100万人のメリークリスマス

タロイモ

100万人のメリークリスマス(脚本)

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〇一人部屋
  俺は冴島聖也。名前だけはカッコいいと言われる、文字通り冴えない17才の高校二年生。彼女いない歴=年齢
  SNSのフォロワー数、たったの1人──
冴島聖也「あと3日でクリスマスだってのに、何やってんだ俺は・・・」
  今年こそクリスマスまでに彼女を作ってやろうと目論んでいた俺は、日々の高校生活をSNSに投稿していた。
  成果は今の所、お察しの通り。
冴島聖也「相変わらず、1人か・・・」
日野朱莉「聖也!! あんた何で電話でないのよ!?」
冴島聖也「・・・!! んだよ朱莉かよ・・・。てかノックぐらいしろよ!! 思春期の男子の部屋だぞ!!」
日野朱莉「っさいわね!! マンガ早く返しなさいよ!」
  人の家に勝手に上がり込んできた、このうるさいのは日野朱莉。幼稚園からの付き合いで、いわゆる幼馴染。なんだけど・・・
日野朱莉「またスマホ!? 馬鹿じゃないの!? そんなだから明日から補修になんのよ」
冴島聖也「っるせえ!! 必死なんだよこっちだって!!」
日野朱莉「勉強より彼女作ることに必死なバカがいるか!! だからいつまでたっても友達もフォロワーも増えないんでしょ!!」
冴島聖也「ああそうですか!! だったらクリスマスまでにフォロワー100万人超えてやるよ!!」
冴島聖也「100万人超えたら、俺の言うこと何でも聞けよ!!」
日野朱莉「はいはい。あと3日しかないのにムリに決まってんでしょ。ま、せいぜい頑張りなさい」
冴島聖也「んのヤロウっ。人の気も知らないでバカにしやがって・・・!!」
  俺は逆上して、SNSに
  「クリスマスまでにフォロワー100万人超えたら、最初に俺をフォローしてくれた人に──
  当日夜8時に渋谷のハチ公前でサンタの格好で告白します!」と投稿した。
  ほんの出来心だった。ところが・・・

〇一人部屋
冴島聖也「んなっ・・・!!」
  翌朝、スマホの画面を見ると大量の通知が届いていた。
冴島聖也「23万人・・・!! ヤバい・・・何がどうなってんだよ!!!」
  俺は慌てて学校へ向かった。

〇教室
桐谷颯斗「おおっと!! インフルエンサーのお出ましだ!!」
水口貴哉「みんな!! 急上昇ランキング1位の冴島様のお通りだぞー!!」
  案の定、嫌な予感は的中していた。偽名とは言え、日々の学校生活を投稿していた俺のSNSは瞬時に特定されていた。
桐谷颯斗「はいたった今30万人突破しましたー! 聖也くん、ぜひフォロワーの皆さんに一言を!!」
冴島聖也「るせー。たまたまバズっただけだろ。それにまだ100万人いくって決まったわけじゃない・・・」
  そうだ。あと2日もあるんだ。そもそも俺なんかに、フォロワーが100万人もつくわけがない・・・。
桐谷颯斗「でもさ、最初のフォロワーが男とか先生とかだったらどうすんの? それでも告るの?」
冴島聖也「そ、それは・・・」
水口貴哉「しかも、時間通りに来るとも限らないだろ」
水口貴哉「クリスマスに聖也がハチ公前で1人でサンタのコスプレしてんの、超ジワるんだけど」
  俺は、フォロワー欲しさにバカな投稿をした自分をとことん悔いた・・・。

〇一人部屋
  だが、クリスマス・イブも通知は鳴り止まなかった。
  「応援してます!」「稀代のバカ発見!」「目指せ100万人!」など、良いも悪いも含むコメントが殺到した。
  そしてフォロワーは79万人を突破してしまった。
冴島聖也「本当にヤバいぞ・・・ どうすりゃいいんだーー!!」

〇クリスマス仕様の教室
桐谷颯斗「いまや現役高校生としては日本一のフォロワー数を誇る冴島聖也様だー!」
水口貴哉「さてはもう広告収入あるな!?」
冴島聖也「あるわけないだろ」
桐谷颯斗「明日は俺らもハチ公前に行っちゃう!?」
冴島聖也「いやまだあと1日あるだろ!!」
水口貴哉「もうここまで来たら止まんないって!!」
  貴哉の言う通りだった。通知は鳴り止む気配がなく、補修の間もフォロワーの数は増え続けるばかりだった。

〇クリスマス仕様の教室
  そしてクリスマス当日の午後12時25分。時間を狙っていたかように、ついにフォロワー数が100万人に到達してしまった──。
桐谷颯斗「聖也くんおめっとさーん!!」
水口貴哉「いやー8時が待ち遠しいわー!!」
冴島聖也「俺の人生は、終わった・・・」

〇渋谷のスクランブル交差点
  俺はもうドウニデモナレという思いで、約束通りサンタの格好をして、午後8時前に渋谷のハチ公前にやって来た。
フォロワーA「本当にいるー」
フォロワーB「ガチじゃん!」
フォロワーC「インスタにあげよ!」
  ギャラリーはざっと数えたところ、ビルのカフェにいる人たちも含めて、数百人はいるようだった。
  俺は・・・もうこの場からは逃げられないと悟り、目をつむった。
  
  そして約束の午後8時──。
最初のフォロワー「ねえ・・・」
  俺の肩を、やさしく叩く人がいた。
  いちばん最初にフォローしてくれた人だろうか? 俺は振り返った。
最初のフォロワー「聖也・・・?」
聖也「うそ・・・ だろ・・・」
日野朱莉「本当だよ」
聖也「・・・朱莉、おまえ何で・・・ここに・・・?」
日野朱莉「ほら、早く」
聖也「は、早くって、何を・・・」
日野朱莉「いちばん最初にフォローしてくれた人に、何するんだっけ・・・?」
聖也「あっ・・・」
日野朱莉「みんな、見てるよ?」
聖也「で、でも!! 100万人突破したら、何でも言うこと聞くって・・・!!」
日野朱莉「うん、聞くよ?」
聖也「・・・。 じ、じゃあ・・・!!」
日野朱莉「うん」
聖也「お、俺と・・・!」
日野朱莉「うん」
聖也「付き合ってください!」
日野朱莉「・・・はい・・・お願いします」
  俺は、朱莉を抱きしめた──。
フォロワーA「大成功じゃーん!」
フォロワーB「おめでとう!!」
フォロワーC「聖夜の奇跡!」
桐谷颯斗「マジかよ聖也ー! おめでとう!」
水口貴哉「100万人のフォロワーからおまえにメッセージ届いてるぞ!」
  おめでとう!!︎
  ハッピーメリークリスマス!!

コメント

  • 素敵なお話ですね!
    ひょっとしてそうなのかな?と思いながら読んでたら、やっぱり彼女でした!
    寒い時期なのに温かいお話で、キュンキュンとしました!

  • 幼馴染みは普段はツンツンしてたけどずっと彼のことすきだったんだろうな~。こういうバズり方は夢があっていいと思う!!みんなにお祝いしてもらえて、さらに気持ちが盛り上がるね♪ハッピークリスマス♪

  • 世の中、残念な方向でのバズり方ってありますが、とても良い形で収束したきれいなストーリーですね。聖夜の奇跡を信じたくなりますね。

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