さよなら、僕らの花嫁

ななん

第2話 緻密な捜査網(脚本)

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〇星
  ──前回までのあらすじ──
  この人はこのお話の主人公草壁くん!
  ある日、見晴らしのいい展望台で
  たそがれていたら
  誤って崖の下に落っこちちゃった
  男性を見つけたんだ
  困ってる人を放っておけない
  草壁くんは、男性を救助してあげたんだ!
  優しいね!
  そしたら、なんと!!
  忘れられない女性が同じだったんだ!
  二人は意気投合して
  彼女に会いに行くことにしたんだ

〇川沿いの道
羽山「善は急げ!!」
羽山「草壁くん、同じ中学ってことは 家知ってるっすよね!?」
羽山「突撃しちゃいません!?」
羽山「サプライズに見せかけた 執念の再会・・・!!」
草壁「はぁ!?」
  そんなことしたら・・・

〇田んぼ
おばあさん「おめぇ 星野さんチに行ったおどごだち見たが!?」
おばあさん「見だ見だ」
おばあさん「なんが悪そうな人だったずなぁ」
おじいさん「当たり前だべ!!」
「!!」
おじいさん「ありゃどう見ても強盗だべ」
おじいさん「こげなどこさ 若ぇ男なんがいるはずねぇ」
おじいさん「いるどしたら 不審者に決まってっぺな!!」

〇川沿いの道
草壁「怪しいでしょう!!」
羽山「そ、そうか・・・?」
草壁「田舎は排他的なんですよ」
草壁「だいたい、僕が会ったのも 二十歳のときの一度きり」
草壁「その程度の同級生に急に訪ねて来られたって」
草壁「お前誰だっていう話ですよ」
羽山「・・・・・・」

〇Bunkamura
星野天音「今は大学生だよ」
星野天音「二年生になって やっと専門科目が始まったんだ」
星野天音「楽しいよ!」
星野天音「草壁くんは?」
草壁「・・・あ、」
草壁「・・・僕は・・・」
  君を守るために自衛官になったんだ
草壁(──なんて)

〇川沿いの道
草壁「あのときは」
草壁「またすぐ会えるって信じて 疑わなかったんだよね・・・」
羽山「まぁな」
草壁「都会に出て行っても また戻ってくるとばかり」
草壁「一度都会にいったら ほとんど戻ってこないっていうのにね」
羽山「草壁くんが呼び戻せばいいじゃないっすか」
草壁「Iターンも大歓迎ですよ!」
羽山「いや、俺は生粋の東京人だから・・・」
草壁「佑朔さん・・・」
羽山「急に名前で呼ぶなよ・・・」
草壁「星野さんも同じなんですよね」
草壁「もうここは星野さんの居場所じゃない」
草壁「この町さ」
草壁「いい町だけどそれだけじゃダメなんだよね」
草壁「親しい人がいなきゃ・・・」
草壁「住み続ける理由にはならないんですよね」

〇教室の教壇
同級生「正直~」
同級生「地味な子は うちのクラスにふさわしくないっていうか~」
同級生「クラスメイトのことを思えば~」
同級生「自分磨きするべきじゃなーい?」
草壁「・・・・・・」
  あのとき勇気を出していれば
  星野さんは今も
  この町にいてくれただろうか
同級生「女子こえー」
同級生「でも事実だしなぁ」
草壁「・・・」
同級生「くさやんもそう思うだろ?」
草壁「あ・・・」
草壁「そうだね・・・!!」

〇川沿いの道
草壁(ヘラヘラすることしか できない僕は)
草壁(一軍なんかじゃない)
草壁(ほんとうは最下位だ──)
草壁「なっ・・・!!」
羽山「なに耽ってんだ? 大二病か?」
羽山「悲しいことは忘れろ」
羽山「星野さんに会いたくないんすか」
草壁「会いたいですけど・・・」
草壁「これは?」
羽山「星野さんが大学のときに使っていた SNSだ・・・」
草壁「・・・はい?」
羽山「見てくれ」
羽山「ちゃんと俺のことも書いてある」
  羽山先輩とApixの東京予選に
  参加してきました!
草壁「・・・・・・」
草壁「いや、なんていうか」
草壁「羽山さんがいいなら それでいいんですけど」
羽山「だがな・・・」
羽山「残念ながら もう何年もログインしてないんだ」
草壁「そうでしょうね」
羽山「諦めんじゃねぇ!!」
草壁「・・・っ!?」
羽山「いいか草壁!!」
羽山「若いときにSNSに一度ハマった人間は 絶対に今もSNSを利用している!」
「きっと星野さんも」
「何らかのコミュニティに 所属しているはずっす!」
「今の星野さんの アカウントを探し出すんだ!」
  僕はずっと──
  ”偶然”頼みで
  何もしてこなかった・・・!!

