
霧乃あやめ「どうなの? これからは、ちゃんとできるの? できないの?」
朝陽林檎「・・・できます。がんばります!」

〇結婚式場のレストラン
  披露宴の会場で、林檎はふらふらしながら料理を運んだ。
朝陽林檎「・・・あっ」
  林檎が落としたお皿が割れて、場内に大きな音が響く。
女性客「きゃっ」
男性客「なにやってんだ!」
朝陽林檎「ご、ごめんなさい・・・」
従業員「申し訳ございません、お客様」
従業員「林檎ちゃん、もうここはいいから」

〇結婚式場の階段
  大階段に並ぶ新郎新婦に向けて、林檎はカメラを構えた。
朝陽林檎(がんばらなきゃ・・・)
黒岩優斗「おい。録画が止まってるぞ」
朝陽林檎「・・・えっ? あ・・・」
黒岩優斗「キミね。あの人たちの、一生に一度の想い出を台無しにするつもり?」
朝陽林檎「そんなこと・・・ない、です」
黒岩優斗「なら、責任をもってしっかりやれ。 足を引っ張るだけの半端な奴は、邪魔だ」
朝陽林檎「すみません・・・」
霧乃あやめ「林檎、ちょっと来て」

〇結婚式場の廊下
霧乃あやめ「あなた、今日はもう帰りなさい」
朝陽林檎「・・・! まだがんばれます」
霧乃あやめ「いられると、迷惑なのよ」
朝陽林檎「う・・・」

〇結婚式場前の広場
朝陽林檎(私・・・半端で、迷惑なのかな・・・)
  新郎新婦と、彼らを祝福する人々の姿が目に入る。
朝陽林檎(みんな、幸せそう・・・それに比べて、今の私って。これで、いいのかな・・・)
朝陽林檎「・・・? 蘭からだ。もしもし?」
武笠蘭「林檎、また魔霊が出たみたい。 いま、来られる?」
朝陽林檎「・・・うんっ。すぐ行くよ」

〇森の中
オーキッド「ハァハァ・・・こいつら、強い」
ジュロー「ククッ。 やはり愛天使など口ほどにもない」
ジュロー「魔霊メリー、後は作戦通りだ」
メリー「はっ。ジュローさま」
オーキッド「なにするんだか知らないけど、やらせるかよ!」
アップル「オーキッド! 大丈夫?」
オーキッド「アップル! 待ってたよ。2人でやっちゃおう」
ジュロー「クククッ。一匹増えたところで」
  ジュローがアップルに向かって突進する。
ジュロー「くらえ! はぁあっ」
アップル(身体が、重い。避けられない!?)
オーキッド「アップル、あぶない!」
  オーキッドが慌てて前に飛び出し、アップルを庇う。
オーキッド「うわぁあああっ!?」
アップル「きゃああぁあ~~っ!?」
  アップルとオーキッドは二人とも攻撃を受けて吹き飛ばされた。
アップル「うう。身体に力が、入らない・・・」
ジュロー「なんだ貴様。 あの程度の攻撃でもうギブアップか」
オーキッド「どうしたの、アップル! いつもと動きが、全然ちがう」
ジュロー「クククッ。 味方が足手まといだと、苦労するなぁ」
オーキッド「なにぃ!」
ジュロー「愛天使どもはもう満身創痍。 ・・・あとは作戦通りだ。任せたぞ」
メリー「はい。お任せでメリー」
ジュロー「期待しているぞ」
メリー「まずはお前から始末してやるでメリー」
アップル「まだ・・・まだ、できる。 がんばれる・・・」
アップル「私、愛天使なんだから・・・」
オーキッド「アップルは、やらせない!」
メリー「貴様ももう、限界のはず。そんな役立たず、守るだけ無駄でメリーよ」
アップル「・・・!」

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コメント

  • ウェディングアップル。ここにきて初のモヤモヤ回ですね? 次回も楽しく読みますとも!!

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