読切(脚本)
〇教会の中
タダノ タダオ(どういうことだ?!)
タダノ タダオ(新婦の招待客が誰も来ていないなんて? 何か手違いでもあったのか?)
スタッフ「それでは新婦の入場です」
ハナノ ユメ「ふふふ」
タダノ タダオ「ユメ・・・ どうして一人で?」
ハナノ ユメ「これで終わっちゃうと思うとちょっと寂しいいな」
タダノ タダオ「は?何言ってんだよ? どうなってるんだ? ちゃんと説明してくれよ!」
ハナノ ユメ「やれやれ・・・ 本当にあなたは愚かね。 少しは自分で考えられないの?」
タダノ タダオ「本当にどうしちゃったんだよ? 付き添い人のお義父さんはどこいったんだい?それに君の招待客が一人もいないじゃないか?」
ハナノ ユメ「それは当然よ」
タダノ タダオ「当然?」
ハナノ ユメ「だって誰も招待してないんだから当たり前でしょ?」
タダノ タダオ「しょ、招待してないって、何で?どうしてだよ!」
ハナノ ユメ「だからもう少し自分で考えてよ? 何で結婚式の日を今日にしたかわからない?」
タダノ タダオ「それは君がこの日を希望したからで、何か意味があるのか?」
ハナノ ユメ「もちろん、全てに意味があるのよ? 一年前の今日のことは覚えてる?」
タダノ タダオ「一年前? もしかして、あの事か? でもあれはもう許してくれたはずじゃ?」
ハナノ ユメ「あの事って? ちゃんと言葉にしてくれないとわからないわよ」
タダノ タダオ「おれが君を裏切った事だよ 君の友だちと、その、浮気をした」
ハナノ ユメ「そうね、そのことよ ちゃんと覚えてるじゃない?」
タダノ タダオ「もちろん覚えてるし、今でも反省してるよ」
ハナノ ユメ「そうね」
タダノ タダオ「一年前に話し合って あの時、許してくれたじゃないか?」
ハナノ ユメ「何を言ってるの? わたしは許すなんて一言も言ってないわよ?」
タダノ タダオ「え?でもあの時」
ハナノ ユメ「わたしはただ『わかった』って言っただけじゃない」
タダノ タダオ「でもその後何も言わなかったし、何事もなかったみたいに今まで通りの付き合いをしてたじゃないか!」
ハナノ ユメ「そうね」
タダノ タダオ「そんなの許されたって思うだろ普通さ!」
ハナノ ユメ「もう、どうしてあなたが怒ってるのよ?」
タダノ タダオ「ごめん、でも今更何でって、 というかどうしてこんな日にこんな場所でこんな話をしてるんだよ・・・」
ハナノ ユメ「わたしは一年間ずっとこの日を、この時を待ってたのよ」
ハナノ ユメ「今日でわたしの復讐も終わりね」
タダノ タダオ「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
ハナノ ユメ「さようなら! これでわたしはあなたのことを綺麗さっぱり忘れられる。でもあなたは一生わたしを忘れないでしょうね?」
これは怖い。
その気になればできそうな復讐だと思うと更に怖さが増しますね。
彼女が静かに去っていった会場を想像しました。
新郎側の参列客、どのような反応をしたのだろうかと想像すると恐ろしさが増します。
この復讐、肉体的にも金銭的にも制裁をしない、ただ社会的に貶めるという、ある意味恐怖のモノですね……
これは世の男性を震撼とさせる衝撃の問題作でしたね。相手にショックを与えるだけでなく全方位に恥もかかせて社会的立場も危うくするという前代未聞の復讐方法が爽快でした。浮気をした男にはマリッジ・ハラスメント、略してマリハラですね。流行ったら怖いかもですが。