ふれてん

ぽんたろう

第9話『仁義ある戦い』(脚本)

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〇合宿所の稽古場
九鬼美月「今日は取材に来たっす!」
三好優弥「どんどん撮影してくれ」
蒼村優「撮れ高ゼロの映像ができるだけですよ」
九鬼美月「それでいいっす 変わり映えのない日常を映すのが 目的っすから」
九鬼美月「ねえ?優弥先輩」
三好優弥「ああ」
蒼村優「優弥先輩って言いました!?」
九鬼美月「はい!」
蒼村優「私ですらそう呼んでないのに!」
九鬼美月「許可は貰ってるっすよ」
蒼村優「いつそんな許可を出してるんですか!」
三好優弥「出会った時に」
三好優弥「なあ、美月」
九鬼美月「はいっす!」
蒼村優「私は、平仮名で そむら呼ばわりなのに!」
三好優弥「言いやすいしな」
蒼村優「本当だったら私だって!」
三好優弥「本当だったら?」
蒼村優「何でもないです」
三好優弥「そうか」
蒼村優「今回は聞き逃しできません!」
三好優弥「あのそむらが珍しく怒ってる」
蒼村優「怒ったそむらは恐いですよ!」
蒼村優「電車内で足組んじゃったり 夜中にお菓子食べたりしちゃいますよ」
蒼村優「あ、あとは 合宿の時に先輩の寝顔に 落書きしてやります!」
九鬼美月「ちょっと待ってください」
九鬼美月「寝顔ってどういうことっすか」
蒼村優「先輩と同じ部屋で寝てますから」
九鬼美月「えっ!?」
九鬼美月「どういうことっすか?」
九鬼美月「一緒に寝てるっすか?」
蒼村優「同じ部屋で寝てます」
九鬼美月「2人きりでそんなこと許されないっす」
三好優弥「上杉もいるぞ」
九鬼美月「信じられないっす! 未成年の男女が2人きりで泊まるなんて!」
三好優弥「上杉もいるぞ」
蒼村優「先輩の寝顔、可愛いんですよ」
蒼村優「2人で寝てる私しか見れない特権ですね」
三好優弥「上杉もいるぞ」
九鬼美月「許せないっす!」
九鬼美月「では、勝負しましょう」
蒼村優「私が勝負に負けたらどうなるんです?」
九鬼美月「先輩との2人きりの合宿はやめてもらいます」
三好優弥「最近は6人いるぞ」
蒼村優「私が勝ったらどうなるんです?」
九鬼美月「優弥先輩に 下の名前で呼んでもらえる上に そむらちゃんも優弥先輩って呼べます」
蒼村優「分かりました!受けて立ちます!」
三好優弥「勝手に話進んでるが 面白そうだからいいか」

〇近未来の闘技場
九鬼美月「さあ、勝負です」
蒼村優「いいでしょう」
  観客から湧き上がる大歓声
蒼村優「何でこんな人がいるんですか」
九鬼美月「みんな暇なんすよ」
九鬼美月「勝負は何にするっすか? そちらが決めていいっすよ!」
蒼村優「え、えっと、ジャンケンです」
蒼村優「三本勝負です!」

〇野球場の座席
竜崎「じゃんけん勝負ですかい」
竜崎「見ものだな」
京極「ああ、単純なようで奥深い 運、心理戦が絡み合うからな」
三好優弥「お前ら暇なのか?」
竜崎「何事も勝負事が好きなものでしてねえ」
京極「女同士の真剣勝負 見逃せない」
三好優弥「要するに暇なんだな」

〇近未来の闘技場
九鬼美月「行くっすよ!」
「じゃーんけーん」
「ほい!」
九鬼美月「チョキ!」
蒼村優「パー」
  興奮する観客たちの歓声
蒼村優「負けちゃいました」
九鬼美月「まず1勝!」
蒼村優「まだです!」
九鬼美月「望むところです!」
「じゃーんけーん」
「ほい!」
九鬼美月「チョキ!」
蒼村優「グー!」
  再び観客たちの歓声が沸き上がる
蒼村優「勝ちました! これで五分です!」
九鬼美月「くっ、お互い後がなくなったっす」

〇野球場の座席
三好優弥「おお、これで引き分けか」
竜崎「なかなかやるな」
竜崎「あそこから持ち直すとは なかなかの運の持ち主だ」
京極「ああ、そむらは 見かけに寄らず度胸があるようだな」
三好優弥「まあ、盛り上がってるからいいか」

〇近未来の闘技場
九鬼美月「次で決まるっす」
蒼村優「泣いても笑っても恨みっこなし」
九鬼美月「分かってるっす」
「じゃーんけーん」
「ほーい!」
九鬼美月「パー!」
蒼村優「チョキ!」
  勝者が決まり興奮する観客たち
九鬼美月「負けちゃったっす」
蒼村優「勝ちました」
九鬼美月「楽しかったっす」
九鬼美月「ありがとうっす!」
蒼村優「こちらこそ、ありがとうです!」
  お互いの健闘を称え合う両者を
  観客たちは賛辞する

