死神は聖夜にわらう

白星ナガレ

死神のゲーム(脚本)

死神は聖夜にわらう

白星ナガレ

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〇テクスチャ
ケイタ「・・・」
ケイタ「ここは?」
死神「やあ」
ケイタ「誰だ?」
死神「僕は死神」
ケイタ「死神って・・・俺、死んだの?」
死神「いや、死んでいない が、死にかけている」
死神「君は今、生と死の狭間にいる」
ケイタ「そんな・・・死にたくない」
死神「安心してくれ 君に生きるチャンスを与える」
ケイタ「何をすればいいんだ?」
死神「僕とゲームをしよう 君が勝てば、君は生きられる」
死神「どうだ、やるか?」
ケイタ「やるに決まってる!」
死神「じゃあ、彼を呼ぶ」
  パチン
ケイタ(また怪しい奴が・・・)
見届け人「私はゲームを見届けるだけだ 勝敗には関わらない」
見届け人「後ろで見ているから 気にしないでくれたまえ」
ケイタ(なんとなく嫌だけどな・・・)
死神「さて、ゲームの内容だが」
死神「水平思考ゲームをしよう やったことはあるか?」
ケイタ(確か出題者に質問をして 答えを導き出すゲームだ)
ケイタ(有名な話・・・ウミガメのスープなら 知ってるけど)
ケイタ(それだったら答えがわかるから ラッキーだな)
ケイタ「なんとなくはわかる」
死神「一応説明するが、僕が問題を出す 対して君は質問をする」
死神「僕は質問に はい、いいえ、関係ない、の どれかで答える」
死神「そして君は答えを導き出せたら勝ちだ」
死神「君が答えられるのは一度だけ、いいね?」
ケイタ「わかった」

〇テクスチャ3
  目を閉じた君の傍に
  赤い服を着た男が立っている
  男は何をしている?

〇テクスチャ
ケイタ(目を閉じた君って、俺のことだよな)
ケイタ「現実の俺に本当に起きていること?」
死神「はい」
ケイタ(赤い服を着た男か)
ケイタ(色々思い出せないけど 確か今日はクリスマスイブだ そうなると・・・)
ケイタ「男はサンタクロース?」
死神「いいえ」
ケイタ(さすがに単純すぎたか)
ケイタ(赤い服がきっと重要なんだよな・・・ サンタクロースしか思い浮かばない!)
ケイタ(水平思考ゲームは柔軟に考えないとダメだ)
ケイタ(うーん・・・そうだ!)
ケイタ「男の服は元から赤かった?」
死神「いいえ」
ケイタ(ということは、男の服は 後から赤く染まったのか)
ケイタ(赤い液体っていうと・・・)
ケイタ「男の服は血液で赤く染まった?」
死神「はい」
ケイタ(よし、答えに近づいてそうだ)
ケイタ(でも、どうして血染めの男が 俺の目の前にいるんだ?)
ケイタ(何があったか思い出せない)
ケイタ(そもそも俺は死にかけているんだよな)
ケイタ「男は俺の死に関係ある?」
死神「はい」
ケイタ(俺の目の前に血染めの男がいて その男は俺の死に関係している)
ケイタ(それってつまり 俺はその男に殺されて・・・?)
ケイタ(まだ答えないぞ ダメ押しにもう少し質問しよう)
ケイタ「俺の体に傷はある?」
死神「はい」
ケイタ「打撲?」
死神「いいえ」
ケイタ「切り傷?」
死神「はい」
ケイタ「男は刃物を持っている?」
死神「はい」
ケイタ(間違いないぞ 現実の俺は男に殺されかけてるんだ)
ケイタ(クリスマスイブにそんな目に合うなんて やっぱりクリスマスなんて嫌いだ!)
ケイタ(本当にクリスマスはろくなことがない)
ケイタ(サンタなんて来たことないし)
ケイタ(父さんは死んだし)
ケイタ(まぁいいや、今はゲーム中だ 質問を続けないと)
ケイタ「男は犯罪者?」
死神「いいえ」
ケイタ(犯罪者じゃないだって? 俺を刃物で殺そうとしたんじゃないのか?)
ケイタ(男の正体が全然わからない)
ケイタ(最初から考えるしかないか)
ケイタ(どうでもよさそうなことでも 関係あるかもしれない)
ケイタ「今日がクリスマスイブなのは関係ある?」
死神「・・・関係、ない」
ケイタ(はっきりしない言い方だけど 信じるしかないよな・・・ にしても、これ以上何を聞こう)
ケイタ(なにか思い出せないかな・・・ 記憶を辿ってみよう)

