エピソード8(脚本)
〇川沿いの公園
きーちゃん「意外だなあ。ララが一緒に皇居ランやるなんてさー」
ララ「そりゃ~今流行りの皇居ランでしょ」
きーちゃん「てか、なんか怪しくない? 何か目的あるんじゃね?」
ララ「そ、そう?」
きーちゃん「あ!分かった! 皇居=江戸城なんじゃね?」
ララ「バレたか・・・」
きーちゃん「まあ、いいや。走ろ、走ろ」
ララ「うん」
2人で走り出したのもつかの間・・・
目の前が一瞬眩しくなって思わず目を閉じたの・・・
って、もしかして、これって・・・
〇屋敷の大広間
ここは・・・
また、どこかのお城に来てしまったみたいだわ。あ、誰か来た!隠れなきゃ!
コロ助「お主、そこで何をしてる? もうすぐ餌の刻になるのに」
わ!犬が喋った!ま、猫も喋るくらいだから犬が喋っても不思議はないわね。
コロ助「今、犬が喋ったって不思議そうにしてるが、お主も立派な犬であるぞ!」
ララ「え?」
鏡を覗くと一匹の黒いワンコが・・・って、これあたし?!
コロ助「さ、餌を食べに参ろう〜」
ララ「餌は分かったけど、ここは・・・一体・・・」
コロ助「上様がいらっしゃるお城といえば・・・?」
ララ「江戸城!」
江戸城に来て、しかも犬になってしまって、他の犬と一緒に餌を食べる・・・
なんでよ〜(T_T)
〇屋敷の大広間
餌は、犬にしたらご馳走のような餌であたしと会ったコロ助は特に上様のご寵愛を受けてるかのように感じた。
ララ「そう、ここは五代将軍綱吉公の時代! だから犬なのね・・・」
コロ助「ご寵愛を受けてるからこの体型ってことではない」
コロ助「我ら、犬たちは上様のお陰でそれは暮らしやすい生活をしておるが・・・」
ララ「ええ、生類憐れみの令を出した犬公方さまですものね」
そう、歴史で習った悪将軍てして名高い綱吉公。犬を邪険にすると罰せられるという、言わずとしれたお犬ファースト。
コロ助「世間じゃ悪く言われてるけど、上様がおらなければ、後世はもっと悲惨な世の中だったと」
コロ助「生類憐れみの令が出る前は、我々は食べられていたんだ、人間に・・・」
ララ「げ、犬肉ってこと?! 韓国みたい・・・」
コロ助「韓国? 犬や猫・・・所謂畜生は雑に扱われていたんだけど、生類憐れみの令が出来てから、動物も大切に扱われるようになったんだ」
ララ「へぇ」
コロ助「それから、今までは旅人が具合悪くなったら、宿の人は病人を外に追い出して死ねまで放置していたんだ」
ララ「えー、酷すぎる。旅人はそれでなくても慣れない地で不安だろうに」
コロ助「病人だけじゃなく、老人や子供の命も軽んじられていたんだけど、上様が大変心をお傷めになられて・・・」
ララ「それで、生類憐れみの令を出して、人間が人間らしい生活の礎を築いてくれたんだね」
コロ助「いかにも」
心優しき公方様だったんだ。時にして歴史は違った解釈のまま後世に語り継がれてしまうのは酷だなと感じた。
「ああ、腰が痛くて眠れない。これ、誰か、誰か居らぬか?はり師をここへ」
コロ助「あ、上様だ。上様は、ホント健康に気を遣われてるんだ。鍼もよく打っているよ」
(ある意味徳川家の遺伝なのかもね)
「誰か居らぬか」
強い光で慌てて目を閉じて体を伏せた。
〇川沿いの公園
きーちゃん「大丈夫?少しは良くなった?」
ララ「急に目眩がして・・・あ、でも大丈夫」
きーちゃん「今日はもう走るの止めよう」
ララ「ごめんね」
きーちゃんが言うにはない走り始めて数分で目眩でよろけてしまったらしいの。ジャージも汚れちゃったし。
〇川沿いの公園
家に帰ろうとしたら、一人の外国人旅行客が何やら困っている様子。
ララ(あれ、外国人が何か困ってるみたい。何か助けられないかな?)
ララ「Excuse me. Can I help you?」
外国人「Oh! Thank you!」
困ってる人を助ける気持ち、命あるものを大切にする気持ち、綱吉公の気持ち、今の日本にちゃんと引き継がれてますよ〜。
ララちゃんの皇居=江戸城発想、最高!ララちゃんらしい😄今度はわんちゃんに変身ですか!楽しい♪あ〜昔は犬を食べたっていうのは、なんかわかる気がします。「生類憐みの令」が弱者を助けるためでもあったって知りませんでした。良いお話が聞けて良かったです。「生類憐みの令」と聞くと「兎は四足じゃなくて鳥だから食べてもいい」と誤魔化した庶民の話を思い出します。ララちゃん最後は外人さん助けてほっこりしました
おお~、犬公方のことを当人…もとい! 当犬に語らせるとは考えましたね~! そうですよね、わんちゃんたちがどう思っていたのか聞きたいですもん。でもってそれができちゃうのがタップノベルの醍醐味! 面白かったで~す♡
江戸城!確かに、今や皇居となって忘れかけていましたが、江戸の頃は日本一の巨城ですものね!そして、綱吉公を取り上げるチョイスがステキですね!批判もあるけど、江戸の世の空気感を、乱世の殺伐としたものから治平の世の空気に変えた存在ですものね!