蛙インポッシブル

ハスキ

処女作のシナリオ(脚本)

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〇走行する車内
蛙「あ、こんにちは。私、蛙(かえる)と申します」
蛙「あ、今すごい嫌そうな顔で私を見てますね?」
蛙「え、何してるかって?そ・れ・は・・・」
蛙「あなたの車のフロントガラスから降りられなくなっちゃったんですよ~!」
蛙「あー貴方の言いたい事は分かります」
蛙「この車は私のものではないですし、なんなら貴方が居ない間に、こちらに勝手にお邪魔しちゃってましたし・・・」
蛙「うわっ、ビックリした!」
蛙「はっはーん、ガラスの裏側からコンコンしてどかそうとしたんですねー、わかります」
蛙「おっと!次はワイパーを動かして払い飛ばそうとしたんですねー」
蛙「ナイスな作戦だったんですが・・・残念!そう来ると思ってワイパーの可動域から離れた所に、張りついちゃってます~」
蛙「あ、ちょっ、ウォッシャー液を噴射するのだけはやめて下さい!手が、手がツルツルして、落ちそうになっちゃいますから~~!」
  ――間
蛙「はぁ、はぁ、・・・い、今のは本気で危なかったです・・・。一瞬生き別れた親蛙が前足を振ってるのが見えました・・・」
蛙「え?なんでそんなに頑(かたく)なに張り付いてるのか、ですか?」
蛙「そうですよねー。やっぱり気になっちゃう感じですよね~、わかります」
蛙「そう、あれは昨日の夜、私がいつも住処(すみか)にしている切り株でのお話です・・・」
蛙「え?そんな話はいいから、本題に入ってくれ?」
蛙「わかりましたよー。もう、せっかちさんなんだからー」
蛙「ではお答えさせて頂きましょう、私が張り付いている理由(わけ)は・・・」
蛙「ズバリ!怖いからです!!」
蛙「甘いです!私が昨日の朝食べたアブラムシより、甘いですよ!!」
蛙「考えてみて下さい、今貴方の車が走っているこの道はなんですか?・・・」
蛙「そう、高速道路です!」
蛙「という事は、かなりなスピードが出てますよね?落ちたら死んじゃいますよね??」
蛙「ふー、わかって頂けたでしょうか?」
蛙「え⋯?じゃあ、次の降り口で降りて車を止める⋯?」
蛙「いやいや、ちょっと待って下さい!」
蛙「この辺りは、どういう所ですか?・・・そう、賑やかな、街中の高速道路です」
蛙「それがどうかしたか、ですって?」
蛙「関係大ありですよー!!」
蛙「そんな所で降ろされたら、私の好物のコオロギやミミズなどの食べられそうなご飯が無くて、お腹空かして死んじゃいますよ~~!」
  ――少しの間
蛙「あの⋯ちなみに貴方のお家はどちらになりますか?」
蛙「ふむふむ、田舎で、お家の四方が、山と田んぼと森と林で囲まれてる・・・」
蛙「なるほど!最高のお家じゃないですか!」
蛙「ぜひとも、私をあなたのお家まで乗せて下さい!」
蛙「ふむふむ・・・構わないけど、遠い上に用事があるから、今からさらにスピード上げると⋯」
蛙「なるほど・・・」
蛙「フフッ、私の吸盤(きゅうばん)を舐めてもらっちゃ困りますよ」
蛙「そのミッション、必ず成功させてやりますとも!」
蛙「さあ、行っちゃいましょう!レッツ・ゴォォ~~~~~~~~!!!(遠ざかっていく声)」

〇高速道路
  その後、蛙がどうなったかは、皆さんのご想像におまかせ致します。
  あ、もしあなたの車に蛙が張り付いていたら、どうぞ優しくしてあげて下さいね。
  おわり

コメント

  • 蛙の自己紹介の一言目から笑いました。あるあるから独自の語り口で物語を発展させていくのが面白いです。これからは蛙に感情移入して用意に窓ガラスから落とせません

  • 蛙が可愛かったです。いや本当に。最後……私は落ちたのではと思ってしまいました。可愛らしい蛙には、落ちた先に番いになれそうな蛙の王子様がいてくれることを願うばかりです。
    サウンドが無いのに画面だけで何だかアップテンポで可愛い曲と、効果音が脳内で再生されるような作品でした。ただひたすらに、可愛いです🥰

  • 時々予想外の場所に予想外の生き物がへばりついていることってありますね。蛙ちゃんのように状況説明と目的と希望をしっかり話してくれたら助かるのですが。ラストで「蛙ちゃんは無事にカエルことができました」とならなかったのがちょっと切ない。

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