〇合宿所の稽古場
蒼村優「じゃあ、約束通り、私のことは 今度から下の名前で呼んでください」
三好優弥「りょ!」
九鬼美月「今思えば、私たち 優弥先輩の許可何も取ってなかったっすね」
三好優弥「じゃあ、優」
九鬼美月「どうしたっすか、嬉しくないっすか?」
蒼村優「嬉しいです!」
三好優弥「じゃあ、俺のことも好きに呼んでいいぞ」
蒼村優「え、えっと 怒らないですか?」
三好優弥「呼び捨てでも怒らないぞ」
蒼村優「じゃ、じゃあ、優弥君」
三好優弥「・・・・・・」
蒼村優「あ、ごめんなさい! 君付けはやり過ぎでした」
三好優弥「いや、ちがう」
蒼村優「えっ?」

〇テーブル席
蒼村優「優弥君」

〇合宿所の稽古場
三好優弥「優、前からそんな髪型だっけ?」
蒼村優「え?」
蒼村優「ちょっと失礼します!」
三好優弥「どうしちゃったんだ、あいつ?」
九鬼美月「恥ずかしかったんすかね」

〇おしゃれな食堂
蒼村優「双葉、水葉いる!?」
三好水葉「どうかした?」
三好双葉「部活ならあと少しで行くつもりだけど」
蒼村優「ゆうや、、先輩が 私の髪型について聞いてきた」
三好水葉「えっ?」
三好双葉「ホントに?」
蒼村優「前からそんな髪型だっけって」
三好双葉「それって、、」
三好水葉「優、お願いがあるんだけど」
三好水葉「お兄ちゃんに聞かれても 誤魔化してもらえる?」
蒼村優「う、うん そうだよね、、約束したもんね」
三好双葉「ごめんね、優」

〇森の中
蒼村優「せっかく、優弥君が私のことを 思い出してくれそうなのに!」
蒼村優「なんで、思い出させちゃいけないの!?」
蒼村優「せっかく出来た友だちなのに」
蒼村優「呼び捨てにされて 本当は嬉しいのに」
蒼村優「なんで!」
三好優弥「優、どうした?」
三好優弥「泣いてんのか?」
蒼村優「ち、ちがいます」
蒼村優「花粉症なだけです」
蒼村優「なんで、ここに来たんですか?」
三好優弥「いや、いきなり消えたからな」
蒼村優「いつもだったら無視するくせに」
三好優弥「そりゃあ、部員の心配をするのが 部長の役目だ」
蒼村優「私たちって部長と部員の関係なんですかね」
三好優弥「違うのか?」
蒼村優「・・・・・・そうですよね」
蒼村優「いいんです」
蒼村優「私がそう望んだんですから」
三好優弥「そういえば、優が 初めて部室に来た時のこと思い出した」
三好優弥「水葉と一緒に来たんだよな」

〇合宿所の稽古場
三好水葉「お兄ちゃん」
三好優弥「お、新1年生どうした?」
三好水葉「紹介したい入部希望の子が いるんだけどいい?」
三好優弥「いいぞ」
蒼村優「あ、あの」
三好優弥「はじめまして 部長の三好だ」
蒼村優「・・・・・・」
三好水葉「優」
蒼村優「入部希望のそむらゆうです! よろしくお願いします!」
蒼村優「怖いのは苦手ですけど頑張ります!」
三好優弥「おお、期待のホープだな」

〇中庭
三好優弥「少しは機嫌治ったか?」
蒼村優「大丈夫です」
三好優弥「そうか」
三好優弥「じゃあ、今日は一緒にいてやるよ」
蒼村優「え?」
三好優弥「お前の機嫌が治るまでな」
蒼村優「そういうところですよ」
蒼村優「そういうところが 勘違いさせるんです」
蒼村優「優弥先輩」
三好優弥「君付けは辞めたのか?」
蒼村優「図々しすぎました ごめんなさい」
三好優弥「そんな気にすることじゃないだろ」
三好優弥「何だろうな」
三好優弥「優はいつもみたいに 元気じゃないと違和感あるな」
蒼村優「私だって、こんな日あります」
三好優弥「ほら、元気出せ」
三好優弥「撫で撫で」
蒼村優「な、何してるんですか!」
三好優弥「頭撫でただけだぞ」
蒼村優「先輩励ましてくれてるんですか?」
蒼村優「ホント、先輩って、、」
三好優弥「ねこにすると喜ぶんだよな」
蒼村優「あ、そうだ」
蒼村優「忘れてたこの人アホなんだ」
三好優弥「いつもの優だな」
蒼村優「ありがとうございます!」

〇学校脇の道
蒼村優「そうだよね 先輩の記憶があろうがなかろうが 先輩自身は変わってないよね」
蒼村優「まだまだこれからだよ」

次のエピソード:第10話『再会の隠し味』

コメント

  • 会話の掛け合いが秀逸ですよね!!✨言葉のチョイスとテンポが最高です!!✨

    そして深まる謎・・・気になりますね・・・

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