第1話 ホラー先輩とコックリさん(脚本)
〇学校の校舎
ヒヨワ「春!高校生っ! 新しい生活っ!!」
私は鈴木陽世羽(すずきひよわ)、この春から新一年生だ!
中学生まではあんまりパッとしない学校生活だったけど、高校からは違う!
たくさん友達作って、か、か、彼氏なんかも作って──
ヒヨワ「きゃー!彼氏だなんて、そんな!」
──とまあ、私はとても楽しみにしていた。
これからどんな出会いが待っているんだろう──!
〇学校の廊下
入学式も終わり、自分の教室に向かう。
私のクラスは・・・・・・ここだ。
中を覗くと、見知らぬ同級生たちが緊張の面持ちでざわめいていた。
・・・いや、新生活だから緊張してるってわけでもないらしい。
中でなにか行われている?
〇教室
中に入ると、先輩らしき男の人が、同級生たちに部活の勧誘をしているようだった。
???「是非わが研究会へ! 共に都市伝説を研究しようではないか!」
ヒヨワ「と、都市伝説・・・」
思わず声に出して呟いてしまった。
都市伝説ってあれだよね、ちょっと怖いやつ。
人がいなくなったり、夜中に何かが起きたりするやつ。
・・・ちょっと苦手なんだよねー。
まあ、私には関係な──
???「そこのきみ!」
ヒヨワ「ふぇっ、わ、私!?」
謎の先輩が私の方を向いて指さしてきた。
???「興味がありそうだね! この僕の研究会に!!」
ヒヨワ「えぇ、いやその、べつに・・・」
この先輩もしかしてやばい人・・・?
???「そうか! 興味があるか!!」
ヒヨワ「そんなこと言ってな──」
???「君の入部を心待ちにしているよ!」
勝手に勘違いして、謎の先輩は去っていった。
残されたのは困ってしまった私と、ひそひそ何かを言いながらこっちを見てくるクラスメイト。
・・・波乱の予感だわ。
〇学校の廊下
それからというもの──
ヒヨワ「・・・」
さっと現れては消えたり──
〇開けた交差点
帰り道でも──
???(あの子の名前は・・・ 鈴木さんだったよね)
後からついてきていたり──
〇教室
友達と楽しくお話していても──
???「・・・・・・」
熱視線を送られるようになり──
〇学校の廊下
さすがにしつこかったので──
私は先輩がいるであろう、都市伝説研究会の部室を探すことにした。
しかし研究会ということは、まともな部室もないのだろう。
メインの校舎では見つからなかった。
ヒヨワ「まったくもう、こういう時に 全然いないんだから!」
こちらが気にしていない時は、ストーカーのように周りにいた謎の先輩だが、私から探していると一向に現れない。
・・・なんだかそこも、腹立たしい。
ヒヨワ「あっ、ここかも?」
恐らく元々は違う用途の部屋だったのだろう、プレートに「都市伝説研究会」と書かれたガムテープが貼ってある。
ヒヨワ「よーし!殴りこみよ! ・・・殴らないけど!」
〇備品倉庫
ヒヨワ「おりゃー!!」
勢いよく扉を開けて中に入った。
しかし中には誰もいない。
ヒヨワ「あれ・・・? ここじゃないのかな?」
──何やら不穏な空気が流れ、私はぶるっと身震いした。
さっきまで天気が良かったのに、この部屋に入ったら曇ってきたみたいだし、一体どうなっているのか。
ヒヨワ「やめてよー、怖いの嫌いだって・・・」
私は不安になりつつ、部屋の奥を覗き見た。
しかし先輩の姿は見つからない。
ヒヨワ「ひゃっ!」
突然耳元で聞こえた変な笑い声に、私は見をすくめる。
何かが、いる。
?????(・・・・・・)
不気味な黒い影が目の前に現れた気がして、私は怖気付く。
だが、その時──
???「あっ!! 鈴木さん!」
謎の先輩が現れた。
どうやら、今戻ってきたようだ。
同時に、さっきまでの妙な空気は感じなくなっていた。
ヒヨワ「あー!!いたっ!! あなた、なんなんですか!」
先輩の顔を見た途端に、私は本来の目的を思い出して、いきなり怒鳴り散らした。
ヒヨワ「学校内でもちらちらと見てきたり、私のあと付けてきたりして!」
ヒヨワ「ストーカーですよ! ほんっと怖いんでやめてくださいっ!」
???「君のことを待っていたんだよ! 入部してくれるんだね!」
ヒヨワ「あいっかわらず話聞かないわね!」
こんなに怒鳴っているのに、ちっともビビらないで笑顔の先輩。
ヒヨワ「私、怖いのダメなんです! 都市伝説とか怖いじゃないですか! 入部なんてしません!」
???「えーっ、なんでだよぉ! 面白いんだよ?」
先輩はちっとも悪びれずに言う。
怖いと思っている人に、面白いよって言ったって、信じないと思う・・・
ヒヨワ「とにかく、金輪際、つけてくるのは やめてください!」
???「つけなければ、入部してくれるの?」
ヒヨワ「しませんよ!」
???「じゃあ明日も自宅から付けていく!」
ヒヨワ「なんでそーなるの!」
・・・全くラチがあかない。
それに、この先輩はわかってるんだろうか?
