過去編1話『出逢い』(脚本)
〇明るいリビング
三好葉月「今日から私たちの家族になる子よ」
天宮詩乃「あまみやうたのです」
三好葉月「自己紹介よくできました」
三好優作「これから家族になるんだ 仲良くしてくれよ」
優弥「俺は優弥」
天宮詩乃「ゆーや?」
優弥「そう」
天宮詩乃「よろしくね」
水葉「みずはです」
天宮詩乃「みずは」
水葉「うん!」
天宮詩乃「あなたは?」
天宮詩乃「あれ?」
優弥「双葉は人見知りなんだ」
三好葉月「双葉」
双葉「ふたば」
天宮詩乃「よろしくね」
双葉「よろしく」
〇女の子の二人部屋
天宮詩乃「私のパパとママは天使になったの」
水葉「そうなんだ、すごい!」
双葉「天使さん、会ってみたい」
天宮詩乃「いつか会いたいね」
優弥「詩乃のパパとママに 会ってみたいな」
天宮詩乃「とっても優しいんだよ」
〇明るいリビング
三好葉月「あの子達は普通に受け入れてくれて良かった」
三好優作「優しい子たちだからな」
三好葉月「そうね」
三好優作「あんないい子なのに 親戚をたらい回しにされそうになったとはな」
三好葉月「体が少し弱いのが 原因かもしれないわね」
三好葉月「危うく施設に入れられそうになったけど うちで引き取れて良かった」
三好優作「養子にするか悩んだが 将来のことを考えて」
三好優作「苗字は残すことにしたが 今でも正解だったのか分からない」
三好葉月「まだ小学1年生だから」
三好葉月「もっと大きくなった時に 自分で決めてもらいましょう」
〇教室
男子生徒A「なんで、優弥と天宮は 一緒に住んでるのに 苗字違うんだよ」
天宮詩乃「親が違うからだよ」
男子生徒A「変だな」
天宮詩乃「パパとママは天使になっちゃったから お迎えが来るまで」
天宮詩乃「お父さんとお母さんが出来たの」
男子生徒A「お前の父さんと母さん死んでんだから 迎えに来るわけないだろ」
天宮詩乃「だって、絵本に書いてあったもん」
男子生徒A「ばーか」
優弥「お前、いい加減にしろよ!」
男子生徒A「優弥」
男子生徒A「お前、そんな女の味方するのかよ」
優弥「詩乃は俺の家族だ」
天宮詩乃「ゆーや」
男子生徒A「そっか、ごめん」
優弥「謝ってくれればいいよ」
天宮詩乃「うん」
天宮詩乃「ゆーやが一緒のクラスでよかった!」
〇湖畔の自然公園
優弥「ここで何するんだ?」
天宮詩乃「UMAを探すの!」
優弥「UMA?」
天宮詩乃「そう!見たこともない動物なんだって!」
優弥「へえ!」
天宮詩乃「天使捕獲できるかな」
優弥「天使ってUMAなのか!?」
天宮詩乃「誰も見たことないんだから きっとUMAだよ!」
〇通学路
優弥「2年生になって クラス別になっちゃったけど 大丈夫か?」
天宮詩乃「うん!」
天宮詩乃「ゆーやがいなくても 1人で大丈夫だよ!」
〇教室
天宮詩乃「あれ? 筆箱がない」
天宮詩乃「さっきまであったのに」
女子生徒A「ええー? 筆箱なくしちゃったの?」
天宮詩乃「うん」
男子生徒B「お前の筆箱ゴミ箱に入ってたぞ 汚ねえ」
女子生徒A「きたなーい」
天宮詩乃「汚くないよ!」
男子生徒B「優弥がいないと何も出来ないんだな」
女子生徒B「ばーか」
優弥「お前ら、詩乃をいじめんじゃねえ!」
男子生徒B「お前、違うクラスだろ!」
優弥「関係ねえよ!」
優弥「詩乃に絶対手を出すんじゃねえぞ!」
女子生徒B「うざっ」
男子生徒B「覚えてろよ」
〇通学路
優弥「詩乃」
天宮詩乃「ん?」
優弥「いじめられてるなら どうして俺に言わないんだ」
天宮詩乃「だ、だって」
優弥「俺が守ってやる」
優弥「詩乃も水葉も双葉も」
天宮詩乃「ごめん」
優弥「困ったことがあればすぐに言え」
天宮詩乃「うん」
優弥「詩乃は可愛いからいじめられるんだ」
天宮詩乃「そうなの?」
天宮詩乃「しっと、、」
優弥「それ」
〇学校の下駄箱
優弥「上履きがない」
優弥「あいつら、、まさか」
〇教室
男子生徒B「お前のせいで 先生に怒られたじゃねえか」
女子生徒B「先生に言ったでしょ!」
天宮詩乃「言ってないよ!」
天宮詩乃「痛いよ」
女子生徒B「あーあ、血出ちゃった」
女子生徒B「汚ーい」
男子生徒B「いい気味だ」
優弥「お前ら、ぶさけんな!」
男子生徒B「いてっ!」
優弥「何で誰も止めないんだ!」
優弥「お前ら見てるだけかよ!」
優弥「ふざけんな!」
〇個別オフィス
三好優作「え、優弥が教室で暴れた?」
三好優作「すぐに学校に行きます!」
〇明るいリビング
