読切(脚本)
〇渋谷のスクランブル交差点
初めての飲み会という名の合法懇親会
話題づくりでみんなのSNSチェックした私は偉い。でも・・・
高瀬「あいつら全員彼氏持ち」
高瀬「ウソやろ・・・」
高瀬「ぼっちわいだけ」
高瀬「パーカーで来たの私だけまである」
高瀬「逃げたい」
欠員ゼロ?
みんな楽しみにしてる?
高瀬「これ行かないと入学早々大学ライフ終わるやん?」
高瀬「逃げられん・・・」
「あの大丈夫ですか?」
高瀬「この顔面ナンパついてく空気に見える?」
塔ノ沢「ナンパじゃなくて 顔色悪そうなので心配で」
高瀬「じゃあ善意?」
塔ノ沢「善意と ついでに宗教の勧誘です」
高瀬「ついでが強すぎるよね」
高瀬「それに私マジで深刻な状況なの」
塔ノ沢「それなら噛み合うかもしれません」
高瀬「なんでそこで噛み合う?」
塔ノ沢「深刻な人を 真剣に救いたい活動だから」
高瀬「なんて宗教?」
塔ノ沢「コンコン教です。僕の名前は塔ノ沢」
高瀬「胡散臭せえ・・・」
塔ノ沢「僕もそう思います」
高瀬「胡散臭いもの人に勧めるのどうかと思う」
高瀬「しかも深刻な人に」
高瀬「今夜の飲み会全員彼氏持ちで私だけぼっちなの」
高瀬「でもここで逃げたら大学生活もぼっちだよ!」
塔ノ沢「では、取引しませんか?」
高瀬「どんな?」
塔ノ沢「僕が彼氏役をやります」
高瀬「彼氏役?」
塔ノ沢「とりあえずの最善策かもしれません」
高瀬「そういう問題?」
解らなくなってきた・・・
塔ノ沢「じゃあなぜ逃げたいと思うんですか?」
高瀬「それは なんの非もミスもないのに」
高瀬「突然格下に見られるような感覚と」
高瀬「その可能性にまつわる様々なリスクみたいなこと」
塔ノ沢「自分にはウソをつけません」
塔ノ沢「でも周囲に彼氏持ちと思わせたら その状況は変わるんじゃないですか?」
高瀬「あるかも・・・」
微妙に頼もしいなこの人
塔ノ沢「貴方はつぎのうち どの未来がベストですか?」
塔ノ沢「①自分以外全員彼氏持ちの飲み会にぼっちとして参加する」
塔ノ沢「②自分以外全員彼氏持ちの飲み会から逃げる」
塔ノ沢「③自分以外全員彼氏持ちの飲み会に、彼氏役の男と店まで同伴して彼氏持ちだと認識される」
③なら救われそう
塔ノ沢「必要ないなら僕は 貴方の幸運を願いながらもう去ります」
高瀬「貴方のいない世界は厳しいかもしれない」
高瀬「でも私はなにをするの?」
塔ノ沢「僕の勧誘を受けてもらうだけです」
高瀬「とか言ってとんでもないお金がかかるとか?」
塔ノ沢「まず僕は、この宗教に貧困を救われました」
塔ノ沢「搾取する宗教ならそれはできません」
高瀬「理解できない・・・」
塔ノ沢「貴方は難しい状況を切り抜けたい 僕は救われた宗教に少しでも貢献したい」
高瀬「利害が一致すると」
塔ノ沢「それにこの冗談みたいな街に 冗談みたいな宗教があってもいいと思いませんか?」
高瀬「もう行かなきゃ・・・」
塔ノ沢「無理強いはしません どうか良い人生を」
高瀬「待って!」
高瀬「取引成立で!」
塔ノ沢「わかりました」
高瀬「全力で彼氏っぽくお願い」
塔ノ沢「最善を尽くします」
高瀬「私の名前は高瀬。じゃあ行くよ」
初めて男と渋谷歩くじゃん私
なんなんこれ
独特のワードセンスがたまりませんねぇ😂
「ポーン」の音が鳴るたびいちいち笑ってしまうw😂😂
うぉー!!!!!彼氏いるいないだけでそんなに思い詰めなくても良いんだよ!!と女の子に伝えたいですが、大学生のお年頃の女子はそれがめっちゃ気になってしまったり絶望感を味わったりするのも紛れもない事実ですよね・・・
どうか安全な宗教でありますように!!!!!