第15話『初めてのサボり』(脚本)
〇高い屋上
???「夕陽が綺麗だね」
〇高い屋上
三好優弥「絶対に忘れちゃいけないはずなのに」
三好優弥「何で思い出せない!」
三好優弥「あと少しなんだ!」
三好優弥「誰なんだ!」
三好優弥「他人に聞くんじゃない」
三好優弥「自分で見つけないといけないはずなのに」
三好優弥「思い出せない」
三好優弥「あの指輪を見てから さらに強くなってる、、」
〇ボロい校舎
???「肝試しだ!楽しみ!」
三好優弥「そうだな!」
〇ボロい校舎
三好優弥「ここもか」
〇湖畔の自然公園
優弥「今日はUMA捕まえてやるぜ」
???「いっぱい捕まえようね!」
〇湖畔の自然公園
三好優弥「なんでこんなところに来たのかと思いきや 記憶が蘇るなんてな」
三好優弥「子供の頃からか」
〇公園のベンチ
???「待った?」
三好優弥「いや、全然」
???「じゃあ、帰ろう?」
〇公園のベンチ
三好優弥「なんで、こんなに記憶が蘇ってくるんだ」
〇大きな日本家屋
三好優弥「屋敷?」
三好優弥「なんで、俺はここに来たんだろ」
三好優弥「でも、来たことあるな」
有馬美沙「え?」
三好優弥「すみません 勝手に入ってしまって」
有馬美沙「いいよ」
有馬美沙「お茶出すよ 少しお話ししない?」
三好優弥「はい」
〇道場
三好優弥「道場?」
有馬美沙「そう 自宅兼道場」
有馬美沙「私のおじいちゃんが道場主だったの」
三好優弥「その方は?」
有馬美沙「4年前に亡くなったよ」
三好優弥「そうですか」
〇広い和室
有馬美沙「座って座って」
三好優弥「はい」
三好優弥「ここに1人で住まわれてるんですか」
有馬美沙「そうだよ」
有馬美沙「おじいちゃんが元気だった頃は お弟子さんがたくさんいて とっても賑やかだったんだよ」
有馬美沙「おじいちゃんが亡くなって 誰もいなくなっちゃった」
三好優弥「でも、どうして?」
有馬美沙「気になる?」
有馬美沙「いつか来客があるから待ってたの」
三好優弥「待ってた?」
有馬美沙「そう」
三好優弥「もしかして?」
有馬美沙「おかえり、優弥くん」
〇合宿所の稽古場
宇喜多羽彩「優弥顔見せないね」
宇喜多羽彩「夏休みだからいいけど」
蒼村優「何も連絡ないですね」
蒼村優「こんなこと今までなかったのに」
三好双葉「そのうち来るんじゃないですかね」
宇喜多羽彩「そういえば水葉もいない」
蒼村優「そういえば、見ませんね」
上杉遼羽「まったくどうしようもねえ部長だな」
上杉遼羽「まあ、いつもいない俺が 言える立場じゃねえけど」
宇喜多羽彩「上杉くん」
上杉遼羽「とりあえず学園祭の準備進めるか」
上杉遼羽「たまには副部長らしいことしないとな」
〇道場
有馬「じゃあ、今日の鍛練を始めましょうか」
優弥「はい! 先生!」
〇道場
三好優弥「先生!」
三好優弥「なんで、俺忘れてたんだ」
三好優弥「最高の恩人を」
三好優弥「恩を仇で返すなんて」
有馬美沙「おじいちゃんは そんなこと絶対に思ってないよ」
有馬美沙「孫のように可愛がった愛弟子なんだから」
三好優弥「俺はバカだ」
三好優弥「こんなことじゃ あいつに顔向け出来ない!」
三好優弥「あいつ?」
〇道場
???「ゆーや」
〇L字キッチン
三好優弥「ここで料理をしてたんだよな」
有馬美沙「そうだよ」
〇L字キッチン
???「今日は美沙さんから 美味しいおかず教わったから 楽しみにしといてね」
有馬美沙「期待しててね!」
〇道場
三好優弥「すみません」
三好優弥「今日は帰ります」
有馬美沙「そう」
三好優弥「美沙さん」
有馬美沙「私のこと思い出してくれたんだ」
有馬美沙「またいつでもおいで!」
三好優弥「はい!」
〇ファンシーな部屋
三好優弥「・・・・・・」
三好優弥「あいつの宝物だ」
三好優弥「あいつがこれを失くして 探すの大変だったな」
三好優弥「よくこの部屋で喋ったり コックリさんしたっけ」
〇ファンシーな部屋
???「じゃあ、エンジェル様やるよ!」
三好優弥「コックリさんだろ?」