三好優作「お前は詩乃を守ろうとして 暴れたんだな」
優弥「そうだよ」
優弥「あいつら、クラス中で詩乃をいじめてた」
優弥「だから、同罪だ」
三好葉月「分かったわ」
三好葉月「優弥の言うことを信じるわ」
三好優作「あとのことは お父さんとお母さんに任せなさい」
優弥「父さんも母さんも どうしてもっと詩乃のいじめに 気づかなかったんだよ」
三好葉月「ごめんなさい 仕事で忙しかったなんて言い訳ね」
三好優作「悪かった」
優弥「仕事仕事って 夜遅くまで帰ってこないじゃないか」
天宮詩乃「ゆーや」
天宮詩乃「お父さんとお母さんを責めないで」
優弥「詩乃」
優弥「わかったよ」
天宮詩乃「ありがとう」
優弥「父さん、俺、しばらく学校へ行かない」
優弥「あんな奴らがいる場所なんか行きたくない」
三好優作「お前の判断に任せる」
天宮詩乃「じゃあ、私も!」
三好優作「落ち着くまで、詩乃もそうしなさい」
〇湖畔の自然公園
優弥「今日も見つからないな!」
天宮詩乃「おかしいなぁ」
有馬「君たちはこんなところで 何してるんですか?」
有馬「子供は学校に行ってる時間じゃないですか?」
優弥「登校拒否です!」
天宮詩乃「です!」
有馬「こんな明るい登校拒否が 今までありましたかね」
優弥「学校なんて嫌いです みんな、詩乃をいじめるんです」
天宮詩乃「ゆーやが学校行かないなら行かない」
有馬「なるほど 事情があるようですね」
有馬「君たち、うちの道場に 遊びに来ますか?」
優弥「道場?」
有馬「そう」
有馬「もちろん、親御さんには 私からお会いして許可を貰いますよ」
天宮詩乃「行ってみたーい!」
優弥「詩乃が言うなら」
〇明るいリビング
有馬「というわけで、しばらく 面倒を見させていただけませんか?」
三好優作「有馬先生、本当によろしいのですか?」
三好葉月「有馬証券の総裁自ら ご指導してただけるのですか?」
有馬「もう隠居をしており ただのおいぼれです」
有馬「優弥くんと詩乃ちゃんから 事情は聞きました」
有馬「優弥くんはとても優しい子で 自分を平気で犠牲にしてしまう子です」
有馬「だから、その感情の捌け口を 間違えてしまうかもしれません」
有馬「だから、私の古武術を通して 彼に力の正しい使い方を考えてほしいのです」
三好優作「このまま学校を行かせないよりは 何かしら学ぶことは願ってもないことです」
三好葉月「同感です」
三好葉月「あとは優弥の意志です」
優弥「俺、有馬先生の弟子になりたい!」
有馬「最後の弟子になりますな」
天宮詩乃「私も!」
有馬「詩乃ちゃんには護身術と礼儀作法でも 学んでもらいましょうか」
有馬「安心してください うちには孫娘がいますので それに教えさせましょう」
天宮詩乃「はーい!」
三好葉月「よろしくお願いします」
〇大きな日本家屋
優弥「ここが先生の道場なんですか? すごい!」
天宮詩乃「大きい!」
有馬「こんなに褒めてもらえて 嬉しいですね」
〇道場
有馬「では、優弥くん」
有馬「私が教えるのは 活殺術です」
優弥「かっさつ?」
有馬「相手を殺して倒すことも 生かして倒すこともできる 武道のことです」
優弥「すごい」
有馬「安心してください」
有馬「そんな怖いものではないですよ」
有馬「でも、正しく使えるかは自分次第です」
有馬「包丁を料理に使うか 人を傷付けるために使うかの違いですよ」
優弥「包丁は料理に使って みんなを笑顔にする道具です」
有馬「笑顔にする道具ですか」
有馬「武術も人を傷つけるだけではなく 誰かを護るための術に使えます」
優弥「俺は詩乃と妹たちを護りたいです」
有馬「君を見込んで正解だった」
有馬「私が生きている間に 教えられることは全て教えましょう」
〇L字キッチン
有馬美沙「こんにちは!」
有馬美沙「私は有馬美沙です 職業は女子大生!」
天宮詩乃「天宮詩乃です! こんにちは!」
有馬美沙「挨拶よく出来ました!」
有馬美沙「私は詩乃ちゃんを 立派なレディーにしてあげます!」
有馬美沙「習字、料理、マナー、ピアノ、勉強を メインに教えるね」
天宮詩乃「はい!」
有馬美沙「料理好き?」
天宮詩乃「食べるの大好き!」
天宮詩乃「料理上手くなって ゆーやにたくさん食べてもらいたい!」
天宮詩乃「あと、お父さん、お母さん、 水葉と双葉にもお腹いっぱい 食べてもらいたい」
有馬美沙「食べてもらいたい相手がいると 料理は上達するんだよ!」
有馬美沙「頑張ろうね!」
天宮詩乃「はい!」