普段は優柔不断な女(脚本)
〇部屋のベッド
サカザキ「はぁ・・・」
誰も居ない部屋で、私の溜め息だけが聞こえる。
曇り空も手伝ってか、気分は晴れない。
サカザキ「電話なんて迷惑だよね。 嫌がられるかな」
サカザキ「でも、もう我慢が・・・」
「スマホ 「プルルル── プルルル──」」
サカザキ「やっぱり無理! かけらんないよぉ!」
電話をかけようとしては切ってしまう。
1コール、せいぜい2コールまでだ。
なぜこんなにも迷うんだろう。
酷い中途半端。
電話をかけるならかける、諦めるならスッパリ止める。
そう決めてしまえば良いだけなのに。
サカザキ「よし、3秒数えたら、ハッキリさせよう。 後悔しないように、心の声をちゃんと聞いて・・・!」
サカザキ「いち・・・」
サカザキ「にい・・・」
サカザキ「さ────」
──ピンポーーン
「業者 「すみません、ご在宅ですかぁ? お届け物でーーす!」」
「はぁい! ご苦労さまでーーす!」
サカザキ「贈り物・・・いったい誰からだろう?」
サカザキ「お母さんだ!」
小包の中には、ワラ納豆が整然と敷き詰められていた。
包装するビニール袋越しでも、腐敗臭が感じ取れた。
そして、一通の手紙も同封されていた。
──最近、随分と悩んでるようだね。
でも良いんだ。
若いうちは失敗を繰り返して、大きくなるもんさ。
だから頑張りな、死なねぇ程度に。
────母より
サカザキ「お母さん・・・!」
サカザキ「ありがとう、勇気が出たよ」
サカザキ「嫌われてもいい。 相手にされなくてもいい」
サカザキ「それでも、やってみるから!」
「スマホ 「プルル──プルル──」」
「スマホ 「ガチャ──」」
応答があった。
でもここまで来たら、大丈夫。
自分を信じて────。
「スマホ 「はいまいど、ランラン軒です」」
サカザキ「あっ、すみません。ついさっき、スタミナデラックスラーメン特盛のニンニク樹海マシと鬼チャーハンセットを出前した者なんですが」
サカザキ「いえいえ、届きましたよ。でも、ニンニクが少ないっていうか、なんか物足りなくって」
サカザキ「そうですか、ニンニクだけ再送とか無理なんですね。 そういうのはやって無いと」
サカザキ「じゃあ結構です。 またお願いします、はい」
「スマホ 「──プッ」」
サカザキ「ダメだった、ニンニクの追加・・・」
サカザキ「でも頑張ったよ! ちゃんと言えたんだもん、偉いよ私!」
サカザキ「なんだか小腹が空いてきたし、納豆食べちゃお!」
ズルズルッ!
ズルルル! ズルッ!!
サカザキ「うぅん、まだ足りないなぁ。 せっかくのご褒美なのに」
サカザキ「そうだ! せっかくだからラーメン食べに行こうかな!」
サカザキ「今ならランラン軒で、5キロ食べたら賞金が出るイベントやってるんだよね」
サカザキ「よぅし、早速行ってみよっと! お店の麺を食い尽くしてやるぞぉーー!」
──普段は優柔不断な女(終)
食べることは迷わず即決ですね。デラックスラーメン特盛鬼チャーハンセット完食のあとに5kg食べて賞金狙うって・・。ランラン軒にとってはありがたいんだか迷惑なんだかわからないお客さんだなあ。帰宅後に納豆も全部食べ尽くしそう。
私は優柔不断とは真逆の女で、いつも自分にも相手にもきっちり決め事をつくってしまうタイプなので、普段の彼女の優柔不断さに憧れさえ抱きます。
私・・・お母様からの手紙の言葉めっちゃ好きです!!!!!凄いおおらかな言葉で、あんな手紙もらったら勇気もらえますね!!それにしても、納豆びっしり送ってくるって・・・面白すぎます!!
好物だったんですかね!?
笑わせていただきました!!(o^^o)