花。~オレにだけ見える花を咲かせている女の子がいました~

いとはと

[3-1](脚本)

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〇黒

〇一戸建て

〇一戸建て
知史 (さとし)「・・・・・・」
平良 (たいら)「・・・・・・」
知史 (さとし)「・・・平良」
知史 (さとし)「お前、何してんの」
平良 (たいら)「・・・ごめん」
知史 (さとし)「謝ることねーけど」
知史 (さとし)「用があるならどっかで時間つぶして来いよ」
知史 (さとし)「部活で遅くなるの知ってるだろ」
平良 (たいら)「・・・知史」
知史 (さとし)「ん?」
平良 (たいら)「・・・ひっぱたかれた」
知史 (さとし)「─── はあ?」

〇シックな玄関
知史 (さとし)「たっだいま~」
平良 (たいら)「・・・お邪魔します」

〇一階の廊下
知史 (さとし)「そういやお前、母さんと健史(けんじ)には会わなかったのか?」
平良 (たいら)「ああ オレが来てからは誰も通らなかった」
知史 (さとし)「あ、そっか 今日はパート休みだっけ」
知史 (さとし)「多分、健史はお前よりも早く帰ってたんだろうな」
知史 (さとし)「小学生はいいよな~ 学校近いし終わるの早いし」
平良 (たいら)「元気か?」
知史 (さとし)「お前、2週間前にも会ってるじゃん 元気元気」

〇綺麗なダイニング
知史の母「おかえり~」
知史 (さとし)「腹減ったぁ!母さん、なんかちょーだい」
知史の母「食パンでもかじってれば~?」
知史 (さとし)「なんか他にねーの?」
知史の母「アイスは?こないだ買ってきたの、まだあったでしょ」
知史 (さとし)「あずきしか残ってないじゃん 食べたくない」
知史の母「贅沢な子ねぇ あ、そうだ、ドーナツ貰ったんだった」
知史 (さとし)「あ、いいじゃん それくれ」
平良 (たいら)「・・・こんばんは」
知史の母「あ、平良ちゃん!」
知史の母「いらっしゃい!」
知史の母「最近来ないからおばさん寂しかったわぁ」
知史 (さとし)「・・・2週間前にも来たっつーの」
知史の母「昔は毎日来てたのにね~」
知史 (さとし)「いつの話だよ 小学生ん時だろ、それ」
知史の母「ね、ね、今日夕飯食べていきなさいよ」
知史の母「あ、明日は休みだし、泊まっていったら?」
知史の母「お母さんには私から連絡しとくから!」
平良 (たいら)「あ、はい えーと・・・」
知史 (さとし)「オレは別にいいぞ」
平良 (たいら)「じゃあ、お言葉に甘えて」
知史の母「OK!電話電話~♪」
知史 (さとし)「また長電話になるじゃん 夕飯作ってからにしてくれよ!」
知史の母「うるさい子ねえ お喋りになっちゃってもう!」
知史の母「平良ちゃんみたいにクールに決められないもんかしら」
知史 (さとし)「クールぅ?」
知史 (さとし)「った!叩くなよ!」
知史の母「友達を鼻で笑うんじゃないの!」
健史 (けんじ)「あ、平良だ!」
健史 (けんじ)「平良~ゲームやろうよ!」
知史 (さとし)「オラ、健史! 年上呼び捨てにすんなって何度言えば分かんだ、お前」
健史 (けんじ)「え~平良は平良じゃん」
平良 (たいら)「いいよ、別に」
知史 (さとし)「ったく・・・」
知史 (さとし)「平良はオレに用があんの お前とは遊べねーよ」
健史 (けんじ)「え~」
平良 (たいら)「ごめんな、健史」
健史 (けんじ)「今度遊ぼうな、絶対! オレ、次は平良に勝つんだ!」
平良 (たいら)「ああ」
平良 (たいら)「・・・・・・」
平良 (たいら)「─── なあ、健史」
健史 (けんじ)「何?やっぱ遊んでくれるの?」
平良 (たいら)「いや、あのさ」
知史 (さとし)「・・・おい」
平良 (たいら)「お前、女の子の周りに花が ────」
知史 (さとし)「ストーップ!」
平良 (たいら)「知史?」
知史 (さとし)「お前はガキ相手になに言う気だよ」
平良 (たいら)「いや、もしかしたらオレの他にも・・・」
健史 (けんじ)「なにぃ?」
知史 (さとし)「さ~オレの部屋に行こうか平良く~ん」
平良 (たいら)「ドーナツはいいのか?」
知史 (さとし)「あ」
知史 (さとし)「母さん、お茶とドーナツ頼むわ!」
知史 (さとし)「平良のために!」
知史 (さとし)「行くぞ、平良」
平良 (たいら)「ああ」
平良 (たいら)「じゃあな、健史」
健史 (けんじ)「うん!」

〇一人部屋
知史 (さとし)「・・・で?」
平良 (たいら)「ん?」
知史 (さとし)「んじゃねーよ、アホ」
知史 (さとし)「”ひっぱたかれた”ってなんだよ、”ひっぱたかれた”って」
平良 (たいら)「頬を平手打ち」
知史 (さとし)「・・・里見さんに、だよな?」
平良 (たいら)「ああ」
知史 (さとし)「・・・・・・」
知史 (さとし)「どう言ったんだよ、お前」
平良 (たいら)「どうって・・・」
健史 (けんじ)「にーちゃん!お茶とお菓子!」
健史 (けんじ)「はい!」
健史 (けんじ)「ドーナツ!」
健史 (けんじ)「こっちが平良ので、」
健史 (けんじ)「こっちがにーちゃんのだって!」
平良 (たいら)「ありがとう」
知史 (さとし)「お前、またノックしなかったな」
健史 (けんじ)「いてっ!」
健史 (けんじ)「なんだよ~人に運んでおいてもらって!」
知史 (さとし)「お~お~ありがとうございました~」
知史 (さとし)「健史くんはいい子ですね~」
健史 (けんじ)「にーちゃんのバーカ!」
知史 (さとし)「・・・ったく」
  知史はローテーブルの上に置かれたドーナツを手に取り、口へと運んで勢いよく噛りついた。
  もぐもぐと食べながら、手だけを動かして平良にも食べろと促してくる。
平良 (たいら)「・・・じゃあ、ひとつだけ」
  早くもふたつめに手を出す知史を眺めつつ、平良もドーナツへと手を伸ばした。
知史 (さとし)「・・・・・・」
平良 (たいら)「・・・・・・」
  持ってきてもらったお茶の封を開けて、ひと口、ふた口と飲む。
平良 (たいら)「・・・知史はいいな、兄弟がいて」
知史 (さとし)「・・・一人っ子はよくそう言うよな、兄弟いるヤツ見ると」
知史 (さとし)「上の苦労も知らないでなぁ」
平良 (たいら)「うん、下のヤツには”下は大変だぞ”って言われるな」
平良 (たいら)「あ、真ん中ってのも色々あるらしい」
知史 (さとし)「上が一番大変だって」
平良 (たいら)「みんなそう言うぞ」
知史 (さとし)「・・・お前、オレと知り合って何年だよ」
平良 (たいら)「8年?・・・9年?」
知史 (さとし)「こんな話、今までにも散々したよなぁ」
平良 (たいら)「・・・したな」
知史 (さとし)「平良、本題」
知史 (さとし)「喋れ」
  もうひと口だけお茶を飲むと、平良はこくりと頷いた。
  今日、放課後に知史と別れてから何があったのかを、要点をまとめつつ簡単に話し始める ───。

〇黒

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