ジェノサイド(脚本)
〇体育館の舞台
第XXX回、天使学院の卒業証羽授与式を執り行います
A組の先生「3年A組 エンジェリカ!」
エンジェリカ「はい!」
A組の先生「エンジェリカ あなたが天使課程を修了したことを証し、天使の羽を授与します」
エンジェリカ「わぁぁぁぁ!!」
エンジェリカ「たのしーい!!!」
A組の先生「おい! エンジェリカ!!」
先生「エンジェリカさん! 厳粛な卒業式が台無しよ!!!」
エンジェリカ「いいじゃないの! 厳粛なんてつまんない!」
エンジェリカ「みんないっせいに羽を生やして飛びましょうよー!」
生徒「わー!賛成!」
生徒「さいこー!」
先生「もう・・・・・・ 本当に問題児なんだから!」
A組の先生「卒業できたのが不思議だよ!」
先生「どうします? 校長」
校長「もう収拾つかないし、今年度は無礼講だ!」
エンジェリカ「わーい校長先生大好きー!」
先生「あなたはエンジェリカに甘いですね」
校長「ちょっと孫に似ているからな・・・」
先生「・・・」
〇高い屋上
エンジェリカ「ねえねえ いっせーのーでクラスのみんなで屋上から飛んてみましょうよ」
クラスメイト「やだ 私はまだこわい」
エンジェリカ「あ、むりしなくていいよ!」
エンジェリカ「よし、一緒に行ける人は飛ぼ!」
エンジェリカ「せーのっ」
〇血しぶき
天使の羽は高く売れる
ウーララララララァァァ!!
平和ボケした天使共!!
大人しく羽を刈り取らせろ!!
キャァァ!!!!
蜂の巣になったクラスメイトたちと地に落ちていく
アハハハハハハ
〇華やかな裏庭
ゲドウ「よお お前が最後か」
ゲドウ「打ちどころが悪かったか死んでねえな」
ゲドウ「おもしれえ 盛大な悲鳴を上げろ」
エンジェリカ「──・・・」
ゲドウ「チッ 睨むな 目を抉るぞ」
エンジェリカ「・・・」
私は神に祈り神経を遮断した
ゲドウ「ハハハ大漁だ!!!」
ゲドウ「この天使共の羽を売っ払ってガッポガポだぜ!」
怒りで涙も出ないが不思議と力が湧いてきた
エンジェリカ「返せ」
ゲドウ「あ?」
エンジェリカ「羽を返せ」
ゲドウ「おもしれえなお前 俺の女になるなら返してやってもいいぜ」
エンジェリカ「いらない」
ゲドウ「あ?」
エンジェリカ「お前に返してもらう必要もない 学校に授与してもらう必要もない 私は私の力で羽を生やす」
エンジェリカ「神様は私に無限の力をお与えになったのだから」
ゲドウ「何だおまえ・・・」
エンジェリカ「神様万歳! 神様は私に力があることをお示しになった! 神様万歳!」
ゲドウ「きもちわるっ」
エンジェリカ「アハハハハハハ お前のような誰かのものを奪って栄えるものは滅びる」
エンジェリカ「私に遇ったのが運の尽き」
エンジェリカ「滅べ」
エンジェリカ「さようなら悪役 私はもうどの芝居にも参加しない」
〇空
その後エンジェリカを見たものはいない
〇洞窟の深部
エンジェリカ「・・・・・・」
エンジェリカ「私は誰も必要としないほど強くなりたい」
〇岩山
触れるだけで病が治る岩山がある
その岩山の中には天使がいるらしい
岩山の周辺には天使の平和への願いが満ちており、自然と平和を願う人々が集落を作った
天使に会う日を待ちわびながら・・・
破天荒な気質のエンジェリカが屋上から羽ばたくシーンから一気に違う人格が芽生えているのが一瞬戸惑いをかんじさせられましたが、最後はぐっと心を掴まれる彼女の言葉に感銘をうけました。
前半までの浮かれた雰囲気と後半のおぞましい虐殺シーンの落差がえぐいですね。エンジェリカが殺されかかった時に神の力が降りてきて人格が急変した瞬間が見ものでした。「私はもうどの芝居にも参加しない」ってシビれるセリフ、人生のどこかで使ってみたい。けど無理か。