〇川沿いの道
「うおおおおお!!」
羽山「Tmitter! Instagran!」
羽山「TikTik! Discorb!」
羽山「GRABITY! ilca!」
草壁「調べましょう!!」
草壁「これは探求心!!」
草壁「断じてストーカーじゃありません!!」
羽山「当たり前じゃねぇか!!」

〇宿舎の部屋
  いました?

〇オフィスのフロア
  絶賛捜索中

〇宿舎の部屋
草壁「あはは!」
草壁「そんな行方不明者みたいな」
同僚「楽しそうですね」
草壁「最近知り合った人が 面白くてさ!!」
  わくわくする
  こんな子供のような高揚感は
  どれくらいぶりだろう──

〇川に架かる橋の下
草壁「いないですね・・・」
羽山「いると思ったんすけどね・・・」
羽山「なんでどこにも出てこないんだよ!!」
羽山「こんなに頑張ってんのに!!」
草壁「やましいことでも考えてたんじゃないですか」
羽山「うるさい!!」
羽山「俺はピュア中のピュアだ!!」
草壁「あーはいはい」
草壁「そうですね、はいはい」
羽山「・・・・・・」
羽山「・・・・・・」
羽山「おい、後ろ乗れ」
草壁「はい?」
羽山「やめません? もうウジウジ考えるのは」
羽山「俺が気分転換に連れてってやる!!」
草壁「うわあああ!?」

〇橋の上
草壁「速っ!!」
羽山「悩んだときはかっ飛ばすのが一番よ!!」
羽山「俺は今までそうしてきた」
羽山「バイクや自転車で 風を切りながら進むとさ」
羽山「気持ち良くて 悩みまで一緒に飛んでってしまうんすよ」
羽山「もちろん 吹っ切れないこともあるけどさ」
羽山「乗ってる間は最高の気分になれるんすよ!!」
草壁「はい」
羽山「草壁くんていい人っすよね」
草壁「そうですか?」
羽山「あぁ・・・」

〇大教室
大学教授「ここまでで質問ある人──」
羽山「はい!はいはい!!」
大学教授「はい、羽山くん・・・」
同級生「またあの人じゃん」
同級生「先生も困ってるじゃんね」
同級生「きもいんですけど」
羽山「・・・・・・」

〇商店街
星野天音「きゃ──!!」
羽山「犬じゃねぇか」
星野天音「で、でも・・・」
羽山「苦手か?」
羽山「わんわん!! こっちこいよ!!」
羽山「可愛いなぁ!! うちのこになるか!?」
羽山「って首輪ついてるわ」
星野天音「先輩は頼りになりますね」
羽山「え・・・」
羽山「そうか?」
羽山「空回りしてばっかでうるさくて」
羽山「ウザいだけだろ・・・」
星野天音「例えそうでも」
星野天音「私には必要です」
星野天音「先輩がいつも私を 引っ張っていってくれるから」
星野天音「毎日すごく楽しいです」
星野天音「羽山先輩がいてくれて良かった」

〇開けた高速道路
羽山「俺は幸せ者だなぁ・・・」
草壁「こら──!!」
羽山「飛ばすぞー!」
羽山「あれだな」
羽山「星野さんひとりにいつまでも こだわってねぇで」
羽山「そろそろ他の女でも見つけに行くか!!」
草壁「ははっ」
草壁「それもそうですね」
警察「スピード違反です」
警察「ついでに逆走です」
羽山「・・・は?」
「はぁー!?」

次のエピソード:第3話 愛の♡ロードサイドステーション

コメント

  • 草壁と羽山コンビの爽快感はなんだろう?
    やっていることはストーカー手前🤣だけど、共犯感とか大人のアオハルとか、リアルの中の鈍臭い感じがたまらなく懐かしい雰囲気がします。
    ラストのオチも好みです。
    田舎の排他的な表現もあるあるですよね〜。
    現在地が田舎だから、妙に納得です。

  • 台詞のセンス、すごいですね✨
    テンポも最高🙏

  • 今話はまさかのオチでしたw

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