さっき、この部屋で感じた変な気配のこと。
ヒヨワ「その、先輩・・・ ここって変なのいません? 変な気配、感じて・・・」
???「変な・・・? ああ、大丈夫だよ」
大丈夫ってなにが、と聞こうとしたら、先輩がまるで恋人を呼び寄せるように甘い声で誰かを呼んだ。
???「ほら・・・出ておいで?」
すると、やたら厳かな空気をまとって、可愛らしい女の子が現れた。
だけど、どう見てもこれは人間じゃない。
耳としっぽが生えてるし、時代錯誤な服を着ているし、とりあえず学校の人では無いのは確かだった。
コックリ「お初にお目にかかりまする、わたくしはコックリですわ」
鈴の音のような綺麗な声で、少女は大人ぶった言い方で自己紹介してきた。
???「ははっ、コックリ、今日はすごく 堅苦しいなぁ!」
コックリ「あら、そうかしら? だって初めてノブ以外の人の子の前に 姿を見せるのよ?」
コックリ「最初くらい丁寧でなくては、ねぇ? お嬢さん?」
少女の姿で、妖艶な大人の声で、本当に訳が分からない様子の彼女に、私はもうどうしたらいいか分からなくなっていた。
ヒヨワ「あのー・・・ どこから突っ込めばいいのか、 正直わからないんですが」
???「彼女はコックリ。 あのコックリさん本人だよ!」
コックリさんって、あの。
十円玉かなんかで、数人で指を置いて、質問すると勝手に動く的な、やつ?
ヒヨワ「・・・あの、質問が。 そもそも先輩は何者なんですか?」
コックリ「あ、ノブ、名乗ってないんだー。 サイテーじゃん、マジでー!」
???「そういやそうだった! これは失礼したね、鈴木さん!」
なんで私の名前だけはバレてるのか、あんまり知りたくないけど、とりあえず全部聞こう・・・
???「僕の名前は、穗良信長(ほらのぶなが)。 今年から3年生だよ」
ホラー先輩「みんなは僕のことをホラー先輩と 呼ぶんだ。 君もそう呼びたまえ!」
ヒヨワ「はぁ、ホラー先輩ね・・・」
ホラー先輩「僕にはほんの少しだけ霊感があって、 仲良くなった不思議なタマシイと 会話出来たりするよ!」
コックリ「だから、アタシもこうして人型に なって話せてるってわけ!」
やたらフランクな話し方にチェンジしたコックリが付け加える。
コックリ「あ、もうこのおごそかな感じの 音楽いーわ、やめましょ!」
な、なんなの・・・
よくわかんないけど、なにやらコミカルね・・・
ホラー先輩「僕はもっと、コックリみたいな 存在を見つけて友達になりたくて!」
ヒヨワ「はぁ、そうなんですね。 頑張ってください。じゃ!」
あんまり関わりたくないな、と思った私は、早口でそう言うと踵を返してドアへと向かった。
しかし──
ヒヨワ「あ、開かない・・・」
コックリ「そう簡単に逃がさないわよっ☆」
コックリ「悔しいけど、アタシの大好きなノブが 夢中になる才能だもの・・・」
コックリ「一緒に仲間を増やそっ?」
ホラー先輩「そうさ! 君には都市伝説の才能がある!」
ヒヨワ「都市伝説の才能ってなによ! 意味わかんないですっ!」
コックリ「研究会に参加してくれたら、今日は 帰してあげるわよ?」
ヒヨワ「・・・わかりましたよォ。 なんでこんなことに・・・」
がっくりと肩を落とす私とは打って変わって、2人は恍惚の表情で喜びを分かちあっていた・・・。



初めまして❣️
初コメント致します❣️「わからん」と言う名で
23年度のコンテストからtapライターをやっている者でございます❣️
私、こう言う都市伝説昔から大好物なんですよ❣️
信長君‥名前からして凄いですよね💕(うぷぷっ)
これからも頑張って書いて下さいね💕
追信、
アノ狐キャラ、やはり可愛いですね🩷😍