〇研究装置
デス「私はデス」
デス「ただ一人の反出生党員であり、党首だ」
デス「私はついに古今東西の学問の研究を通し、完全な無に至るための装置『らくらく大往生くん』を完成させた」
デス「特殊な意識状態に誘導する音楽を聞きながら装置中央の模様を眺めていると無になる　はずだ」
デス「これから私はらくらく大往生くんを使う」
デス「私は戻ることはないから、この装置を使いたい人が現れたときのためにこのビデオを残している」
デス「では、さようなら」
　　・・・ぼー
　　うわあっっっっっ!!!

〇白
デス「ここは・・・」
　　絶対零度の意識（波動）が失われた世界は、際限なく温度が下がり続ける
　　そしてそれは今でも下がり続けている
　　それこそ真の地獄
デス「ぎゃあああ!!!!」
デス「寒い！ 体の感覚がなくなっていく 鼓動が激しい 息している感覚がない」
デス「たすけ」

〇研究装置
　　ふわりと誰かに抱き抱えられた
デス「だれだ？」
デス「創造主か？」
？？？「いいえあなたも創造主です」
デス「・・・」
「あなたは絶対的な無を欲し、先程体験したでしょう」
デス「・・・」
デス「宇宙の外はないのか」
？？？「人間の旺盛な妄想が外宇宙を作ったのです」
デス「・・・」
デス「私はどこに行けばいいのだ」
？？？「創造主は創造主の絶対的な守護のもとにあります」
？？？「安心してください」
デス「・・・創造主よ なぜ死があるのか」
？？？「波動を失ってはならないからです」
デス「お前の都合か」
？？？「ええ　私はあなたの脳内に内在している高次元人です。あなたがいなくなったら私も消滅する運命」
デス「お前のことなんざ知らん」
？？？「知らなくて結構です」
？？？「どんなに私を罵ろうとも、意識さえあれば・・・」
デス「うるさい、去れ！」
？？？「あなたがいなくなったら全存在が悲しみます」
デス「信じない」
？？？「私の力を全て、自由に使っていいですよ」
デス「は？」
？？？「実現したいことはありますか 今のあなたならなんだって叶えられますよ 想像できることならなんでも・・・」
デス「・・・」
？？？「奇跡を信じてください」
？？？「人間は奇跡を生きることを与えられたのです　無条件に」
デス「・・・」
デス「あいされたい 無条件に」
デス「かえりたい・・・ かえりたい・・・」

〇クリーム
　　それから私は完全な無条件の幸福のなかで
　　10日間を過ごした
　　私がなにかしているという感覚もなく・・・
　　11日目にらくらく大往生くんを解体し、研究を破棄した

〇未来の都会
　　それから・・・
　　私は『ネムミミッミ』の建国に取りかかった
　　私たちは覚めすぎている
　　眠らなければならない