〇クリスマスツリーのある広場
  確か今日は
  クリスマスパーティーに誘われて
  友達の家に向かってたんだ
  公園を抜けて大通りに出て
  そこで俺は・・・

〇黒
  車に はねられたんだ

〇テクスチャ
ケイタ(・・・そうだ それで俺は死にかけているのか)
ケイタ「男は俺に危害を加えようとしている?」
死神「いいえ」
ケイタ(じゃあ男は 車に はねられた俺を 助けようとしているのか?)
ケイタ「男は仕事中?」
死神「はい」
ケイタ(じゃあ事故現場に来た 警察官か救急隊員か・・・)
ケイタ(でも、確か男は 刃物を持っているんだったな)
ケイタ(そうか、わかったぞ!)
ケイタ「男は医者?」
死神「はい」
ケイタ「俺は手術台に寝かされている?」
死神「はい」
ケイタ「よし、答えだ!」
ケイタ「男はメスを持って手術をしている!」
死神「・・・正解!」
死神「おめでとう これで君は生き返れる」
ケイタ「よかった・・・」
ケイタ「それにしても死神って 命を奪うだけじゃないんだ?」
死神「・・・もうゲームは終わっている 質問は受け付けない」
ケイタ「そっか ありがとう、変な死神」
死神「もう二度と 死神なんかと会わないようにな」
死神「また車に はねられたりするなよ」
ケイタ「わかったよ」
見届け人「少年、ゲームは君の勝ちだ 私が確かに見届けた」
見届け人「約束通り、現世に帰そう」
ケイタ(俺の体が透けていく・・・)
ケイタ「じゃあね、死神」
死神「ああ、二度と来るなよ」

〇テクスチャ
見届け人「・・・本当によかったのか?」
死神「いいに決まってる」
見届け人「あの子どもの命を奪えば、お前は死神となり 消えずにいられたのに」
見届け人「死後、魂だけで 彷徨っていた時間が長すぎるお前は もう輪廻の環には戻れない」
見届け人「命を奪って死神になるか 消滅するか・・・その二択だったのに」
死神「わかってるさ」
見届け人「お前はあの子どもの命を救ったが それは自分の魂と引き換えだ」
死神「自分の魂なんて安いものだ」
死神「あなたには感謝している」
見届け人「何故だ?」
死神「ちょうど十年前、僕は急死してしまった 息子が生まれたばかりだったのに」
死神「息子に何もしてやれなかった・・・ それが心残りで 僕は死後ずっと彷徨っていたんだ」
死神「しかしさっき、父親から息子への 最初で最後のクリスマスプレゼントを 贈ることができた」
死神「あなたがゲームを提案してくれたおかげだ」
見届け人「・・・フン、ただの暇潰しだ」
死神「だとしても、嬉しかった ありがとう」

〇黒
見届け人「・・・現世で、雪が降っているな」
見届け人「儚いものだ、人間よ」

コメント

  • 死神って命を取るだけではないんだ。少年の命が助かれば死神は死ぬのか。この展開は今までにない発想です。斬新すぎます。新しいストーリーをもっと読みたいです。

  • いいお話ですね。
    最後まで読んで、パズルが解けたような感覚がしました。
    死神さんは、自分の魂と引き換えに息子さんを救ったんですね。
    死後もなお、子どもを思う気持ちにしんみりきました。

  • 一見ホラーかな?と思ったけれど,読み終えてほっこりした気持ちになる作品でした。死神さんは,もう現世に戻れないけれど,その代わりに子供にその分,委ねているのでしょうね。

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