聖夜のしずく

鷹志

聖夜のしずく(脚本)

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〇雑誌編集部
  そろそろ時間か。
聖也「すみません、お先に失礼します」
女子社員A「聖也主任が定時で帰るなんて」
女子社員B「きっと彼女とデートよね」
女子社員C「あのイケメンで仕事もできる主任が選ぶなんて、相手はどんな人なのかしら」

〇開けた交差点
  いかん、自然と顔がニヤニヤしてしまう。
  今日は待ちに待ったクリスマス。
  クリスマスといえば、しずくちゃんのクリスマスライブだ!
  しずくちゃんは宇宙一かわいいアイドルだ!
  ファンになったのは1年前。
  オタクの友人にライブに誘われたのがきっかけだ。
  そこでしずくちゃんを初めて見た俺は、衝撃を受けた。
  かわいい・・・
  かわいい・・・とにかくかわいい!
  自分で言うのも何だが、イケメンで仕事もできる俺は女性にモテた。
  何人かと付き合ったこともあった。
  しかし、本気で好きになった相手など、これまで一人もいなかった。
  ところが、しずくちゃんを見た瞬間、俺のすべてが変わった。
  それからは、しずくちゃんが俺のすべてだ!
  しずくちゃん、今行くから待っててね。

〇駅前広場
  ライブ会場の最寄りの駅に着いた。
  えっ、雨?
  しょうがない。
  ここで少し待つか。
  「ドスン」
  誰かが背中にぶつかってきた。
鈴木「すみません」
聖也「いや、大丈夫ですよ。 気にしないでください」
聖也「あれ、鈴木さん?」
  女性の顔には見覚えがあった。
  新入社員の鈴木さんだ。
鈴木「主任?」
  鈴木さんは、おとなしく社内でも地味な存在の女性だった。
  仕事で必要なこと以外は、ほとんど会話をしたことがなかった。
聖也「雨やまないねえ」
鈴木「そうですね」
  ・・・会話が終わってしまった。
  雨が強くなり、駅にはたくさんの人が集まってきていた。
  二人の距離も近づいてくる。
  何となく気まずいこの状況をなんとかしたいと思って、思わず声をかけてしまう。
聖也「ちょっとそこの喫茶店に入ろうか?」
鈴木「えっ?」
聖也「いや、ここも混んできたし、雨が降るまで休もうかなって・・・」
鈴木「は、はい」

〇シックなカフェ
  思わず声をかけた流れで来てしまった。
  けっこうオシャレなカフェだな。
  鈴木さんはメニューをじっと見ている。
  クリスマス限定パンケーキ?
聖也「そのパンケーキが食べたいの?」
鈴木「いえ、ちょっと目に入っただけで」
聖也「すみません。 コーヒーふたつとクリスマス限定パンケーキをひとつお願いします」
鈴木「えっ?」
  注文したコーヒーとパンケーキがやって来た。
鈴木「パンケーキ、おいしそう・・・」
鈴木「すみません、お金は払いますから」
聖也「いいよ、気にしないで」
聖也「いつもがんばっている新人へのクリスマスプレゼントだよ」
鈴木「ありがとうございます」
鈴木「おいしい!」
  本当においしそうに食べるなあ。
  その笑顔に、一瞬ドキッとしてしまった。
  ・・・会社では地味で無愛想な印象だったけど、笑うとけっこうかわいいな。
鈴木「おいしかった」
鈴木「・・・もうこんな時間。行かなくちゃ。主任、ごちそうさまでした」
  ずいぶん慌ててたな。
  そういえば、鈴木さん、何の用事があったんだろう。
  おっと、そろそろライブの時間だ。
  俺も行くか。

〇ナイトクラブ
  さあ、しずくちゃんのクリスマスライブだ。
  気合いを入れて応援するぞ!
  俺は最前列の席に陣取った。
  いつもの指定席だ。
  しずくちゃん、今日も一段とかわいいなあ・・・
  しずくちゃん、かわいい!
  しずくちゃん、天使!
  しずくちゃん、最高!
  しずくちゃーん!!!!!!

〇駅前広場
  今日のライブもよかったなあ・・・
  やっぱりしずくちゃんは最高だよ。
  しずくちゃんの笑顔を見ているだけで幸せになれる。
  しずくちゃんの笑顔・・・今日もかわいかったなあ。
  あれ?
  同じような笑顔を最近どこかで見たような気がする?
  どこだったかな・・・

〇オフィスのフロア
  昨日は最高の一日だったな。
  よし、次のライブまでがんばって仕事するぞ!
  ん? 机の中に何か入っている。
  手紙? 何だろう・・・
  えっ、嘘だろ?
  これは・・・しずくちゃんの生写真!
  しかも、昨日のライブのときのものじゃないか。
  ん? メッセージが書かれている。
  「パンケーキ、とてもおいしかったです」!?
  「最高のクリスマスプレゼント、ありがとうございました しずく」!!!!!!
  しずくちゃんから手紙だと!?
  ・・・でも、どうやって机の中に?
  ん? パンケーキ?
  あっ!
  昨日のライブのしずくちゃんの笑顔、最近どこかで見たと思ったら・・・
  俺は端の席で無表情で仕事をしている女性を見る。
  まさか彼女がしずくちゃん!?

コメント

  • タップノベルにピッタリの作品ですね!!
    読みやすくて、楽しくて、しかも捻りがある! 長さも、一番タップノベルの理想的なサイズかもしれません。
    聖夜の思わぬプレゼントとして、心温まる物語ですね😄

  • 憧れのスターが実は同じ職場に居るなんて、素敵なお話ですね。羨ましい!
    本当にオンナは化けますからね…(笑)

  • 女性は特にお化粧や服装で雰囲気も見た目もガラリとかわりますよね。笑顔が同じってことにきづいた彼は素晴らしい。手紙はサプライズでしたね!

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