[6-3](脚本)
〇黒
〇学校の校舎
─── 月曜日 ───
〇学校の昇降口
〇学校の昇降口
凛 (りん)「おはよう、喜多川くん」
平良 (たいら)「里見さん?」
本来いるはずのない凛の姿に、平良は目を丸くする。
2組の昇降口は別校舎にあるからだ。
凛 (りん)「喜多川くんを待ってたの」
平良が何に驚いたのかを正しく察した凛が、先に答えを口にする。
平良 (たいら)「おはよう」
凛 (りん)「・・・・・・」
凛 (りん)「足・・・大丈夫?」
平良の足元へと視線を向けた凛の表情が曇った。
平良 (たいら)「・・・跳ねて走って見せてあげたいけど、ちょっとまだ無理かな」
平良 (たいら)「ごめん」
平良 (たいら)「でも大丈夫だから」
凛 (りん)「喜多川くんが謝るなんて、ヘンなの」
平良 (たいら)「うん、オレは変だから」
平良 (たいら)「だから君が気にすることなんて、これっぽっちもないよ」
平良 (たいら)「頭も背中も足も、医者の保証つきだし」
凛 (りん)「・・・良かった」
平良 (たいら)「・・・・・・」
平良 (たいら)「・・・今日は、元気そうだ」
凛 (りん)「あ、うん、元気だよ」
凛 (りん)「やっぱり、分かるんだ?」
平良 (たいら)「すごく綺麗な色してるし、いつもの香り」
凛 (りん)「青・・・なんだっけ?」
平良 (たいら)「青い桜・・・だと思う」
凛 (りん)「青い桜なんて、なんだか幻想的だよね」
凛 (りん)「綺麗過ぎて、私が花に埋もれちゃいそう」
平良 (たいら)「─── 全然」
凛 (りん)「え?」
平良 (たいら)「大丈夫 相乗効果ってやつ?」
平良 (たいら)「どっちもすごく綺麗だから」
凛 (りん)「!」
平良 (たいら)「里見さんにも見せてあげられたらなぁ」
平良 (たいら)「でも写真にはとれないだろうし」
平良 (たいら)「絵の才能もないし・・・」
平良 (たいら)「こんなに綺麗なのに」
凛 (りん)「ど、どうしてなんだろうね?」
凛 (りん)「私だけ、なんでしょう?」
凛の問いかけに平良は頷いて応える。
平良 (たいら)「こんなこと、オレも初めてだけど」
凛 (りん)「・・・すごく不思議、だよね・・・」
平良 (たいら)「でも、自分としては違和感てなくて」
平良 (たいら)「自然な感じ・・・かも」
凛 (りん)「へえ・・・」
凛 (りん)「─── ずっと、なのかな?」
平良 (たいら)「・・・・・・」
それはもちろん、平良自身にも分からないことだ。
平良 (たいら)「・・・オレは、そうでも構わないけど」
平良 (たいら)「ずっと見ていても、きっと飽きない」
凛 (りん)「・・・!」
─── どうやら、オレは"変"らしい
〇黒
けれど、
そこから始まるものも、あるらしい
〇黒
〇学校の校舎
─── 1か月後 ───
〇学校の屋上
知史 (さとし)「超特例だと思うぞ、オレは」
平良 (たいら)「そうか?」
知史 (さとし)「そうだ!」
知史 (さとし)「そーんなマイペースで、こーんなかわいくていい子が彼女になるなんて!」
知史 (さとし)「ずるいぞ!」
平良 (たいら)「知史」
知史 (さとし)「あ?」
平良 (たいら)「かわいいのもいい子なのも確かだけど、まだ友達だぞ」
知史 (さとし)「~~~っ」
知史 (さとし)「オレが言うのもナンだけど、里見さん、絶対悪い気してねーぞ!」
知史 (さとし)「だよね、里見さん!?」
凛 (りん)「え!」
凛 (りん)「え、あ、えーと、」
知史 (さとし)「ほら見ろ!」
平良 (たいら)「ホントにそう思うか?」
知史 (さとし)「思うわ!」
平良 (たいら)「なら ─── すごく嬉しい」
知史 (さとし)「・・・・・・」
知史 (さとし)「・・・・・・」
知史 (さとし)「でもま、」
知史 (さとし)「お前がうだうだしてマイペース・・・つーか、マイルール?を炸裂させるよりは」
知史 (さとし)「鼻の下伸ばしてくれてる方が、オレも気楽でいいや」
平良 (たいら)「・・・鼻の下・・・伸びてるか?」
知史 (さとし)「でれでれ」
知史 (さとし)「ねえ、里見さん?」
凛 (りん)「・・・・・・」
平良 (たいら)「そっか」
平良 (たいら)「やっぱり気持ちって顔に出るんだなぁ」
凛 (りん)「き、喜多川くん・・・」
知史 (さとし)「・・・・・・」
知史 (さとし)「もおいい」
平良 (たいら)「ん?」
知史 (さとし)「オレの耳がくさるわ」
〇学校の校舎
〇空
〇白
可愛いお話でしたね~。平良君がベタ惚れなのが分かりましたv少女の能力ではなく、あくまでも彼の能力だったんでしょうか。
完結、お疲れさまでした!
*^^