???「違うよ!」
三好優弥「詩乃は本当にオカルトが好きだな」
〇ファンシーな部屋
三好優弥「詩乃」
三好優弥「そうだ、詩乃だ」
三好優弥「あいつは死んだんだ」
三好優弥「俺のせいで」
三好水葉「お兄ちゃん」
三好水葉「もしかして!」
三好水葉「お姉ちゃんのこと思い出したの?」
三好優弥「ああ」
三好優弥「俺は何で忘れてたんだ」
三好優弥「何で忘れてしまってたんだ!」
三好水葉「お願い! お兄ちゃん!」
三好水葉「自分を責めないで!」
三好優弥「あいつは俺のせいで死んだんだ」
三好水葉「お兄ちゃんは悪くないんだよ」
三好優弥「いいんだ、水葉、全部思い出した」
三好水葉「いつかこんな日が来ると思ってた」
三好優弥「隠してたのか?」
三好水葉「ごめんなさい」
三好水葉「お兄ちゃんが記憶取り戻したら きっとお姉ちゃんのことで 自分を責めるから」
三好優弥「俺は詩乃がいない世界なんて 生きていけない」
三好水葉「お願いだから そんなこと言わないでよ」
三好優弥「何で俺はのうのうと生きてんだ」
三好優弥「あいつは必死に生きようとしてたのに」
三好水葉「いいんだよ! お兄ちゃんは生きて!」
三好優弥「俺はあいつのことを 恋人のことを忘れるような 無責任野郎だ」
三好優弥「何で平然と高校通ってんだよ」
三好水葉「それきっとお姉ちゃんが やりたかったことを お兄ちゃんがやってあげてるだけだよ」
三好優弥「分かってる」
三好優弥「でもさ、あいつがいないのに 何やっても意味ないんだよ」
三好優弥「本当だったら 一緒に高校行ってたはずなのに」
三好水葉「お願いだから 自分を責めないで」
三好水葉「私まで悲しくなっちゃう」
三好優弥「水葉、、、」
三好優弥「一つだけ聞いていいか?」
三好水葉「何?」
三好優弥「なんで、この指輪だけは 残していたんだ?」
三好優弥「他の荷物はほとんどなくて 水葉のものがあるのに」
三好水葉「それ、お姉ちゃんが大事にしてたものだから部屋に置いてあげたかったの」
三好水葉「あと、他のところに保管して 失くしたりしたくなかった」
三好水葉「お兄ちゃんの記憶が戻ることになるなら やっぱり隠しておけばよかった」
三好優弥「そうか」
三好水葉「お兄ちゃん」
三好優弥「さっきから詩乃のことばかり 頭に蘇ってくるんだ」
三好優弥「悪い、出かけてくる」
三好水葉「お兄ちゃん! どこ行くの!?」
三好水葉「追いかけないと」
〇高い屋上
三好優弥「結局俺が行ける場所なんて ここぐらいなんだよな」
三好優弥「このまま死ねたら楽なのかな」
三好優弥「あいつの元に行けるんなら それでもいいか」
宇喜多羽彩「こら!」
宇喜多羽彩「物騒なこと言うな!」
三好優弥「羽彩か」
宇喜多羽彩「まだ学園祭してないだろ!」
宇喜多羽彩「それにあんた部長でしょう」
宇喜多羽彩「部員たちを置いていっちゃうわけ?」
三好優弥「何でここに?」
宇喜多羽彩「水葉が泣きながら 優弥がいなくなったって言ったから みんなで探してたの」
宇喜多羽彩「多分ここにいるんじゃないかって思った」
宇喜多羽彩「水葉の慌てっぷりヤバかったから 信じがたかったけど マジで想像以上だった」
宇喜多羽彩「優弥にとって どれたけその人が大事だったのか 伝わってくるよ」
宇喜多羽彩「ねえ? 良かったら教えてくれない?」
宇喜多羽彩「優弥とその人について 大まかにしか聞いてないからさ」
三好優弥「聞きたいのか?」
宇喜多羽彩「そりゃあ、好きな人の過去だしね」
三好優弥「・・・・・・」
三好優弥「今なんて言った?」
宇喜多羽彩「二度言わせんな!」
宇喜多羽彩「優弥のことが好きだって言ったの!」
宇喜多羽彩「恥かかせんな! この大馬鹿!」
宇喜多羽彩「やっぱ、あんた、朴念仁だわ!」
三好優弥「そうだな」
宇喜多羽彩「本当はもっとシチュエーションがいいときに 告白するつもりだったけど仕方ないか」
宇喜多羽彩「それで、どうなの? やだ?」
三好優弥「もし、よかったら 聞いてくれないか?」
宇喜多羽彩「いいよ」